【日本経済の主役】
 日本経済の主役は、中間資本財なのだ。つまり、自動車や家電を作るのに必要な工作機械、産業ロボット、その材料だが、とくに日本は素材部門、高性能は精密部品、中核部品を得意としている、アップル社の iPhone の中核部品の7割が日本の部品でできている。しかもそれらの部品は日本でしか作られておらず、代換えできないのだ。たとえ円高で高くなっても買わないわけにはいかないものばかりなのだ(だから円安にならない)。 (p.160)
   《参照》   『日本のものづくりは世界一』 唐津一 (PHP研究所)
 こういった中間資本財を作っている最大の工業地帯は、かつては東海地方といわれていたけれど、近年はそれが東北地方に移りつつあった。

 

 

【日本経済の心臓部】
 要するに、その日本経済の心臓部が、東北のサプライチェーン(部品供給基地)なのである。日本の優秀な経済官僚たちは、バブル崩壊以後、20年の月日をかけ、東北地方に高度な中間資本財の集積場をつくりあげた。いうなれば世界最強の部品工場である。(p.161)
 中国経済が高度成長を続けていたころ、マカオ周辺にある珠海工業地帯にはクラスター化された産業が集積していると言われていたしそれは事実だろう。しかし、産業の空洞化が生じていると言われていた日本は20年の歳月をかけて徐々にハイレベルな東北工業地帯を醸成していたことになる。勿論、技術レベルにおいて圧倒的に世界一である。
 そして、この事実が、実は3・11東北大震災に関係していた。

 

 

【震災後の影響】
 震災直後、このサプライチェーン(部品供給網)が寸断されたことはわかっていた。だが、世界のニュースはトヨタやソニーに影響が出る程度だろうとしか思っていなかった。
 ところが、である。震災から1週間も経つと、世界中の工場が次々と操業停止へと追い込まれていったのである。(p.201)
 アメリカ経済戦略研究所所長であるグライド・V・プレストウィッツが語ったこと。
 「今回の震災は、グローバル競争の真の勝者とは、世界中で、ここでしか作れない製品をつくっていた日本であると証明してしまった」 (p.202-203)
 今、このような記述を読んでも「日本の技術力を誇らしい」と思うだけだけれど、東北大震災の裏には壮大な陰謀があったのである。

 

 

【「復興」ではなく「脱出」】
 2011年5月11日の3月期決算発表。小沢哲トヨタ副社長の発言である。
 「もはや日本でのもの作りに限界を感じている」 (p.204)
 震災直後の当時の菅政権は、被災地に対する具体的救援政策を行うのでもなく、通称「トヨタ原発」と言われている浜岡原発の停止を宣言するのみだった。後者に関しては、日常生活者としての日本人からの理解は得やすかったけれど、産業界にとっては、「復興」ではなく日本からの「脱出」を本気で考え実行せざるを得ないような政策だった。産業技術の東北地方への移転が進んでいたにせよ、東海地方はいうまでもなくトヨタに代表されるもの作り日本の心臓部である。
 その視点から菅内閣の対応を眺めると実に見事なものである。アメリカ=闇の支配者の指示通り、サプライチェーンを国内から追い出す政策と、「国内に残りにくい政策を着々と遂行していたのだから無能どころか有能な人物であろう。「売国奴」として、という意味だが。もちろん皮肉である。(p.205)
 東北大震災は、海底に仕掛けられた核爆弾を震源とするものであり、被災後の原発汚染水が菅直人の指示で海に流されたというのも、その事実を隠すためである。福島第一原発には、震災の数か月前に多量のプルトニウムが供給されていたのである。
 そして震災直後、2011年の夏、東北地方で猛烈な集中豪雨があり、東北地方に電力を供給していた水力発電所が完全に機能停止してしまった。これも気象兵器HAARP(ハープ)を用いてする日本産業破壊という陰謀目的の一環である。
   《参照》   『闇の支配者に握り潰された世界を救う技術』 ベンジャミン・フルフォード (講談社)《前編》
             【HAARP に活用されているテスラの技術】

 下記は、テレビ番組から収録されたY-Tube情報。語られている内容はフルフォードさんの記述と全く同じである。
   《参照》   大災害には黒幕がいた

 

 

【陰謀の破綻】
 『ワシントン・ポスト』紙ではっきり述べている。
 「東北サプライチェーンのような存在は、アメリカにあるべきなのだ」と。(p.203)
 このような願望にもとづき、東北大震災は計画されていた。
 闇の支配者は人工地震を引き起こし、そのどさくさにまぎれて福島第一原発をサイバー攻撃し、事故を起こさせた見返りが、東北のサプライチェーンという「世界最強の部品供給基地」となれば、十分リスクに応じたメリットがあっただろう。3・11という「火付け盗賊」プロジェクトは、同時期、別チームによって展開していたリビア戦争と同様、最高ランクの犯罪計画となる、はずだった。(p.206-207)
 そう、はずだった。
 リビア戦争は「闇の支配者」の計画通りにことが進んだ。しかし、日本ではそうはいかなかった。
 陰謀は破綻し、東北のサプライチェーンは見事に復興したのである。「日本復興」のために台湾をはじめとする多くの国々から寄せられた経済的支援という援軍もあった。
 東北のサプライチェーンは、震災を契機に、不採算部門を整理し、技術力基盤はより一層強化されたのである。
 2012年2月の決算で大手輸出企業が軒並み巨額の赤字を出したのは、そのためで、決して経営危機からではない。日本企業の弱点は社内折衝やすり合わせで決断に時間がかかることと責任を先延ばしにすることだが、3・11という「格好の言い訳」ですべての問題を処理してしまったのだ。その証拠に巨額赤字を計上した企業の株は、軒並み上昇に転じている。プロの投資家たちは知っているのだ。
 最強の日本企業群「メイド・イン・ジャパン・オールスターズ」が、ついに表舞台に返ってきたのだ、と。(p.207)
 過去にも、同じようなことがあった。
 1970年代に世界を震撼させたオイルショックを機に、日本の技術力は一層高まったように、今回の東北大震災を機に、日本の技術力はさらに一層高まったのである。技術力の飛躍度は、当時の比ではない。
   《参照》   日本の産業技術力について《前編》
             □ ピンチ(オイルショックと円高) をバネに □

 

 

【世界が感動したもの】
 情報ボランティアだけがすごいといっているのではない。それを当たり前のように行う日本と言う社会がすごいのだ。
 とりわけネットワークを通じて3・11に触れてきた世界中の人にとって、日本政府のお粗末さの半面、日本社会、ごく普通の人たちのレベルの高さ、公共意識、助け合いの精神には、本当に感動したようだ。(p.212)


 だからこそ ―――。
 日本からの供給が途絶え、世界中の工場の操業が止まったとき、3・11で日本人を知った世界中の人は、こう思った。
 当然だろう、と。
 あんなに品質が良くて、作るのが面倒で、管理が難しく、しかも、それほど儲けにならないけど、あるとすごく便利で、使うと性能がグンと上がるような部品や素材、日本人以外、誰が作るんだ。いや、世界中の国々、世界中の企業、どこで作れるっていうんだ! (p,214)

 2011年7月9日。豊田彰男トヨタ社長は、仙台市に赴き、「もの作りを通じて東北の未来をつくりたい」と宣言。東北のサプライチェーンの完全復興と、100億円単位の投資となるトヨタ独自の「復興計画」を発表した。
 トヨタは気づいたのだ。
 日本は、まだ十分、日本らしかった、と。(p.215)