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 元公安調査課の菅沼さんと世界の闇の権力構造を知悉する中丸さんの対談。菅沼さんの小泉改革に関する発言は、「さすが元公安!」 という感じである。中丸さんの発言は、他著の中でも繰り返し述べていることだけれど、この機会に、なるべくたくさん書き出しておいた。2006年2月初版。

 

 

【郵政民営化は、「経世会つぶし」の手段】
 小泉改革の中心であった郵政民営化については、その資金をアメリカの外資に渡すものだといった経済戦争の側面を語るものが多いけれど、公安出身の菅沼さんは、それら郵政事業の元締めをする政治的人脈の視点で語っている。
菅沼 : 自民党を自民党たらしめてきた田中角栄以来の経世会、橋本派の自民党支配をぶっつぶすということです。・・・(中略)・・・。
 結局、小泉さんの標的は経世会のドン、野中広務さんだったのです。郵政・郵便局のドンも野中さんでした。(p.27)
 さらに、野中さんは同和の人だった。同和というのは被差別部落のこと。戦後の同和問題とは、朝鮮人問題と言い換えても大きなずれはないだろう。
菅沼 : 小泉さんは、まず手始めに肉のハンナンという会社を摘発した。野中さんの政治資金を断つためです。
 ハンナンは、もともと大阪府同和食肉事業協同組合から発展した会社です。同和問題というのは、いまでも日本の一種のタブーです。ご自身も認めておられるように野中さん自身が同和の人です。
 このハンナンを裏から支えていた政治家として、車を提供されていた鈴木宗男さんとか、九州の何とかとかいろいろいわれているのですが、その一番の支援者は、これこそ野中さんです。その政治力で、ハンナンに対しては、大阪国税局もいまだかつて国税調査に入ることもできなかったし、警察も検察も、何もできなかったといわれています。
 日本で狂牛病が問題になったときに、英国から肉骨粉を独占的に輸入していたのはこのハンナンなのです。しかし、当時の農林省はハンナンを全然調べられなかった。逆に、使った畜産農家を調べた。そんなことでわかりっこないです。(p.29)
 ハンナンは巨大な利益を計上していたのである。そして、このハンナンは暴力団・山口組にリンクする。
菅沼 : その(ハンナンの)利益が山口組に上納されていた。・・・(中略)・・・
 暴対法によって山口組をつぶそうと思っても、なかなかつぶせないということで、まず資金源を断つことが始まったわけです。その手始めに、ハンナンを支えている政治家をやっつけようということで、まず鈴木宗男さんがやり玉に上がった。野中さんも身の危険を感じたかもしれません。
 まず山口組の資金を断つという形で、小泉内閣は警察や税務当局とタイアップしてハンナンをやったのですが、もう1つの隠れた目的は、アメリカの要請にしたがって、不良債権のもとになっている日本社会独特の闇の部分を透明化するという政策でした。まず、そういう仕組みを政治的に支えている人たちを次々に追放していこう。そしてそれは成功しました。(p.30-31)
 小泉改革の結果、ヤクザ対策として、同和の事業とか同和が関与する地域(朝鮮)に向かって、日本国民の税金が自動的に流れ出てゆくシステムはなくなったけれど、ゴルフ場などの資産を買いあさったのは言わずと知れた禿げ鷹ファンドのゴールドマン・サックスである。
 つまり、ヤクザや朝鮮半島に流れていた資金が、アメリカに移ったようなものである。
   《参照》   『同和利権の真相』 寺園敦史・一ノ宮美成 (宝島社) 《前編》
 

 

【稲川系のブッシュ大統領】

菅沼 : 稲川会2代目の石井進会長の時代、ブッシュ・ファミリー、とくに今のブッシュ大統領のおじさんと親交があった。・・・(中略)・・・。要するに、ヤクザの世界からいえば、ブッシュ・ファミリーは稲川会と癒着している。(p.33-34)
 9・11の総選挙は、裏社会でいえば、稲川会対山口組の戦いでもあった。ところが、山口組が負けた。(p.34)
 ブッシュ・小泉には、それぞれ別の思惑があったにせよ、目的は共通していた。
 「自民党をぶっ壊す」 と言っていた小泉さんの最大目的は、野中支配体制のぶち壊しだった。郵政民営化はそのための手段だったらしい。
 一方稲川会と親交のあったブッシュは、山口組潰しに協力しながら、北朝鮮への資金源としての同和ハンナン潰しと、郵政民営化による日本資金のアメリカ化という “一石三鳥” ができたわけである。

 

 

【経済戦争による日本の敗北】
 冷戦が終わって、CIAの主要目的は、ビル・クリントンの頃から明確に 「対日経済戦争」 にシフトしていたのである。日本国内のあらゆる人脈情報が集められて準備されつつ、小泉純一郎を主役としたこのようなシナリオが描かれ、見事に完遂されたのである。
 小泉純一郎元首相個人の意図するところに限って見れば間違いとは言えないけれど、全体的な結果をみれば、日本は経済的に大敗北し、日本社会は格差が進み荒んだのである。

 

 

【ヤクザの起源】
中丸 : 昔、天皇家を守る人たちは、モンゴルとか外から入れたみたいです。すごく恰幅のいい、いろんな人たちを入れて、そして、そういう人たちがはびこらないように、独身を保たせたのです。・・・(中略)・・・。当時、公家がたくさんいましたが、『源氏物語』 などを読めばわかるように、そういう面ではかなりフリーで、貴族の女性たちとそういう人たちとの交流があった。その結果できる子供は、今でいう住民票にきちんと登録できない。だから、・・・(中略)・・・、世阿弥の時代からヤクザとして認められた。
 だから、流れとしては、欧米の普通のマフィアとかギャングとは全然違う。そういう中で、武士道とか義侠心とか、そういうものが出てきているのです。(p.47-48)
 ふぅ~~~ん。

 

 

【足利銀行】
菅沼 : 足利銀行がなぜ不良債権を抱え込んだかというと、あの銀行は北朝鮮とのつながりが一番深い銀行だったのです。北朝鮮とのコロレス契約を結んでいたので、あの銀行を通して、北朝鮮に正式に送金できた。北朝鮮から来るいろんなお金も、正式なものは、みんなあそこを通してきたのです。したがって、朝鮮総連のメインバンクでもあった。そういう関係があったので、北朝鮮系の在日の人たちにものすごい金を貸していたわけです。普通は、在日の人には銀行は貸しませんでした。バブル崩壊とともにこれらが膨大な不良債権として残った。(p.60-61)
 なぜ、北関東が本拠地の足利銀行が北朝鮮とのコロレス契約を結んでいたのだろうか? と考えると、足尾銅山とか常磐炭鉱など鉱山開発に携わる過酷な労働者として、戦前から朝鮮半島の人々が雇用されていたということがあったのだろう。
 常磐炭鉱が舞台の映画の 『フラガール』 も実質的には、在日朝鮮人の人々の物語なのだろう。

 

 

 日本の国内状況はここまで。
 以下は、中丸さんの発言の中から、国際的な闇の権力構造についての記述を抜き出しておく。

 

 

【テロリストは誰?】
中丸 : 今度、私のもとに寄せられた 『テロリストは誰?』 というDVDがあります。アメリカ国内で、CIAで長く仕事をしていた人などが、この国はとんでもない国になってしまったということで、議会でも、告発というか、いろいろ意見もいっていらっしゃるのです。・・・(中略)・・・
 私自身、長い間、『“闇”の世界権力構造と人類の指針』 とか、いろいろな形で闇の権力のことを書いてきたのですが、それを裏付けるような映像で直接見せられた。しかも、アメリカの司法長官とか、そういう方も含めて、いろんな方が証言をして、この国以上のテロ国家はないのだということを見せ付けているのです。(p.15)
 上述のDVDを購入しなくても、既にインターネット上でこれらの映像は見ることができる。それらは、この読書記録の中で、『戦争を企画する者たち』 として何度もリンクさせている。
中丸 : 1947年に国家安全保障法が生まれ、冷戦が作った組織CIA、アメリカにおける影の政府の中核です。要するに闇の権力の中核です。
 私が調べた中では、もっとその先があって、ロンドンにそのヘッドクォーターがあるわけです。ロンドンのヘッドクォーターは、アメリカではCIAを通してホワイトハウスを支配するし、全世界の政治とか軍事行動も全部支配しているという構図があります。(p.16)
 「アメリカの背後に、イギリスあり」 という記述が、中丸さんの発言の中には何度もでてくる。

 

 

【ロスチャイルドとロックフェラーの実力差】
中丸 : もうだいぶ前になりますが、私は、東京で、キッシンジャーがエドモンド・ロスチャイルドに鼻であしらわれている姿を目撃しています。デビッド・ロックフェラーから庇護を受けて、当時大統領専用機で世界を闊歩していたキッシンジャーも、ロスチャイルドにとっては、単なる使用人に過ぎなかったのです。そこに、ロスチャイルドとロックフェラーの実力差というか、地位関係が現れているのを見る思いがしました。(p.143)
 そもそもロマノフ王朝を打倒するためにレーニンはロスチャイルドから資金を受け取っていたのであるけれど、レーニンに信頼されていたアーマンド・ハマー(アーム&ハマー)という、ロマノフ王朝打倒後の国家・ソビエトの国旗そのものの様な名前の政商が、ロマノフ王朝の財宝をニューヨークで売って、その一部を原資としてFRBを作ったのだという。
    《参照》   『リチャード・コシミズの未来の歴史教科書』 リチャード・コシミズ (成甲書房) 《中編》

              【ロスチャイルドとロックフェラー】

 

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