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 出たばかりの新書の読書記録は、せめて数カ月経過するまでは掲載しないようにしているけど、この本は、日本を元気づける内容がたくさん書かれているからあえて掲載してしまう。経済だけでなく、未来技術に関しても素晴らしい内容が書かれている。ご自分で購入して読んでほしい。20011年11月初版。

 

 

【金価格】
 世界的な金融不安で、現在どの国でも金は買われているのに、日本ではそうでもないらしい。
 バブル時代に買い込んだ金を今がチャンスとばかりに換金する投資家が多いのである。(p.35)
 しかし、世界最高の個人金融資産をもつミセス・ワタナベが本気になって金に向かったら、金価格は1900ドルなどという低レベルでは留まらない。わたしが去年予測した2100ドルを超えて4000ドルに急騰してもまったくおかしくない。(p.36)
 世界最高の個人金融資産をもつミセス・ワタナベという名前が興味深くて書き出しておいた。
 下記リンク著作の表紙に、FXカリスマ ミセス・ワタナベ推薦と書かれている。
    《参照》   『誰も知らない開運絶対法則』 白峰・有野真麻 (明窓出版)

 

 

【日本と金の時代がやってくる】
 特筆すべきは金(ゴールド)である。ありとあらゆる金融商品が一方的に下落し続ける中、唯一上がり続けるのは金だけである。金は3年以内に4000ドルを目指す。金が通貨となり、混乱する世界経済の道標になりかわる。大きな時代の流れは相変わらずバブル崩壊、金融機関の倒産、国家の破綻である、という私の主張は変わっていない。一貫している。
 これはしょうがない。市場が国家を選ぶ時代だからだ。いよいよアメリカとヨーロッパ経済の破綻、国家の没落、そして中国の崩壊が始まる、そして、日本と金の時代がやってくる。(p.46-47)
 そう、世界の破綻が来ようが来まいが、いずれにせよこれから徐々に “黄金の国ジパング” が台頭するようになるのだけれど、著者自身、微生物を使った錬金術をすでに編み出していることが最終章に書かれている。

 

 

【リーマン・ショック以降】
 リーマン・ショックによって世界中の金融機関に生じた大穴は、中央銀行から市中銀行に公的資金を注入することで埋め合わされたのだけれど、
 その結果どうなったのだろうか? 「あの銀行が危ない」から「あの国(が発行する国債と通貨)が危ない」という評価へと変わったのである。こうしてソブリン・リスクが生じたのだ。(p.52)
 ゴールドマンサックスのような金融機関は、損失を穴埋めされて、リーマン・ショック以降も一時焼け太りのようなタワケタ業績を維持していたけれど、世界中にバラ撒かれていた仕組債だったから、肩代わりした国々はどこも多量の国債を発行せざるを得なかった。
 株式市場のリスクが債券市場に移っただけで、世界中の負債は現在においても何ら解消していないのである。
 いま、日米欧を合わせた国際マーケットの規模はざっと32兆~36兆ドルもある。10%下落するだけでも日本円にして300兆円の損失が出てしまうのだ。今回の金融危機の衝撃がリーマン・ショックの比でないことはこの規模からもわかるだろう。(p.53)

 

 

【米国債と日本国債】
 米国債の格付けが1ランク下げられたにもかかわらず、米国債は価格が上昇した。それについて。

 答えは簡単だ。米国債が下落する以前に株式市場や商品市場のほうが先に下落し始めていたからである。

 ・・・(中略)・・・。

 米国債はたんなる債権ではないのだ。債権のチャンピオン、債券市場のベンチマークである。このポジションはたとえ1段階下げられたとしても変わらない。AAAのフランス国債やドイツ国債ではまだまだ置き換えられないのだ。

 今後、唯一置きかえられるとしたら日本国債しかない(日本の財務省もマスメディアもけっして認めないだろうが)(p.59-60)

 円がドルに代わって基軸通貨になる可能性について語っている人々が何人もいる。
   《参照》   『そして、日は昇った!』 増田俊男 (PHP)
             【「基軸通貨“円”」は夢物語か?】
   《参照》   『これから5年 日本人が気付くべきこと』 小山政彦 (PHP研究所)
             【日本が世界経済の中心となる2つの根拠】
   《参照》   『地球維新 ガイアの夜明け前』 白峰 (明窓出版) 《後編》
             【世界通貨としての 「円」 】

 

 

【アメリカの製造業】
 日本経済を支えているようなまともな製造業などアメリカでは滅んでしまったのである。製造業という看板を掲げていても、ほとんどの企業はこの様に社債を発行したり、金融商品に投資して儲けているのだ。本業は金融業ではないけれども、やっていることは金融業そのもの。実体はかぎりなく「金融業もどき」なのである。おかげで、株価も高くなっていた。(p.79)
 リーマン・ショック以降もなかなかアメリカ経済は崩壊しないから、「もしかしたらアメリカは製造業から根本的に立ち直りつつあるのでは・・・・」 などと真面目な日本人は思ってしまいがちだけれど、アメリカ人は日本人ではない。
 先に見てきたように、アメリカは、市場リスクを債権リスクに移し替えて片肺飛行でフラフラ飛んでいるだけである。ユーロ発のドミノ爆弾が炸裂しないとしても、燃料が切れる前に着地点が見つかるかどうかである。
 アメリカの製造業の様子を書き出したついでに、金融業の様子を総括すると、
 もはや、アメリカの金融機関は独立した企業ではなく、政府に依存しなければ立ち行かない「パラサイト企業」となっているのである。(p.84)

 

 

【2度目の公的資金投入】
 リーマン・ショック以降、2度にわたって公的資金の注入が行われてきたけれど、その2回目(QE2:6000億ドル)はどう使われたかと言うと。
 この資金がどこに向けられたかといえば、なんと半分は連邦政府の高級公務員たちの給料に消えてしまったのである。肝心の経済効果などなにひとつ期待できない愚策中の愚策としかいいようがない。
 いったいなんのためにこんな愚策を決定したのだろうか? 理由は単純明快。アメリカ政府関係者、金融機関、大企業の「お仲間」たちのお手盛りで、自分たちだけに恩恵が集中するように最初から仕組まれていたからなのだ。こういうことをアメリカという国のエリートたちは平気でやる。どんなに不況だろうと大衆のことなどなんら顧みない。自分たちの銀行残高を増やすことしか考えないのだ。
 アメリカだけではない。日本だってまったく同じである。
   《参照》   『日本国増税倒産』 森木亮 (光文社) 《後編》
             【退職手当債】

 台湾だって、馬英九政権が、困窮する民間人の思いをよそに、公務員の年金をアホみたいに優遇する政策を実施したとかで、多くの台湾人たちがブーブー言っている。中国のことなんて書くまでもない。
 国や公務員なんて、世界中どこに行ったって、結局のところこんなもんである。

 

 

【アメリカの生活保護率】
 なんと全人口の47~48%もいるのだ。しかも、この数字は不況を背景にますます増え続けている。
 当局からこの数字を直接聞いたとき、さすがににわかには信じられなかったが、これが実態なのだ。(p.103-104)
 ウッソ~~~と思うけれど・・・。兎に角すごい数字である。
 で、日本の状況 を見たら、なんと! 2011年度の生活保護率は30%を超えている。ほぼ3軒に1軒は生活保護状態!!! これにはもっとビックリである。

 

 

【地球上でいちばん金融が危ない国】
 ギリシャ危機、ユーロ危機、ソブリン危機が騒がれているなか、目立たず、騒がず、おとなしくしているけれども、実は地球上でもっとも金融危機のど真ん中にいる老大国を忘れてはならない。
 それはイギリスである、リーマン・ショック以来、イギリスポンドが売られ続けている。これをどう読むか?「ギリシャの次はイギリスだ!」という市場のサイン、とわたしは考えている。(p.149)
 英米はよく似ている。トニー・ブレア首相の時期は、アメリカと組んでアジアの戦場に若者を送り出してボカスカ殺したけれど、住宅バブルで経済は好況だったから政権は長続きしていた。ブッシュ政権とそっくりである。
 サッチャー以来のイギリス政権は(メージャーを除く)平然と国民に嘘をつき続け、金融業界と大企業だけが得をする経済運営を続けたのだから、ロンドンの暴動は自業自得とも言える。(p.152)