イメージ 1

 日下さんが既刊書の中で語っていることがこの書籍にも記述されている。中心となるキーワードは “奴隷” である。奴隷経済を一貫して続けてきた欧米と中国の史実が具体的に記述されている。
 そして、そのような奴隷経済国家であるアメリカが、日本をどのように見ているのか、最後にハッキリ書かれているので読んで知っておいた方がいい。

 

 

【米中に共通する 「奴隷経済」】
髙山 : アメリカと中国のもう一つの共通点は、本質がともに 「奴隷経済」 だということです。
 国家の本質を知るには、国の成り立ちを見れば一目瞭然です。中国の歴史を見ると、人民は奴隷に等しい扱いで、戦乱時には真っ先に殺戮と略奪の対象になりました。現在の、中国の民衆は共産党の一党独裁を支えるために汗水たらして働き、いっさいの反抗は許されない。
 中国で自由経済などというのは、まがいものでしかありません。毛沢東時代のように労働者や農民を土地に縛りつけてこき使い、死ねば田んぼに埋め、肥料の代わりにするという 「奴隷工場」 が、中国経済の原動力です。
 同様に、アメリカ史を読んでいて驚くのは、メイフラワー号がアメリカに着く前年の1619年に、すでに 「奴隷市場」 が出来ていたことです。
 アメリカの奴隷解放宣言は1863年ですから、1619年から数えると、じつに244年ものあいだ、奴隷売買を続けたことになります。
 ・・・中略・・・。
 アメリカに開拓者が入ったのは、ヨーロッパで中世の魔女狩りが終わりはじめたころで、その同じ時代に、アメリカは奴隷を使い、インディアンの民族浄化(エスニック・クレンジング)を続けていた。
 中世以前の蛮行を重ねてきたのが、アメリカの歴史そのものです。 (p.21-22)
 アメリカ人が奴隷としていたのは、必ずしも黒人だけではない。アフリカから奴隷を連れてくる以前は、白人の女性が奴隷とされて売買されていたのだし、奴隷解放後も、首が日焼けした低賃金労働者の白人は 「レッドネック」 と呼ばれ、アイルランド系の人々は 「ホワイト・ニガー」 と呼ばれていた。
 中国の農民と都市住民を峻別する 「戸籍制度」 は、欧米の 「人種(奴隷)差別政策」 に相当すると考えられるけれど、欧米人はかつて自分達がやってきたことだから、中国の 「戸籍制度」 を非難できない。
 また、アメリカで奴隷解放宣言がなされた後ですら、アメリカ西海岸に渡った東洋人達は、大陸横断鉄道敷設の過酷な労働に使役され累々たる屍をさらしていたのである。
   《参照》   『「マネー」より「ゼニ」や!』 日下公人・青木雄二 ダイヤモンド社
             【鉄道の枕木の数だけ中国人の死骸がある】

 アメリカがインディアンに対してしたようし、中国はチベットに対して立派にエスニック・クレンジングを行っている。
 自国民であろうが他国民であろうが容赦なく食い潰す。それが奴隷経済を運営する者たちの真の姿である。

 

 

 

【略奪経済】
髙山 : 中国進出のときは、現地の要望に日本企業が応えた結果、相手に騙されて、ほうほうの体で帰ってきました。
 アメリカも、1980年代はカリフォルニアに日本企業が800社以上進出し、雇用の30%以上を支えていました。しかし、90年代になると、1年で100社ずつ減っていく。皆、詐欺に遭って潰れていったのです。
 日本人ビジネスマンの生首がロサンゼルスやニューヨークに晒されていない点を除けば、インディアン略奪と全く同じです。(p.69)
 90年代は、日本政界の要人を呼び出し 「アメリカに逆らうな」 と恫喝し続けたクリントン政権の時代である。日本のマスコミはアメリカの番犬みたいなものだから、こう言ったことは決して報道してこなかった。クズ以下である。
 しかし、その後、日本企業がいなくなっては州経済が立ち行かないことが明白になり、日本人に知名度のある映画俳優のシュワちゃんをカリフォルニア州知事にして回復を狙ったのであろう。
 中国も、最初に進出した日本企業を騙し、すべて帰ってしまってから、「これではマズイ」 と気づいて、その後、第二弾の中国進出時には、以前ほどの酷さはなくなっているらしい。
 ゴロツキ国家は、カツアゲしてから、やはり教養ある日本人がいないと立ち行かなくなると気づくのである。
 ところで、 「奴隷経済」 と 「略奪経済」 は同じではないけれど、 “自分では働かない” という点については同じである。 投機に熱中する欧米人や中国人の根本的な庶民気質は、日本人と大きく異なっている。
   《参照》   『あと3年で、世界は江戸になる!』 日下公人 ビジネス社
            【自分で働く日本人、他人を働かせる中国人】

 これが日本と諸外国の社会文化の違いを知るうえで、最もわかりやすく重要なポイントであろう。

 

 

 

【リベラル】
日下 : 白人優越主義の根本はキリスト教で、アメリカにモラルがないのではなく、それが 「彼らのモラル」 なのです。
 リベラルというのは解放奴隷のことですが、奴隷が解放される理由の一つは高齢化による体力の低下です。ブラジルのサンパウロに丘があって、地下鉄工事で丘を掘ったところ、人骨の山だったので、路線を変更したことがありました。そこは約45歳の黒人奴隷の体力テスト場があったところで、重量級の運搬テストなどがあり、不合格者は殺したのです。これは、食費と労働に関するコスト・ベネフィット・アナリシスという経済学の考えの淵源だと思います。 (p.23-24)
 白人優越主義というモラルに貫かれたアメリカという大国は “どれほどひどい国か” を日本人はよくよく認識しておくべきである。
髙山 : 豊臣秀吉が 「バテレン追放令」 を出したのは、九州にいた外国人宣教師が日本人を奴隷として売り払ったからです。宣教師による奴隷売買を知った秀吉が、コエリョという神父を呼びつけ、国外に売った日本人を連れ戻さなければバテレンを締め出す、と命じたのです。(p.25)
 かつて奴隷をもったことのない日本は、この点を論拠にして “昔から高度な文化国家” であることを主張できるのである。
   《参照》   『数年後に起きていること』 日下公人 PHP研究所
            【 「人種差別撤廃」 を世界で最初に唱えた国】

 

 

 

《後編》 へ