著者の見解は西洋の占星術や心理学を元にしている。著者の本は、女性にとってとても分かり易い記述になっている。数ある占星術師の本の中でも、ジンワリと理解できる的確さがあるように思う。
【アニマ、アニムス】
この2つの用語をキーワードに記述されている。河合隼雄さん等の著作でユング心理学を読んだことのある人々ならお馴染みというか、最も基本的な用語である。
アニマ は、男性の中にある女性性。
アニムスは、女性の中にある男性性。
アニマは、 母、娼婦、アマゾン、巫女、に細分化され、
アニムスは、父、少年、英雄、 賢者、に細分化される。
4×4=16通りの組み合わせごとに具体例が記述されている。自分と相手が、どの細分化パターンに分類されるのかフローで判定した上で、これらの該当箇所を読んでみるとかなり参考になるように思われる。
因みにチャンちゃんのアニムスは賢者で、これによく合いそうなアニマは娼婦である。賢者や娼婦といっても象徴的に表された用語なので、内容は丁寧に読んでみる必要がある。
【「合うか合わないか」だけでは意味がない】
上述のパターンで組み合わせの良し悪しは分かるけれど、だからと言ってそれで人間関係を定め判定してしまうのでは意味がない。あくまでも 「占星術や心理学による判定を知ったうえで、自分はどうするか」 が重要なことなのである。
「合うか合わないか」 を調べるためだけの占星術や心理学というのであるならば、この世に存在する意味などない。個人の内的成長のために利用するべきものなのである。
【「無意識との折衝」】
ユングは自己分析のことを 「無意識との折衝」 と呼んでいました。自分の中の神々の姿をかいま見て、何とか交渉しようとするわけです。完全にコントロールするのはムリにしても、自分の心と仲良くすることはできるからです。 (p.28)
この記述の中の “自分の中の神々の姿” という表現には重大な問題がある。というか誤解を招きかねない。無意識の中には様々な階層があるので“神々の姿”と単純に表現することは不適切である。
無意識の中には、霊的存在が潜在する場合があり、神々というには程遠い存在である、満たされなかった欲望を抱えたままの祖先の意識体とか、一般に怨念霊といわれるものが憑依している場合もあるからである。場合もあるというより、殆どの人々は、霊的存在から程度の強弱はあれ必ずや影響を受けている。
この様な霊的存在を、占星術や心理学だけで扱うのは不可能である。無意識に関わるものの中に、霊的存在が全く無い人に限って、占星術や心理学が有効なのである。だから著者は、“完全にコントロールするのはムリにしても、自分の心と仲良くすることはできるからです。” と書いているのである。
<了>
鏡リュウジ著の読書記録