ホンジュラス、「ブラジルW杯2014」出場決定じゃああ!! | 元U-20ホンジュラス代表GKコーチ・山野陽嗣の「世界一危険な国での挑戦」

ホンジュラス、「ブラジルW杯2014」出場決定じゃああ!!







 ホンジュラス、「ブラジルW杯2014」出場決定じゃああ!!



 南アW杯に続き、「2大会連続3度目」のW杯出場じゃああ!



 どうも!!パーまいど!!べーっだ!久しぶりにテンション高いです!!アップ我らがホンジュラスがやってくれました!!おめでとう、ホンジュラス!!クラッカー感無量です!!汗

 前回の「南アW杯2010」では、2次予選から本大会に至るまで「全21試合」を写真と動画を交えて詳しくブログに綴ってきましたが、今回の「ブラジルW杯2014」では、なかなか時間がなくてできず…。【南アフリカW杯・予選&本大会 ホンジュラス全試合特集ブログ記事一覧 2008年~2010年

 今回の北中米カリブ海地区予選も一筋縄ではいきませんでした。絶体絶命の窮地に立たされ、「もう無理か…?」と諦めかけた時期もありました。あの「W杯5大会連続ベスト16」の世界的強豪メキシコが出場を決めれずニュージーランドとのプレーオフに回る前代未聞の事態が起こった事を見ても「いかに今回の予選が過酷であったか」を窺い知る事ができます。裏を返せば、そんな強豪メキシコを押しのけての「W杯出場」には大きな価値があるし、近年のホンジュラスサッカーの成長と進化を、世界に存分に証明しました。


※北中米カリブ海地区・最終予選のホンジュラスの全試合&全ゴール(対戦相手のゴールも含む)のハイライト動画です!!






 どの試合も超重要で、全てが厳しい戦いでしたが、そんな中でも大きな大きな「ターニングポイント」となった試合が2試合ありました。


 まずその内の1試合目は、最終予選の1つ前…「3次予選」までさかのぼります。3次予選でホンジュラスは苦手のパナマ、カナダ、キューバと同じ組に入りますが、初戦のパナマ戦を何と得意とする「ホーム」で「0-2」と敗北して最悪のスタートを切ると、その後も勝ち点を伸ばせず、最終節のカナダ戦を迎えた時点で「グループ3位」と低迷(2位までしか最終予選に進めません)…。しかも最終節の相手は、2位のカナダとの「直接対決」。確かにこの試合はホームではありましたが、カナダは「引き分けでも3次予選突破(最終予選進出)」という有利な状況なのに対し、ホンジュラスは「負けはおろか引き分けさえも許されない」…「勝利以外は予選敗退」という大変、厳しい状況に追い込まれていました。※この時点でカナダがホンジュラスを「勝ち点2差」でリードしていた。

 勝つしかない。しかしホンジュラスは3次予選でここまで、パナマとカナダには3試合を戦って全て無得点(それぞれパナマにホームで「0-2」、アウェーで「0-0」、カナダにアウェーで「0-0」)と深刻な得点力不足に陥っており、さらに対戦相手のカナダはパナマを破るなど勢いに乗っていたため、正直「このままホンジュラスは最終予選にすら進めず予選敗退するんじゃないか…?」と、最悪な結末も覚悟しました。

 ところが蓋を開けてみると…。崖っぷちに追い込まれていたホンジュラスが突如、覚醒してカナダを8-1」と記録的大差で粉砕!!カナダは決して、弱い相手ではありません。アジアで例えるなら、日本が中国に「8-1」で勝利するようなものか。正に「奇跡的な大どんでん返し」で、見事にグループを首位で通過し、最終予選進出を果たしたのです!!※この試合の「衝撃の8ゴール」の動画や詳細に関して書いたブログは→信じられない試合




 そして、もう1つの「ターニングポイント」となった試合は、最終予選の第7節・強豪メキシコとのアウェー戦。カナダを「8-1」と記録的大差で粉砕して最終予選に進出したホンジュラスは、最終予選にもその勢いを持ち込み、初戦のホームでのアメリカ戦を【まるでキャプテン翼のようなありえない超絶スーパーオーバーヘッドゴールは歴史を変えた】で勝利!!!後にぶっちぎりの1位でW杯出場を決める事になる北中米カリブ海地区「最強」のアメリカを撃破していきなり首位に立つ最高のスタートを切ったホンジュラス…。このまま全てが上手くいくかに思われましたが、そうは簡単に物事は進まなかった…。この後、大苦戦。立て続けに3敗を喫し、順位も自動的にW杯出場が決まる「3位以内」に届かない「4位」に低迷…。

 「あと1敗でもしたら終わり」という崖っぷちの状況で、この第7節…「3位」の強豪メキシコとの生き残りを懸けた「直接対決アウェー戦」を迎えたのです。

 僕はこの試合、正直「勝つのは相当、難しい。何とか引き分けに持ち込めれば、それだけでも凄い事だ」と考えていました。それもそのはず。何とメキシコは、長年行われてきたW杯予選において、歴史上たったの「1回」しか「ホーム」で敗れていないのです。1回ですよ、1回!!当然、ホンジュラスは歴史上ただの一度もメキシコにアウェーで勝った事はなく(ホンジュラスに限らず、このたった「1回」の勝利を収めたコスタリカ以外は誰も勝った事がない)、しかもメキシコも引き分けでもW杯出場が危なくなる崖っぷちの状況なので、500%本気も本気…それこそ死ぬ気でホンジュラスに勝ちにくるため「今度の今度こそホンジュラス終わったか…?」と再び予選敗退を覚悟しました(ちなみにこのホンジュラス戦の直前にメキシコはコンフェデで日本に「2-1」で完勝しています)。

 こうして迎えた、メキシコとの運命のアウェー戦。絶対に負けられない試合なのに開始早々にミスから致命的な失点を喫し「0-1」で前半終了…。僕はもちろん、ホンジュラス国民の誰もが「今日は負けた」と諦めかけました。

 しかし、後半…。ホンジュラスが、またしても突如、覚醒!!低調な前半とは別人のように動きが良くなったホンジュラスは、この後、電光石火の2ゴールを奪って大逆転勝利!「ホームのメキシコ」に歴史上「2度目」の土を付けると、順位もメキシコを大逆転して自動的にW杯出場が決まる「3位」に浮上!そしてその後の3試合を無敗で乗り切ったホンジュラスは、見事にブラジルW杯出場2大会連続3度目のW杯出場)」を決める事となるのです!!


※アウェーでメキシコに「2-1」で勝利した歴史的試合の動画。特に勝利を決定付けた2点目は「スピード、パワー、エグいシュート」という「ホンジュラスらしさ」が詰まった会心のゴールです!!(ちなみに1点目も同選手の「エグいシュート」から始まっています)






 今回のホンジュラス代表は、これまで長年に渡ってチームを支えてきた「ホンジュラスの英雄」ダビド・スアソや、イタリアで10年間活躍した「ホンジュラス最高のファンタジスタ」フリオ・セサル・デ・レオンなど歴戦の勇士が大量に抜け、正に「1から」チームを作らねばなりませんでした。

 しかも抜けた「歴戦の勇士」たちに比べて「現在の選手」たちは、どのポジションにおいてもタレント不足…。残念ながら「個」の能力においては、これまでのホンジュラスと比べて「ワンランク落ちる」というのが現状でした。普通にタレントで勝負していたら、確実に予選敗退していた事でしょう。

 そんなホンジュラスサッカー界の「危機」に代表監督に就任した名将ルイス・スアレスは、個の能力で劣る部分を「チーム全体の組織的ハードワーク」で補う戦術を採り、選手もこれまでのホンジュラスのような「華やかなテクニシャン」タイプや「爆発的な身体能力を有する破天荒」タイプは皆無で、「派手さはないけどチームのために走れる、ハードワークができる」選手ばかりを招集。さらに昨年のロンドン五輪の監督も兼任したスアレスは、五輪でホンジュラス史上初の「ベスト8」に導き、その五輪で活躍した選手を上手くフル代表に融合させ、長中期的視野に立った強化で戦術面も確実に浸透させていき、過去の「ド派手だけど欠陥が多い」ホンジュラスとは一線を画する「地味だけど手堅いチーム」を作り上げ、見事にW杯出場へと導いたのです。

 確かに「地味だけど手堅いチーム」が故に負けた試合もあったし、試合内容も時につまらなくて批判を浴びましたが、この「地味だけど手堅いチーム」は、相手が強ければ強いほど逆に力を発揮する事は、ロンドン五輪の決勝トーナメント1回戦のブラジル戦でも証明済み。※ネイマールやフッキ、オスカル、マルセロなどフル代表選手を大量に有したブラジル相手に前半20分で退場者を出して70分間を1人少ない10人で戦いながら(最後はもう1人退場者を出して9人で戦った)、2度に渡ってブラジルをリードするなど互角に渡り合った。その試合に関して書いたブログは→【世界を感動させた誇り高き「英雄」たち

 ルイス・スアレス監督は「ドイツW杯2006」でもエクアドルを率いて「史上初の決勝トーナメント進出」を果たしているし、ホンジュラスでも上記のロンドン五輪で「史上初の決勝トーナメント進出」を果たすなど、正に「決勝トーナメント進出請負人」。彼の率いる「地味だけと手堅いチーム」は、予選よりもむしろ「本大会」で結果を残せる可能性が高いのです。

 僕は今回のホンジュラスは、ブラジルW杯で世界をあっと驚かせる凄い事を成し遂げてくれると信じています。


 そして僕自身ホンジュラス代表GKコーチになってW杯に出場し、日本を倒してベスト16以上に進出するという夢を諦めていません。


 当然ながら、すでにホンジュラス代表には別のGKコーチが居るので、僕が今回、ホンジュラス代表GKコーチに就任してブラジルW杯に出場できる可能性はほぼ無きに等しいですが、ホンジュラスがW杯に出場するからには、可能性は決して全くの「0(ゼロ)」ではないし、ハチャメチャな国ホンジュラスでは「大会直前になって突然スタッフ変更」って事が実際に過去に何度か起こっているし(北京五輪でもあった)、もしそうなった時にホンジュラス最高峰リーグでGKコーチをしていれば、代表GKコーチに就任できる可能性も無くはない…。

 いずれにしても可能性は極めて低いですが、「0.001%」でも可能性がある限りは、僕は決して諦めずに全力を尽くします。だって、そのために命懸けで、日本での生活を捨ててまで今回、ホンジュラスに来たんですから…。

 可能性が低いので言おうかどうか迷いましたが、やはり「言霊」…全ては発する言葉から始まるので、あえて最後に言わせて頂きます。



 待ってろよ、ブラジル。



 「夢実現」に向けての戦いは、これからも続いていきます!!



「日本→中国→アメリカ→イングランド→ホンジュラス→ジャマイカ→パナマ→オーストリア→南アフリカ→日本→シンガポール→日本…」 -ホンジュラス、ブラジルW杯出場!



◆連絡先メールアドレス: cafehondurasyoji@hotmail.co.jp