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 愛・地球博の市民パビリオンで第一回アースデイ環境出版大賞を受賞した作品だという。核戦争によって生き残った人類が1000人になったというストーリーで、その時の生存者の心に託して、人類が気づくべき点を指摘している。ページの半分は絵。2005年8月初版。

 

 

【後悔?】
 みんな思いました。
 なぜ安全な食べ物が豊かにあったときに、食べるものがなくて
 死んでゆく人々がたくさんいることを知っていながら、
 自分たちの食べ物をもっと分け与える努力をしなかったのだろう!
 みんなその悔しさから泣きました。 (p.16)
 現在も、福島原発の地震による破壊で放射能問題が人々の念頭にはあるだろうけれど、一般大衆はおそらく自分自身と自分の家族が安全であることを考えているだけで、世界中の多くの地域で食べ物がなくて死んでゆく人々がいることに想いを巡らせている人々など、それほどいないだろう。
 何といってもこの様なことに想いを巡らせるべきなのは、世界中の政治指導者なのだけれど、彼らは世界的な影響力を持つ産業利権構造人脈の中から供給されているだけの傀儡である。つまり、私企業の利益を代弁する連中ばかりで、世界の貧困問題など最初から全然考えていない。
 世界利権の中枢である世界の金融資本家が本気で考えているのは、この本にあるような後悔とは真反対の意図を持ってする人類全体の人口削減計画なのである。彼らは、地球が放射能で住めなくなることをも想定して、他の惑星へ移住する計画を本当にすすめているのである。
   《参照》   『闇の世界権力の「日本沈没計画」を阻止せよ』 中丸薫/レオ・ザガミ (ヒカルランド) 《前編》
              【闇の世界権力の世界人口削減計画】

 世界中の多くの政治家の人間性のレベルは甚だしく低いのである。先天的な人間性のレベルが基準値に達していない人々が権力や財力を持つと、その力や量に比例して人類全体の人間性のレベルは著しく低下する。人類が総体として素晴らしい社会を築けていない本質的なボトルネックは、実はこの点なのである。
   《参照》   『「びっくり現象」こそ決めて』 船井幸雄 (あ・うん)
              【意識レベル】

 しかし、そんなレベルの低い人々による利権構造に支配された政治経済構造が出来てしまっているからといって、それで諦めてしまうのはよくない。一人一人が、そのような邪悪な構造を見定めもせずに許容してきたという見方も、確かにできるのであるから。

 

 

【与えることを優先する】
 生き残った1000人は、放射能汚染を免れた大洋の孤島で共同生活するようになるというストーリーになっている。そのような原始的な生活に戻れば、一人一人が独自に自分の生活を支えるということは実質的に不可能である。そのようなことはあまりにも効率が悪くて到底できはしない。だから、互いに助け合い共に生産に従事する原始共産制の形態が自ずと形成されるのである。
 みんな人の悩みをわがことのように思うようになりました。
 大人たちはみんな一つの素晴らしい考え方に気づいていたのでした。

 それは、常に 「与えることを優先する」 という考え方でした。
 みんな、人が喜ぶことをいつも考えるようになりました。

 それは、自分よりも他の人のこと心配してあげることでした。
 それは、他の人の願いや思いを叶えてあげようとすることでした。
 それは、みんなの悲しみや苦しみを一緒に感じてあげることでした。(p.126)
 この物語のように、核戦争で全てが破壊され生き残った人類が1000人になるというようなドラスティックなものであれば、既存の利権構造は完全に破綻しているのだから、このような一人の人間としての善性は、ダイレクトに社会に投影され実現するであろう。
 しかし、そのような最終的な極端な解決法を持つのでは意味がない。極端な破壊を経る前に、社会を変えなければならないのである。
 近年の日本の政治において、 “友愛” を掲げた鳩山政権は、アメリカとアメリカの利権構造に巣食う官僚やマスコミによって破壊されたのである。
   《参照》   『神との対話 ②』 ニール・ドナルド・ウォルシュ (サンマーク出版) 《前編》
              【友愛の国】

 現在の菅政権は、日本国民のために用いられるべき国費をアメリカや官僚を富ませる資金として用いているのである。この様な政治の流れは、まさに核戦争へと向かわせる戦争経済に組みするもの以外のなにものでもない。
 このまま “我良し” の政治家と官僚とマスコミに支配され続ければ、多くの民衆は格差社会の底辺で苦吟したまま、日本は世界の変革を先導すべき本来の役割など、いつになっても決して担うことができないだろう。
   《参照》   『新たなる金融危機に向かう世界』 副島隆彦 (徳間書店) 《後編》
            【日本の将来を潰した者達】
            【迫りくる嵐に備えて・・・】

 

 

【人類が目指すべき社会】
 人類が目指すべき理想的な社会は、かつて地球上に存在したのである。そして、未来においても、破壊を経ることなく理想的な社会へ至ることは決して不可能ではない。そのような社会の事例は、下記のような書物や映画を通じて、既に大衆に示されているのである。
   《参照》   『アミ小さな宇宙人』 エンリケ・バリオス (徳間書店)
              【アミの星】

 世界の指導者たちが “我良し” の概念を放棄するだけで出来ることなのであるけれど、彼らがそれを拒否し続けるなら、宇宙規模のイベントを通じて、意識レベルの低い大衆をも巻き添えにして消え去ってもらうしかなくなるだろう。

 

 

<了>