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 この著作の本旨は、大いなる運を創るための方法だけれど、後半には1960年代以降に活躍していた政治家を題材にした運の様相が、前世のことを含めて興味深く書かれている。
 ソフトカバーのこの新装本は99年2月初版だけれど、これに先行する旧本は30年近く前に出版されていたはずである。久々の再読。

 

 

【ボランティア宗教家】
 私は 「神の道」 を多くの人々に語ってきたが、単なる宗教家でもなければ教祖でもない。自分で仕事を持ち、宗教や神様を売り物にして生きている人間ではない。
 いうならば、人間が幸福になるためのアドバイザーであり、自分に授かった特殊能力を、無償で世に提供する 「専門ボランティア」といったところだ。玉串料や布施をいただいても、全部人材のため、会の運営のため、福祉や公的神業のために使っている。神霊家として、目と心が曇らないためである。(p.26)
 この様なことをはっきり公言できる宗教家は、おそらく殆どいないだろう。たいていの教祖さんは信者のお布施で生活しているはずだからである。私がこの本を初めて読んだのは、もうだいぶ前になるけれど、この部分を読んだとき、「へぇ~、そんな人がいるんだ」 と思ったものである。
 「本物の神霊家ならば宗教団体など創らない」 という文言を精神世界の著作の中で読むことがあるし、それは正しいと思っている。しかし、著者の場合は、ワールドメイトという宗教団体を主催しているけれど、御自身の生活基盤はそこから独立しており、ボランティアとして 「神の道」 を語っているという事実は、凡百の宗教団体の主催者とは違って、本物の神霊家といえる可能性があるだろう。
 そもそも凡百の宗教家は、氏の著作や秘鍵開示として提供される資料から様々な知見を得て、それをあたかも自らの霊智によって感得した認識であるかのように、えらそうに信者に対して語っているのである。

 

 

【真の咀嚼力を養う】
 人間は現実界が大切であり、これを改善する具体的な努力を為さない限り、絶対に、心の世界も感覚の世界も真に素晴らしくすることはできないのである。(p.38)
 「恒産なくして恒心なし」 という諺に類する現実的な認識を語っているのだけれど、この書き出し部分は、単なる話の糸口であり、それだけのことを語って終わっているのではない。
 現実界の下には、心の世界である霊界があり、さらにその下には感覚の世界である神界があるのだけれど、この3局に関わるバランスの妙を包括的に捉える事が大切であるといっている。大いなる運を創るにはこの三局が関わっているからである。
 宗教家は神霊と教えに偏し、霊能者は霊と不可思議さに偏し、一般人は科学と通年の世界に偏する傾向があるが、私達の生きるところは、神と霊と現実との三局の調和の上にある。そして本当の神とは、三局のバランスの妙の中におわすのである。このことは、頭だけではなく、体得し、霊知し、具体的に理解実践しなければならない。とはいっても、絶対的な理解に到達することは不可能であるが、そこに向かう努力こそが、真の咀嚼力を養うことになるのだ。(p.281)
 この本には、バランスのとれた真の咀嚼力を養うための見方・考え方が、実例を交えてたくさん書かれている。
「一般社会常識に則して生きていたら、宗教オタク、霊能オタク、科学オタクのような偏屈にはならない」 と思っている人も、この本を読めば、一般社会常識に偏したオタクであったことに気付けることだろう。神霊界の見識を欠いた一般社会常識は、人生に大いなる実りをもたらす創運に至らないのである。

 

 

【至善】
 本末転倒することなく、枝葉末節にとらわれず、絶えず物事の本質と中心を見て、神の真意に直参する。これ即ち人類全ての幸せを願い、その状況をつくり出すことが 「至善」 なのである。それを目的に、私達は自己の魂を手動制御していかなければならないのだ。(p.69-70)
 人類全体という視点が欠落して、国益という視点になると、往々にして過ちを犯しやすくなる。
 かつて、破壊のためのエネルギー源として原爆開発にあたっていた欧米の科学者は言うまでもなく、創造のためのエネルギー源となることを知りながら原爆開発に進んでしまった日本人研究者も 「至善」 から逸脱してしまたのである。その当時 「至善」 に留まって揺るぎなかったのは、昭和天皇だけである。
   《参照》   『日本・原爆開発の真実』 五島勉 (祥伝社)

 

 

【運の根源】
 私は運の根源は、その人の徳分であると考えている。 ・・・(中略)・・・ 。
 つまり、徳のある人は、それだけ、強い運をもつということであり、徳を積むことが運を創ることになるのである。本質の道に合えば徳となり、徳が化して福となる。これがうまく運ばれている状態を称して 「運がよい」 というのだ。これが、本当の 「運」 というものの正体なのである。(p.78-79)
 徳については、著者の別の著作である 『大天運』 に詳細に書かれているけれど、生まれる前から持ってきた先天の徳と、生まれてから自分で積み上げた後天の徳がある。
 徳と運を繋ぐものに守護霊の存在がある。

 

 

【徳分と生きる姿勢と守護霊】
 霊の力の強弱によって、あなたの運勢も変わってくるが、霊力の強い守護霊がつくかどうかは、徳分によって大体決まっていることも多いが、ただ今のあなた次第で変わり得るのが原則である。つまり、あなたの生きる姿勢によって、強い霊力をもつ守護霊がつくか、いささかボンクラな守護霊がつくかが、最終的に決まるというわけだ。(p.92)
 下記の著作は、守護霊と徳分や生きる姿勢の相関までは語っていないけれど、宗教とは全く無関係なモンロー研究所の人々が守護霊の世界を正しく認識していることについては、大いに価値があるだろう。
   《参照》   『超意識 あなたの願いを叶える力』 坂本政道 (ダイヤモンド社) 《後編》
              【高次元の生命意識が関与する超意識】

 

 

【松下幸之助さんを守った守護霊団】
 私が天眼視したところによれば、松下氏にはその数二千三百~二千五百という大守護霊団がついていた。この守護霊の大半は中国人であるが、敬神の情深き松下氏に対し、彼らが朱元璋の悪因縁を絶ち、彼を成功へと導いていったのである。
 繰り返すが、もちろん、本人の努力なくして成功はあり得ない。しかし守護霊の力を借りなければ、これもまた大成功を得ることはむずかしい。
 つまり、本人の努力が、守護霊を呼び、両者の力が相まって初めて、実りを得ることができるのである。(p.100)
 明の朱元璋は松下幸之助さんの前世。松下電器は、最も早くから中国へ進出していた企業でもある。