《前編》 より

 

 

【空虚感の出どころ】
 異文化の架け橋になるんだと決意し、コンサルタントとして力を発揮すべく男性社会の中で戦ってきた日々の後、突然襲ったこの感覚。
 欠落感、空虚感・・・いや、もっと切実な<悲しみ>といったほうがいいかもしれない、そして私は、ずっと自分が心の痛みを抑えてきたことに気づき始めていました。(p.105)
 この記述を読んで、「外資系企業で大活躍している女性にありがちなパターンなんだろう。やっぱりねぇ・・・」 と思いつつ、以前読んだ下記の本の記述を思い出していた。
   《参照》   『孤独力』 津田和壽澄  講談社
           【ひとりの時間:その究極にある自然】
 <もういいじゃない、どうしてそんなに頑張るの? 男性社会に認められないと、あなたは生きていけないの?>
 えっ、何これ。わたしは声を発した自分自身に驚いていました。これまでは、頑張ることで認められてきた、という思いが自分を支えてきたのですから。
 そうか、やっぱりそうだったのか。
 自分の空虚感の正体が少しずつ見え始めてきました。(p.105)
 空虚感を克服するために、著者はイルカに接する癒しのセミナーに参加したりして、徐々に人間本来の有り方に目覚めていったらしい。
 男性性と女性性、論理と直観、Doing(行動)とBeing(在ること)。両方のエネルギーのバランスをとって、循環させて生きることが、もっとも重要なことだと私は気づいたのです。(p.111)
 これはアクエリアン・エイジの骨子である。
            【「二元性」から「両極性」へ】

 

 

【アクエリアン・エイジ】
 競争の時代ともいわれる20世紀は、タテ関係、組織、合理性が奨励されていた時代だったとも言えるかもしれません。しかし、21世紀からは、<調和の時代>とも言われています、私たちの仲間で使っている言葉でいえば<水瓶座の時代>なのです。
 キーワードはチームワーク、供創、調和、慈愛、平和。これらを価値基準の中心に置いて行動していく時代へと変化しているのです。(p.115)
 著者はおそらく、マリリン・ファーガソンの 『アクエリアン・コンスピラシー』(邦訳は「アクエリアン革命」下掲) を読んで、時代が転換しつつあることを遅ればせながら自覚したのだろう。
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 <水瓶座の時代>のキーワードは、日本文化のキーワードである “和” にほとんど重なっているのである。男女が同じ地平に立つからより良い供創ができるかといえば、必ずしもそうではない。日本を衰退させようとする勢力は、意図的に女性の社会進出を推し進めてきたのである。性差に基づいた役割分担こそが、最良の供創のはずである。
 競争の時代であった20世紀は、膨大なエネルギーを支配した男たちの野蛮な作為によって、何度も戦争が繰り返されてきたけれど、水瓶に託されている水のエネルギーが十全に活用されるようになれば(技術はもう出揃っている)、人類は少数者によるエネルギー支配から脱して、自ずと<調和・融和を基調とした水瓶座時代>に入って行けるのである。
 女性が男社会で頑張りすぎても、多分、虚しい結果にしかならないだろう。平和基調が揺るぎない時代になりさえすれば、自ずと女性の輝きは増すはずである。武家社会(鎌倉時代)以前の日本は、女性がもっとも女性として時代を輝かせていたのではないだろうか。
   《参照》   『お金の正体』 日下公人 (KKベストセラーズ)
             【働く動機】
   《参照》   『ガイア 愛と光につつまれる言葉』 アマーリエ (イースト・プレス)

 

 

【日本認識の世代間格差】
 著者がハワイに次いで住んだのはカリフォルニア州の北、シアトルのあるワシントン州の南に位置するオレゴン州。80年代の前半だという。
 お年寄りの中には、「日本には冷蔵庫があるのか」 なんてことを言う人もいます。彼らの知っているのは<戦時中のジャパン>なのです。日本製品は壊れやすくクオリティーが悪い、そんなイメージがあったのでしょう。
 一方で若い世代には、<輸出大国・ジャパン>のイメージができ始めていた。日本製の画期的な商品 ―― ソニーのウォークマンやホンダの車・アコード ―― などが脚光を浴び、<メイド・イン・ジャパン>一般に対する評価を変えつつあったようです。 “日本は繊細で洗練されたものを作る東洋の先進国” というわけです。(p.38)
 80年代には、主要な日本企業の殆どはアメリカに進出していたから、その頃のアメリカの若者と日本の若者は、同じモノに触れて生活していたのである。80年代は上記にある通りで、中盤以降は、任天堂のゲーム 「スーパーマリオ」 などがアメリカ人の若者にとっても当然の文化になっていた。欧米を中心に 『クール・ジャパン』 が認識されつつあったのである。
   《参照》   『カラオケ・アニメが世界をめぐる』 白幡洋三郎 (PHP研究所) 《前編》
              【コンピュータ・ゲーム】
   《参照》   『アトム・ジェネレーション』 小池純 文芸社
              【良いものは全て MADE IN JAPAN 】

 

<了>