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 脳科学者でもある女性著者による女性のための人生指南書である。男性と女性は脳科学的・生理的に違うのだから、その違いを知った上で生き方を工夫しなければいけない。だから男性が読んでも学びの多い本である。
 豊富なイラストと共に、若者向けに、くだけたというかブッ飛んだ記述がされている。非常に効果的な表現でもあるから、それらの一部をそのまま書きだしておいた。

 

 

【望むとなれない「しあわせ」?】

 実は脳科学の立場から考えると、〈しあわせになれる人は 「しあわせになりたい」 などと思う状態にない〉 ということになります。ここ、非常に大事です。もう一度、ゆっくり読み直してくださいね。(p.26)
 自己啓発系の著作なら、決してありえない記述であるけれど、著者は、女性の特性を踏まえた上でこう表現している。その理由は以下の記述である。

 

 

【いい女は直感力だ!】

 女性脳の素晴らしさは、豊かな直感力があることです。
 直感力がしっかり働いていればなんとなく選んだもの、偶然出会った人が、すべて予想以上。仕事の成果も、恋の成り行きも、常に予想を越えて与えられる・・・。
 つまり、欠落感を感じる隙間がないので 「しあわせになりたい」 なんて望んでいる暇がないわけです。(p.38)
 「しあわせになりたい」 と言葉を使って思っていること自体、直観力が活かされていない証拠とも言える。直観力はロゴス(言葉・理性)を越えているのである。男性にとっても冴えた直感力があったら鬼に金棒である。
 女性は男性に比べて直感力に秀でているという根拠が示されている
 ☆女性脳は男性脳よりも脳梁が太く、脳内での情報連携がスムーズ。
 ☆よって、「考える力」 と 「感じる力」 を連携して発する直感力が豊か。
 ☆女性本来の直観力をキープすれば 「予想以上の成果」 を得られる!
 ☆言語や記号をつかさどる左脳ばかりが働くと脳のバランスが崩れる! (p.39)
 脳梁とは、右脳と左脳を繋ぐ部分のこと。
   《参照》   『感じることば』 黒川伊保子 (筑摩書房)

             【少年と少女】
 男性は脳梁が細いから、左脳と右脳のバランスが崩れやすい。合理的思考というのは専ら左脳の働きに依っているのだけれど、数値に強く具体的かつ明確に表現できる人を 「頭がいい」 と思いやすい傾向がある。しかし、本当はそれだけ右脳が劣化し左脳に偏った畸形人間と言うだけのことである。
 外資系企業での職歴がある女性は、仕事を通じて左脳偏重になっている筈である。勝間和代さんのような女性は、男性の間に伍して自力で生き残るために、より左脳的能力を高めることによって(つまり畸形化して)成功しているといえるのではないだろうか。
 直感力の骨子は “右脳と左脳のバランス” であって、左脳に偏っても右脳に偏ってもいけない。左脳偏重になれば、女性本来の良さを死滅させた状態でビジネスの世界でそこそこ生き残れるけれど、右脳偏重になったら、ヘンな男に入れ込んで 「ダメンズウォーカー」 になるのである。

 

 

【恋の始まり】
 恋のすべては、フェロモンを嗅ぎつけることから始まるのです。
 センサーが鋭ければ鋭いほど、あなたの周囲に恋があふれ、アナタはモテル女になる。
 反対に、センサーが鈍いと、好みのフェロモンを感じられなくなり、恋も訪れない。
 「最近、いい男いないんだよね~」 
 これは、大いなる誤解です。
 アナタ好みのフェロモンを発する男性は、この世の中にごまんと存在している。
 ・・・(中略)・・・ アナタの脳の直感力が鈍っている証拠なのです。(p.51-52)
 臭覚は、左脳でも右脳でもなく脳間にある部位が感知する機能を担っている。これらの部位は、人間が本来持つ霊性の座でもある。直感力というのは非常に高度な能力なのである。三高などという数値化された尺度で相手を選ぼうとするのは、女性が本来もっている高度な能力、即ち直感力を放棄しているのと同じである。
 女性脳、特に若い女性の場合、弾道ミサイル並みに自分の好みの男にきちんと追随していく、そういう高い能力を誰もが生まれつき持っているのです。(p.56)
 女性は、あまり父親から人生観を学び取るべきではないだろう。社会的に成功している父親であればある程、女性脳の特性とは相いれない生き方を教示する傾向が強くなるはずである。

 

 

【しあわせ脳になるために必要なこと】
 一番の基本は、ちゃんと眠ることです。
 それも早寝。夜10時にはベッドに入り、深夜2時までの4時間はとにかくグッスリと眠ってください。
 なぜ夜の10~2時なのかですって?
 この時間帯は、睡眠を誘うメラトニンと呼ばれる脳内ホルモンがもっとも多く分泌されるゴールデンタイムだからです。(p.68-69)
 メラトニンは新陳代謝促進による美肌効果に関与しているけれど、それがポイントなのではない。
 もっと重要なのは、
 脳の中にある海馬の活性化に非常に役立つということ!
 ・・・(中略)・・・ 
 海馬とは、フェロモンセンサーのところでお話した、脳にある〈知識工場〉のこと。 (p.70)
 海馬は、脳間にある非常に重要な部位である。フェロモンを感知して弾道ミサイルのような追尾能力を発揮する重要な個所と理解しておけばいいだろう。
 なお、メラトニンは光を感知すると分泌されないから、電気機器から発する些細な光であっても好ましくないと書かれている。布をかけるとかして真っ暗な空間で寝るのが大切だという。

 

 

【女性脳の特性 : 摂食中枢と性欲中枢】
 摂食中枢と性欲中枢が非常に近しいところにある女性脳の場合、甘いものを食べたときに感じる陶酔感というのは、性欲中枢がつかさどる恋の陶酔感とよく似ているため非常に混同しやすい。(p.101)
 このような女性脳の特性によって、失恋した日にケーキのやけ食いをしたらスッキリする、ということが起きるとか。
 ということは、モテたくてダイエットしていたのに、その結果、空しく失恋ということにでもなったら、そのリバウンドたるや、相当強烈なものになるのだろう。し~~~らない。

 

 

【男性脳の特性 : 不安感と性衝動】
 男性にとって、意識に作用する最も重要な男性ホルモンとは何か。それは睾丸から分泌されるテストステロンというホルモンです。これは数あるホルモンのなかでも、非常に作用の高いものとされ、競争心やアグレッシブな気持ちを作り出します。なかでも性衝動。
 「オンナとやりてー!」 
 という気持ちが起こるのは、このテストステロンというホルモンのなせるワザなのです。
 ・・・(中略)・・・ 。
 じゃあ、どんなときに 「やりてー!」 ホルモン(テストステロン)が分泌されるのか?
 これがまことに不思議なことに、「不安になったとき」 や 「感情が不安定なとき」 なのです。(p.155)
 男性の場合、攻撃性を生み出す根本に不安感があり、これは性衝動ともリンクする。
 男性脳と女性脳は構造的に違うのだから、それをとやかく言っても仕方がない。違いを知っておくことが何よりも大切。
 男性のイライラはテストステロンというホルモンに関与しているのに対して、女性の排卵期のイライラはエストロゲンというホルモンに関与しているのだけれど、その場合の対処法を、以下のように書いている。

 

 

【反省しなくていい】
 排卵前のイライラで、彼に意味なく意地悪な電話をかけてしまった。
 当たる男子が身近にいなくて、お茶碗を思い切り叩き割ってしまった。
 それもときにはアリでしょう。
 加えて大事なのは、それはとるにたらない 「反省しなくていい」 ことだということ。

 ものわかりがいい女を演じるのはやめましょう。
 排卵前の無性にイライラする月に3日くらいは鬼になりましょう。
 自分を解き放つときは、ほとばしるように解き放つ!
 直感力が働いているというのは、そういうことなのです。(p,158)
 感情は表に出してしまえば根に持たなくて済む。怒りっぽい人はこのことをよく知っているから、旗日の女性の狂気を、むしろ楽しんで見ることができる。
 「反省しなくていい」 と言い切ってくれるとスッキリするけれど、旗日以外の暴走であっても、「そんなに反省しなくていい」 のではないだろうか。そもそも 「反省」 という漢字を分解すれば、「少な目に反る」 となる。倫理観・道徳観が行き過ぎれば “直感力” も “自在性” も失われるのである。
 何にしても溜め込むと直感力は機能しなくなるのである。お金もである。
 すべてのわだかまりから離れて心スッピン、心爽快でいることが直観力を維持する秘訣である。
 女性の場合、ストイックより大切なのは 「官能的」 であることです。(p.125)
 女性脳の特性を生かそうと思ったら “脱言語” 、すなわち、言葉を意味として話すより、言葉を感じるように生きた方がいいらしい。だから、著者は 『感じることば』 という著作を著すことができたのだろう。

 

 

  黒川伊保子・著の読書記録

     『しあわせ脳 練習帳』

     『感じることば』

     『「無邪気な脳」で仕事をする』

 

   【タイトルに “しあわせ” が入っている著作】
  『しあわせ』 レイフ・クリスチャンソン  岩崎書店

  『日本のしあわせ』  廣瀬裕子  PHP

<了>