イメージ 1

 ソロモン王とシバの女王を中心に描かれた小説だけれど、著者のドリーンさんはスピリチュアルな方だから、両者の背後にいた存在たちまで登場させて、人間にかかわる不思議な世界を描きつつ、多くの学びを提供してくれている。古代の人々は、現代人よりはるかにスピリチュアルなことを活用して生きていたのだから、その点を踏まえて読むことが前提。そうできない人がこの本を読んだら、「アホクサ」の一言で終わってしまうかもしれない。であるなら、猫に小判、豚に真珠である。2010年4月初版。

 

【シバの女王】
 シバの女王は、その名をマケダ(ビルキスということもある)といい、16歳ぐらいのときに父親から王位を継承した女性です。彼女が統治するシバの国は、東西の広い地域をのみ込み、紅海の南の端に面していました。(p.3)
 シバ王国は、現在のアラビア半島の南端にあるイエメンとその対岸であるエチオピアを領土とする王国。
 シバの女王は、太陽神アルマカに仕えるものとして、生涯独身で通すという定めがあった。

 

 

【ヤツガシラ】
 タムリンはシバ王国のキャラバン隊の総督。
 タムリンはすでにそこに座って私を待っていた。それからあのストライプの鳥も。ベンチの上のバラの木から、「キュプゥー! キュプゥー! キュプゥー!」とわたしに呼びかける。
「これは驚いた」 タムリンも鳥を見上げて、おどろきの言葉を口にする。「あれは、私がしょっちゅうイスラエルで見かけていた鳥にそっくりですよ。確か、ヤツガシラといったかな。とても頭が良くて魔法の力を持っていると言うことです」
「そうかしら、わたしはばかだと思うわ」 わたしは怒って言った。「だってあの鳥は、わたしたちのデートを監視しているんですもの。それに・・・中略・・・。その言葉に反応して、鳥が確かにこちらを振り向き、わたしを睨みつけた!
「ソロモンなら率直に、そなたの目的はなにか、と尋ねるでしょうな」 冗談のようにタムリンが言う。
「誰?」
「ソロモンですよ ―― ソロモン王 ・・・中略・・・、彼こそ、イスラエルの王、私が後にしてきたばかりの地の王です」 (p.28)
 ヤツガシラは、シバの女王をイスラエルに呼び寄せるために、ソロモンが放ったメッセンジャーみたいな役割として描かれている。

 

 

【ミカエルとソロモン】
 タムリンが話しはじめてくれた。
「そうですね。私が唯一聞いて知っているのは、ソロモン王は天使と非常に密接に協調している、ということです。ええっと、王が特に親しくつき合っている天使の名はなんといったかな?・・・ああ、そうだ、ミカエルだ」
 ミカエル。 その名を聞いたとたんに、私の体は激しく震えた。まるで私の細胞が、記憶の奥深くに眠っている何かを知っているみたいに。「そのミカエルという天使は、ソロモンのためにどんなことをしているの?」本当にそんなことを訊きたかったのかどうか、よくわからないのだが、タムリンに話を続けさせたかった。
「私の知るかぎりでは、ソロモンがミカエルのために働いてやっているんです」 (p.96)

「イスラエルの神はソロモン王に完全なる力を与え、人、獣、鳥、天使、悪魔を支配して、彼らと意思の疎通を図れるようにしたことは覚えておいてください。大天使ミカエルはソロモン王に、特別な指輪を与えたという話も聞いています。それを使って王は、72人の悪魔を操り、彼の神殿を建立したとか! 彼がその指輪を悪魔に向けると、悪魔は完全に王の支配の手に陥るという話です」
「悪魔って! それはジン属の別称じゃない!」 思わず声を張り上げた。声にはショックが現れていたにちがいない。ソロモン王はどうやら、すごく無神経な人のようね。・・・中略・・・。
 わたしと母上様の出自がジンであることについて、タムリンがどれほど知っているのか、まったく見当がつかなかった。(p.97
)
 「悪魔」=「ジン属」とは、いわば精霊とか妖精といわれるもののこと。
    《参照》   『魂の伴侶と出会う旅』 ドリーン・バーチュー (クレイヴ出版) 《中編》
              【精霊はミカエルと共に】
    《参照》   『魂の伴侶と出会う旅』 ドリーン・バーチュー (クレイヴ出版) 《前編》
              【人間界、精霊界、天使界】~【天使と精霊】

 ミカエルがソロモン王に与えた「特別な指輪」は、もしかしたら、後に、ソロモンとマケダが結婚した時に、マケダに手渡されたのかもしれない。だとするなら、いずれ「アーク」をイスラエルから他国へ持ちだすための先遣物みたいな意味になる。
 それはともかくとして、
 マケダは、キャラバン隊を従えたタムリンとともに、イスラエルに向けて旅立つことになった。

 

 

【キャラバンの行程での学び】
 旅の過酷さに嫌気がさしていたマケダは、既に肉体として存在していない母に、いろんなスピリチュアルな技を学んでいった。
 わたしは母上様にお願いして、わたしたちのキャラバン隊をエルサレムに魔法でトランスポートさせる方法を教えてもらうことにした。(p.105)
 「煙」の夢を見たとき、
 「(煙!)」わたしは跳ね起きた、母上様が魔法使いのような笑みを浮かべている。「さあ、わかったかしら、マケダ?」 そう言ってわたしの髪をなでてくれた。
「分かったと思うわ、母上様」 ・・・中略・・・。それには、炎の煙をうまく使って自分たちの振動を変化させればよいのではないかと。
「そうよ、それが一番ね。これまでいろいろとうまく使ってきたのと同じ火のエレメントね。それを使えば、瞬間移動したいという貴方の望みもかなうのよ。煙はね、わずかなエネルギーの道でも通ることができるの。太陽の光もそうよ。だから、あんなに遠い距離を光速で進むことができるでしょう」
 太陽の光! アルマカ! どうしてそのことにもっと早く気づかなかったんだろう!
「文句ばかり言って、自分のことを憐れんでばかりいたからよ」 母上様がわたしの思考を読んで答える。(p.106-107)
 “煙”と“太陽”に共通するのは、「火のエレメント」であること。

 

 

【アファメーションと旅の完了】
「わたしは簡単に、ほかの人が考えていることや役に立つ情報が読める。わたしはこのスキルを、みんなの愛と癒し、そして祝福のために使います!」 わたしは思いを込めて、そう口にした。(p.107)

 太陽の光と自分の手の周波数を合わせて、アファメーションをするやり方を教わる。両手の親指を光の玉の上に置き、両手を珠で包むようにして、木の葉とか石などの小ぶりな目標物に向ける。それから、太陽の光にのってその物体が目的地まで移動するよう、アファメーションを唱える。・・・中略・・・。
 何度か挑戦しては失敗するということをくり返して、ついにわたしは、石をトランスポートさせることにも成功した。これにはまず、既成概念を克服しなければならなかった。石は重い、だから瞬間移動させるには、木の葉より大きなエネルギーが必要だ・・・そう思っていた。でも、エネルギーという点でみると、すべての物体は同じ重さだという。母上様のその説明を聞いてからは、その前に木の葉のときとまったく同じように石を扱うことができた。
 ある日母上様は、そろそろラクダを動かせるでしょう、とわたしに言った。・・・中略・・・。
 確かに、自分の心の障壁を取り除いてしまえば、ラクダのトランスポートも木の葉や石と同じくらい簡単だった。「この魔法の原則を使えば、建物を、中に人がいっぱいいる状態で丸ごとトランスポートすることだってできるのよ」と母上様が言う。(p.108-110)
 過酷な旅は、母上様から学んでマケダが会得したトランスポート(テレポート)によって、瞬時にしてエルサレムに着くことで終わった。
 今この地球上には、テレポーとできる人が結構たくさんいるはずだけれど、他の星から地球へテレポートしてきた物もテンコモリある。
 テレポーテーションは空間だけの瞬間移動を意味するのではない。時空間を移動する。
    《参照》   『宇宙戦争 ソリトンの鍵』 光悠白峰 (明窓出版) 《後編》
              【地球維新に必要なもの】

 

 

【周波数レベルの違い】
 ソロモンが母上様のほうに目を向けた。ソロモンには母上様が見えるの? 「いいえ、見えませんよ」 母上様が答える。「でも彼は、とても高いレベルの振動数が聞き取れるの。ソロモンが話しているのをわたしが見たという二人の男性は大天使(アークエンジェル)でした。・・・中略・・・。大天使は非常に高次の生命体で、真の智慧と愛を人間に届けてくれるのです。・・・中略・・・。ソロモンはそういう二人の大天使ととても親しくしていて、名前はミカエルとメタトロン。この二人は男性です。・・・中略・・・」
 わたしには母上様が見えるのに、どうしてソロモンの大天使は見えないの、と母上様に尋ねると、母上様曰く、ミカエルとメタトロンのエネルギーの周波数レベルは彼女の周波数レベルよりかなり高いのだという。「わたくしたちジンは、地球上の美しくて密度の高いエネルギーと結びついているの。大天使は、それよりももっと、空気とか霊魂といった、物質としての形を持たない存在と結びついているのですよ。
 なるほど、そういうことだったのね。母上様は、ソロモンの大天使たちと交信するために、エネルギーの振動レベルを上げなくちゃならなかったのだそうだ。(p.131-132)
 人間は可視光線の周波数レベルしか見えないから、この周波数帯に顕現する物質だけを存在と思っているけれど、もっと繊細な周波数レベルを認識できる人々は昔からたくさんいて、シャーマンと言われたり霊能者と言われたり魔女と言われたりしてきた。
 我われ平均的な地球人には、高次の周波数レベルに存在するものは、残念ながらせいぜい“光”としてしか認識できない。
 しかしながら、「ニンゲン」も「ヒカリ」も、言霊を数霊変換すると「81」であり、「81」は日本に割り当てられた国番号になっているということは、日本人の霊性の高さ(周波数の高さ)を示しているのだから、日本人はこのような異次元(異なった周波数)世界を魂では分かっているはずである。
    《参照》   『数霊に秘められた宇宙の叡智』 深田剛史・はせくらみゆき (徳間書店)
              【人間の本質を示す81】