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 この本の良いところは、何と言っても副題にある「人類大進化への旅」に関する極めて重要な内容である。2008年1月初版。

 

【共同探索】
 共同探索は、ふたりの探偵を犯罪の現場に送り込むのと少し似ている。ふたりはそれぞれ、自分の先入観を持って現場を観察する。それぞれが持つ期待、技術、信念、語彙、理想などがそこに影響するのだ。その探偵たちが別々に報告書を書くとすれば、それを読む者は間違いなく、現場の記述や目撃者の談話の報告の中に、類似点と争点があることに気づくはずだ。類似は真実をよりはっきりと示すものであり、相違点はそれぞれの探偵が持つ先入観という要因を反映しているのだと考えられる。これが非物質世界を共通探索することの本質なのだ。(p.12)
 ブルースさんはデニーズさんと共同探索を行った。この二人による記述は、活字体を変えて掲載されている。
    《参照》   『分裂する未来』 坂本政道 (ハート出版) 《前編》
               【良書である証拠】
    《参照》   『アセンションの鍵』 坂本政道 (ハート出版) 《前編》
               【交信上の留意点】

 一人で探索した場合は、どうしてもその人の“色”がでてしまうものなのだけれど、人類の未来を語る場合であっても、西洋人のシャーマンさんは暗澹たる様相を語り、日本人のシャーマンさんは明るい未来を語る傾向がある。それもキリスト教の終末思想と神道の天壌無窮思想という民族固有の集合意識がそれぞれの信念体系となって染み込んでいるからなのだろう。

 

 

【卒業】
 地球生命系からの卒業、すなわち輪廻からの卒業に関すること。
 下記文中にあるPULとは、Pure Unconditional Love すなわち『純粋な無条件の愛』のこと。
「彼らは何をするんですか? 彼らは何から卒業して、何になるんですか?」
「・・・中略・・・、本当に学んでいるのは、PULを経験し表現するキャパシティを拡げるということなんだ。卒業というのは、それをフルタイムの仕事にすることなんだよ。それが、すべての卒業生のしていることなのさ ―― PULを経験し表現するということがね。彼らの進んで行うすべての行為は、『純粋な無条件の愛』の行為なんだよ、ただひたすら。(p.236)
 彼らというのは、非物質世界でPULの射撃を行えるよう訓練を受けている光の存在たち。
 物質世界で死を迎えながら、その世界で培った信念体系故にフォーカス23~26に囚われている存在は、光の存在ではない。光の存在たちは、PULの欠乏故に非物質界にありながら物質世界に囚われてしまっている魂たち(≒殆ど全ての地球人)を救済するために働いている。

 

 

【祈りを受け取る光の存在たち】
 光の存在たちは、物質世界の存在たちのリクエストにも応えてくれる。
「個人がそういうリクエストを送るには、どうすればいいんですか?」
「多くの場合、リクエストは祈りの形をとってやって来る。光の存在は奇跡を起こすことができる。それは比喩的な意味ではないよ。母親が、病気や怪我で苦しむ子どものために祈って、後にその子が奇跡によって救われたり癒されたりした、という話が新聞に載っているなら、それこそ光の存在が働いているってことさ!」
「それで、光の存在たちは、天使の信仰のもとになっているんですか?」・・・中略・・・。
「あのように、光を発することによって、彼らは確かに注意を引きつけるし、空を飛ぶので、翼を持つ存在として描かれるんだ」 (p.238)

 

 

【進化のプロセスを加速する】
「ディスクのメンバーの一人が卒業すると、ディスクメンバー全員が直接、PULの供給を受けるんだよ。それは、きみの『探査機』も含めてのことだ。ディスクに卒業生が多くなればなるほど、PULがいっそうたくさん全員に分配されたり、一人のメンバーに集中して注がれたりする。光の存在のPULは、意識の繊維を通じて流れ、この世での人生を生きていたり、その他のところにいたりする各メンバーに届けられる。これは本当に、ディスクの『霊的進化』を加速することができるんだ。これは、友情の限界を超えて知覚を開いたり、もっと多くPULを経験し表現する方法を教えたりする効果がある。加えられる愛のエネルギーに助けられて、それを感じることのできるメンバー全員が、通常の環境の中で愛に引き寄せられ始めるんだ。それ自体を基盤として、進化のプロセスを本当に加速することができるんだよ」 (p.241)
 ディスクとは、「大いなる自己」とか「高次の自己」の意味だけれど、「自分自身に関わる魂の集合体」と理解すればいい。それは、多次元にわたるものであり、異星や地球上に存在するソウルメイト達や、関係する先祖達も含むことになるだろう。(であるなら、上記の記述は、仏教で言うところの「回向」や「出家の徳」をも表現していると言えなくもない)
 もしも、地上世界で同じディスクのメンバー達が、一緒になって「PULの波動砲」をぶっ放したら、世界はあらゆる困難を回避することが可能になり、平和な世の中が急速に近づいて来るだろう。

 

 

【ディスクの卒業】
 下記文中にある ELSとは、Earth Life System:地球生命系、
 CWとは、 Consciousness Worker:意識ワーカー のこと。
「ディスクは、ボブ・モンローが書いたように、消滅に向けて進化しているんだ。ディスクは自らの中に、ELSの完全な知識を吸収しようとしている。このプロセスの完了は、全メンバーが恒常的なメンバーとなってディスクに回帰することでわかる。それで、そのディスクは卒業の準備が整うんだ」
「何への卒業ですか?」
 CWからの答えは、言葉ではやってこなかった。イメージや感覚でやって来たのだ。卒業もしくは消滅の際に、私は宇宙へと拡大していく、ものすごい感覚を経験した。まるで、ディスクとしての私が、宇宙全体を満たすほど拡大しているかのようだった。(p.292)
 ディスクの目的は、全宇宙への回帰、すなわち合一化。地球生命系に偏在(フォーカス)していた意識が、全宇宙に遍在する意識になること。それがディスクにとっての卒業、すなわち進化であり消滅であり目的であると理解できる。

 

 

【ディスクがメンバーを切り離すことも・・・】
「本当にひどいことになる。ディスクが卒業しなくてはならず。ディスクの全メンバーがもう駄目だということで意見が一致するならば、彼らはその人を切り離して、その人なしで出発するんだ」
「その人なしで出発する? そんなことができるんですか?」 私は信じられない思いで訊いた。
「卒業がそれだけ近くなると、ディスク/オーバーソウルも選択しなくちゃならないんだ。それが起こるのは悲しいものだが、ほかに方法がない場合もあるんだよ」 (p.245)
 クラス全員での卒業を望んでも、一人だけ単位が足りないがゆえに、それが実現しないことは地上世界でもあること。物質世界に囚われたまま、PULを学ばなかった魂は孤立傾向になっているから、ひとりだけ切り離されることを、表面意識では悲しいと思っていないだろう。

 

 

【切り離された魂の実相】
「その人は、『純粋な無条件の愛(PUL)』エネルギーの経験/表現から、自分を切り離してしまって、それを経験したり表現したりすることが完全に不可能になってしまっているんだ。それは宇宙のエネルギーであり、すべての意識にエネルギーを与える駆動力であり、真に身体、心、霊を養うエネルギーなんだ。その個人は、養われている状態から自分を切り離してしまったんだ。PULを経験/表現する能力がまったく存在しなければ、その人は、自分の『意識』を保っておくのに必要なエネルギーそのものを、受け取れないということなんだよ」
「その人はどうなるんですか?」と彼女は訊ねた。
「PULに養われていないと、その人は、自分の身体と心と霊を維持し、まとまりを保っておくためのエネルギーをみな、徐々に失っていくんだ。PULという、組織化するエネルギーがなければ、その人の意識は崩壊し、生(き)のままのエネルギー状態に戻ってしまう」
「生のままのエネルギー状態?」とデニーズが尋ねた。
「何かの目的や意図によって組織化されない状態にある、生のままの、意識の素材みたいなものだよ。一貫したまとまりを保っていない意識と思ってみればいい。勝手に舞い散っている状態の金粉みたいなものさ。意識はあるが、一個所に集まってはいないんだ」 (p.303-304)
 宇宙エネルギーとは、『純粋な無条件の愛(PUL)』であり、これこそがすべての意識にエネルギーを与える駆動力である。
 このことをどれだけ重く理解するかで、それぞれの進化速度は変わってくるだろう。
 幼少期にPULを存分に注がれなかった子供は、散漫で何事もなしえない傾向が強くなってしまうけれど、大人になってからであっても、周辺の人的環境があまりにも劣悪だと、同じように進化が止まってしまうだろう。
 愛にも様々なレベルがあるけれど、PULほど純度の高くない愛であっても、無いよりはいいだろう。愛なき人生は、とことん不毛になってしまうのである。
 PULの波動砲をぶっ放せる範囲を広く大きく維持していくのが、最大の進化促進法である。
    《参照》   『脳科学からみた「祈り」』 中野信子 (潮出版社) 《後編》
              【幸福を定める配慮範囲】

 

 

【PULから切り離されてしまう過程と「自己受容」の必要性】
「自分が愛を受けるに値しないと判断してしまうと、他人からどんなに愛を差し出されても、必ず身を引いてしまう。彼は愛を受けるのにふさわしくないと感じ、そのまま自分を愛から切り離してしまう。持っている愛がどんどん小さくなると、まずは、愛への過敏性が増す。彼はますます、ごくわずかの愛でも感じるようになるんだ。
 これは一種の依存的な反応の逆パターンだ。依存症患者は、同じ効果を感じるために、ますます多くの依存物質を必要とするようになる。マックスのような人物は、苦痛を避けるために必要とする愛の量がますます少なくなっていくんだ。これは悪循環のプロセスで、歯止めをかけないと、徐々に悪化して、PULを経験し表現する能力がまったくなくなってしまうかもしれない」 (p.305-306)
 こうなってしまうメカニズムを理解しておく必要がある。
「愛を受け入れるには、あるレベルの自己受容が必要なんだ。自己受容というのは、自分を愛することと考えてもいい。・・・中略・・・。彼の自己愛はとても乏しい。だから彼に愛を与えようとする者はみな、その愛を届けるための『エントリー/アクセス』用の回路を開く『道/進入口』を見つけるのに苦労するんだ。・・・中略・・・。彼の場合は愛を受けるに値するという感覚の欠如、自己受容の欠如が、他人から差し出される愛を避ける原因となっている。私はこの点を最大限強調しておきたいね。自己愛、つまり自己受容こそが、愛のエネルギーを受け入れる鍵なんだよ」
「それは自己嫌悪と関係があるんですか?」
「自己愛の反対というわけではないけれど、自己嫌悪も、愛のエネルギーを受けるのを邪魔するブロックになりうるよ。自己受容の欠如につながるからね」 (p.306)
 謙虚で自省的な文化を持つ日本人は、このパターンに嵌りやすい傾向があるだろう。感受性豊かな時期にいじめになんかあったら、ダイレクトに嵌ってしまうかもしれない。
 またアセンションを希求する人々の中には、ELS(地球生命系)での学びを放棄するような感じで時を待っている人も少なくないような気がする。しかし、その背後には、自己受容できないという心理があるのではないだろうか。それって、アセンションを望みながら、アセンション出来ないパターンである。ヤバイよ。そういう人こそ、この本をきちんと通読して、人類大進化の鍵をしっかり掴まないといけない。

 

 

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