松下さんの経営学は、MBAのような人心を離れた数理解析左脳系ではなく、ひたすら人情に絡む人心掌握系経営学である。2009年5月初版。
【12の鉄則】
12の鉄則とは、1:人間の心の動きをつかむ,2:基本理念を定め、訴える,3:要望する,4:適材適所を心がける,5:率先垂範する,6:意見を聴く,7:長所を見る,8:夢や目標を与える,9:信頼して任せる,10:寛厳よろしきを得る,11:頼む心、拝む心をもつ,12:根気よく磨く。
12の鉄則とは、1:人間の心の動きをつかむ,2:基本理念を定め、訴える,3:要望する,4:適材適所を心がける,5:率先垂範する,6:意見を聴く,7:長所を見る,8:夢や目標を与える,9:信頼して任せる,10:寛厳よろしきを得る,11:頼む心、拝む心をもつ,12:根気よく磨く。
【熱意】
3:「要望する」の最後に書かれていること。
3:「要望する」の最後に書かれていること。
もしも課長や部長にその熱意がなければ、課員や部員は、たとえ仕事を一生懸命やろうというひとがあっても、なんだかやるせいがなくなります。これは人情です。上手下手は別です。仕事が上手であると言うことよりももっと大事なことは、その仕事に関して部下の人たちに呼びかけていくということです。呼びかけるものを持つと言うことです。それが首脳者なり幹部としての大事な仕事の基本だと私は思うのです。(p.19)
これは会社経営に関することだけではない。普通に生きている日常生活者だって、熱意を持てるものが何もなかったらフニャフニャな人生にしかならないだろう。
【意見を聴く】
《参照》 『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』 岩崎夏海
【意志疎通のパイプ役】
部下の知恵をみんな捨ててしまうと、たいてい倒れていく。倒れていく会社はみなそうや。その倒れる会社は社長が熱心や。社長は倒そうとは思うてへん。会社を発展させようと思うている。けれども部下の言うことを聞かない。部下が提案しても頭からそれをやっつけてしまう。部下のひらめき、出鼻をくじくようなことをやっている。そういうところは倒れてしまう。(p.32)
中間管理職が下からの意見を潰してしまうことも多いだろう。「トップの権威にぶら下がっているだけの公務員のような中間管理職って、何なん」って思うことがよくあった。《参照》 『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』 岩崎夏海
【意志疎通のパイプ役】
だから諸君の部下の言うことは、わが師の言うことであると考えないといかんわけや。部下からの提案は単なる部下の提案やといって重きをおかないかんやなく、心ある人は部下の言うことほど大事にする。そうすると衆知が集まるわけや。それをやらんといかん。(p.32)
【長所を見る】
《参照》 『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』 岩崎夏海 《後編》
【人を活かす】
船井総研では
《参照》 『船井流 マーケティングの極意』 小山政彦 (ビジネス社)
【長所伸展法】
もちろん、長所ばかり見て、短所をまったく見ないということではいけないかもしれない。けれども、どちらかといえば、短所を見ずして起こる弊害よりも、長所を見ることによって生ずるプラスの方が大きいと考えていいのではないかと思う。だから適当に短所を見つつ、主として長所を見る。いわば四分六というか、長所に目のつく方が六分、短所を見る方が四分ということがいいのではないか。そういう人は、だいたいにおいて人をつかえる人である。その反対の人は、人を使うことがむずかしい人だといえよう。(p.41)
ドラッカーさんは、同じことを以下のような視点で表現している。《参照》 『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』 岩崎夏海 《後編》
【人を活かす】
船井総研では
《参照》 『船井流 マーケティングの極意』 小山政彦 (ビジネス社)
【長所伸展法】
【信頼して任せる】
ぼくの今までの体験をいうと、任し切ったですな。というのは、任し切るのがいちばん楽ですのや(笑)。任し切ったために、失敗することもありましょうが、失敗の数よりも成功の数の方が多かった。お互いに神様やないんやから、ときには疑ってみたくもなりましょうけど、任し切るという姿勢が根本になけりゃいかんでしょうな。(p.46)
ある程度、年齢を重ねてくると、こういうことが分かるようになるけれど、若くて知力も体力のビンビン状態にある年齢では、自分よりトロトロとしたやり方の人に苛立って、ついに任せ切ることができない。つまり項羽のように自力でやってしまい、最終的には衆知を集めて戦った劉邦に敗れるのである。
100%信じて任すということはなかなかできにくい。・・・中略・・・。そやけど、そう言っとったらしょうがないから、「きみやってくれよ。必ずできる。頼むわ」となるわけですな。 (p.46)
【頼む心、拝む心をもつ】
【「とことん聞く」経営の反対側】
『人を活かす』ための『12の鉄則』は、結局のところ、どれも角度を変えて同じことを言っているのが殆ど。
つまるところ、人情の機微を解する人間経営学であり、それは「1:人間の心の動きをつかむ」に収斂するだろう。
部下がみんなわしより偉いな、というような感じができてくれば、もうしめたものです。人づくりが十分できると私は思うのです。そういうように人が偉く見えないといけない。あかんと見えたらいけない。これだけを皆さんに申し上げておきたいと思います。(p.61)
《参照》 『「とことん聞く」経営』 小山政彦 (サンマーク出版) 《前編》【「とことん聞く」経営の反対側】
『人を活かす』ための『12の鉄則』は、結局のところ、どれも角度を変えて同じことを言っているのが殆ど。
つまるところ、人情の機微を解する人間経営学であり、それは「1:人間の心の動きをつかむ」に収斂するだろう。
松下幸之助著の読書記録
<了>