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 各章の初めにポイントを記述したマンガが描かれているのだけれど、著者の顔がサングラスをした長淵剛みたいに描かれていて、とってもおもしろい。
 当時の小泉改革のペテンぶりが記述されている。 『ヤクザ・リセッション』 とほぼ同時期に書かれた著作なので、内容がかなり重なっている。2004年9月初版。

 

 

【小泉元首相のバックグラウンド】
 地元で下品な悪評が広まりすぎたのか、代議士になれるかどうかも危うかった小泉氏を、一国の宰相にまで押し上げた凄腕の選対本部長。その背後には、日本有数の巨大暴力団トップの影があった――。(p.41)
 『フライデー』(2004年7月9日号)は、「小泉首相の基選挙対策本部長が、指定暴力団・稲川会の故・石井進と親密な仲だった」と書いた。(p.37)
 小泉首相と稲川会の関係は、地元横須賀では知っている人はみな知っている仲だった。
   《参照》   『この国を支配/管理する者たち』 中丸薫・菅沼光弘 (徳間書店) 《前編》
              【稲川系のブッシュ大統領】

 「これは確証なき噂話であるが」、と前書きした上で、「下品な悪評」とは、学生時代に起こした婦女暴行事件のことで、当時防衛庁長官だった父・小泉純也の政治力によってもみ消され、急遽、ロンドンへ留学させた(p.42-43)、と書かれている。

 

 

【『フォーブス』に掲載された記事】
 当時、全世界に500万人の読者を持っている『フォーブス』の編集長だった著者が書いた記事から。
 1994年、大阪近郊にオープンした関西国際空港は、東京・ワシントン間をつなぐ主要路線であり、日本とアメリカの通商交渉で計画されたが、アメリカの業者を排斥 eliminate して140億ドルの事業規模で建設された。そして、日本最大のヤクザ組織である山口組に、その分け前 a cash cow が流れて行った。山口組の宅見勝組長は、それを独り占めしたために殺されたのだと、消息通は語っている。(中略)
 日本弁護士連合会の会員であり業界通でもある山田均は、「公共事業プロジェクトの30%から50%がヤクザに関係しており、建設費の2%から5%の金が、ヤクザへの支払い費用となっている」と言う。1991年以来、国の予算 government money からヤクザに支払われた金は、210億ドルから880億ドルにもなる。賄賂が含まれるために、公共事業費は一般の事業費の20%以上も割高になっている。(p.63-64)
 政・官・財・ヤクザからなる鉄壁躯体はとてつもなく頑丈である。そしてマスコミもこれに隷属するから、日本国内でこの様な記事を読む機会はほぼない。戦後長らく日本を統治していた自民党政権下で、日本はすっかりこの様な構造になってしまっている。どの政党が政権を取ろうが、もはやこの構造の中に飲み込まれるだけである。

 

 

【転落のサイクル】
 いまや、この国の「負け組」がさらに転落するサイクル cycle of falling down まで作りだしてしまったということだ。(p.97-98)
 小泉改革で出来あがってしまった「勝ち組」「負け組」という言葉は、最近ではそれほど聞かれなくなったけれど、それは語るに堪えないほど酷い状況になっているからなのである。
 腐敗の構造・搾取の構造がきっちり組み込まれているのだから回復はありえない。だからこそ、社会不安を煽らないためにそういった言葉の使用が、メディアを支配する者たちの意向に則して、抑止されているだけである。

 

 

【日本は法治国家か?】
 かつて、住専問題処理のために設立された債権回収機構を率いた公派の弁護士・中坊公平氏は、私の取材にこう言った。
「日本では、事実上、法が機能していません。裁判官も体制の一部であり、政府擁護的判断をすることから、裁判所の機能が適正に働かず、その結果、政治が歪められ、闇の勢力が幅を利かすことになっているんです。
 だから、人々は政治家やヤクザ、官僚を利用して問題の処理に当たるという図式ができあがっているんです」(p.67)
 司法に対して影響力を持っているのは、日本国内のヤクザや政治家だけではない。
   《参照》   『幸せを奪われた「働き蟻国家」日本』 ベンジャミン・フルフォード&カレル・ヴァン・ウォルフレン 
             【検察の権力】

 

 

【「構造改革評価報告書」の数値】
 この報告書によれば、15~24歳の無業者は全国で53万人。2003年に高校、短大、大学を卒業して新たに無業者となった者は28万人。じつに卒業者の7人に1人が無業者の仲間入りをしているのだ。 ・・・(中略)・・・。この「就学援助」児童は、小中学生で約115万人。全就学児童に占める割合(援助率)は、ここ5年間に1.5倍になっているという。まさに、子どもたちの10人に1人が、長引く不況や親のリストラなどで、まともな学校生活が送れなくなっているのだ。(p.112-113)
 これは2003年11月にまとめられた報告書の数値だから、それから10年以上たっている現在は、さらに悪化しているのである。

 

 

【泥棒国家】
 国家財政が破滅的な赤字だというのに、なぜ日本では、ムダな公共工事 public works が続けられるのだろうか? (p.175)
 その財政上の仕組みは「特別会計」という予算枠にある。
   《参照》   『日本国増税倒産』 森木亮 (光文社) 《前編》
             【日本国家の二重帳簿】
 この「特別会計」 special account は、驚いたことに議会の審議なしに国家が勝手に予算を組めて使えるということになっている。私がなぜ「日本は民主主義ではない」と言い続けているか、これで分かってもらえると思う。(p.175)
 この「特別会計」には「財政投融資」という制度があって、これによって政府は勝手に国民のお金を公共工事につぎ込めるようになっている。・・・(中略)・・・。政府は年金 pension や郵便貯金 postal savings などの国民のお金を「特別会計」に入れ、議会の干渉 intervention を受けることなく、「財政投融資」という名目で使いまくってきたのである。(p.176)
 こういう仕組みが善用されていたのなら、決して今日の日本のような格差社会は出来ていないのである。悪用され続けてきた結果が今日の日本である。
 著者は以前から「泥棒国家日本」と言っているけれど、日本国政の実態を知っている人々は、下記の記述に「まさに現在の日本は、それ」と頷くことだろう。
〈クレプトクラシーとは、政権のひとつの形であり、それは文学的な表現で「泥棒支配」を意味する。それはまた、政治的腐敗の最終形態であり、そこには見せかけの誠実さも残っておらず、政府はその支配を永遠かつ強化するためだけに存在する〉 (p.213)
 資金を泥棒するのは、国内のヤクザや官僚や政治家だけでない。アメリカ(国際金融資本)にも強奪され続けているのである。
 そして、その事には一切触れずに、官僚と政府は増税と言う。この時期に、先に増税を強行採決した英国のキャメロン首相を迎えているのも、世界のマネーを強奪し続けている国際金融資本の総元締めの意向に則しているのだろう。ニュース・ゼロのキャスターも、露骨なポチ君である。
   《参照》   『幸せを奪われた「働き蟻国家」日本』 ベンジャミン・フルフォード&カレル・ヴァン・ウォルフレン 
             【失われ続ける日本マネー】