筆者はこれまでプロボクシングの世界は高校生時代から20年以上関わってきている。

そうした中でボクシング以外の競技でもそうだが、アジア人の骨格が向上した感じがする。

最初にそれを感じたキッカケになったのは、プロボクシングの東洋タイトルマッチだったが、それ以外の競技にも通じることなので、それをこれから述べたい。

昨年(2017年)秋まで東洋王者だったタイ人にラーチャシー・シットサイトーンという拳士がいた。

東洋にタイ人拳士が絡むこと自体には何の驚きもないが、1つだけ驚くことがあった

このラーチャシーという拳士がスーパーウエルター級(69.8kg)の拳士だったことだ。

ひと昔前のタイというのは食料事情が悪く、満足な食生活が受けられないタイ人は、一般人含めてかなりいた。

貧乏な生活からか、一日一食というもあってそうした環境からか、成人男性でも身長160cmというのもザラで、タイ人が絡む階級というのは軽量級が一般的だった。

そもそもボクシングで1番軽いミニマム級(47.6kg)という階級を新設したのも、もともとムエタイの階級だったのをタイとフィリピンのボクシング関係者が統轄団体に頼み込んで作ってもらったからである。

しかし21世紀に入り東南アジア諸国も経済発展を果たし、これらの国の食料事情も劇的に改善され、育ち盛りに沢山のご飯が食べられるようになった。

一方でボクシングではないが、ベトナムの小学生に肥満の問題も発生してきた。

これまでには考えられなかった東南アジアの環境の変化が起こりつつある。

脱線した話を戻そう。そうした東南アジアの食料事情の改善が彼らの骨格を急成長させた。

そうした状況からか、以前は180cmの拳士が集うスーパーウエルター級でも、タイ人拳士がタイトルに絡めるようになった。

それは、今回のブログタイトルにある「アジア人の骨格向上」に他ならない。

②でもこのことについて述べたい。
①では、現状のプロボクシングの興行システムが、21世紀の日本のショービジネスという産業において取り残されている、という話をしたが、②では改善案を考えたい。

正直、今の日本人にとってボクシングの世界王者が生まれても、その存在が日本が劣等国から、世界の水準に至ったと考えている人なんて皆無で、プロボクシングが「ナショナリズムの克服」の手段として、世界王者を目指す時代はとうの昔に終わっている。

そうしたプロボクシングがコンテンツビジネスとして生き残るには、

①日本独自のタイトルやトーナメントを開催する。

②お金まみれの世界タイトル統轄団体から離れる。

と言った、日本オリジナルのプロボクシングの興行形態が必要である。

①でも述べたが、世界戦の12Rは観客サイドとして時間が長すぎる。12Rもあるということは、勝っている側が、中盤で休む時間帯を生むことになる。

この休む時間帯というのが、観戦側の集中力を削ぎ「ボクシングの試合がつまらない」と思われる原因の1つになっている。

個人的な意見として、世界戦でも今の競技水準と顧客のニーズを考慮すれば8回戦で妥当だ。

最近ボクシングを見ていてA級(一軍)の拳士が8回戦をノンタイトルで戦うのが、1番濃密な殴り合いを見られて楽しい試合に感じる。そのため12Rのタイトルマッチに興味が薄れてきた。

今のボクシングの試合は、集中力のピークをどこに向ければいいのか?分からず、疲れだけが残る。

あと2000年代にあった、8回戦以上戦えるA級選手に敢えて4回戦トーナメントを組んでいた時期もあった。

選手も濃密なエネルギーを出せる試合で、どの試合も激闘になり、観客も短い滞留時間で済むので、観客と主催者双方がWIN- WINな関係の興行だった。

そのためプロボクシングのチケットが余る昨今、この試合のチケットは完売になっていた。

しかし、こうしたイベントも立ち消えとなり、後楽園ホールのボクシングの試合も閑古鳥が鳴く状態に逆戻りした。

筆者がここで理想論を言っても何も変わるはずがないが、日本のボクシング界もいい加減、お金まみれの海外のボクシング権威に媚びるのではなく、日本独自の興行形態を確立した方が、プロボクシングというコンテンツのマネタイズ(現金化)できるきがする。

今回は日本のボクシング界の制度疲労からきた劣化について、個人的な改革案を考えた。ボクシング界が筆者の意見を聞くわけないが、1つ言えることとして、今までのプロボクシングの仕組みは早晩立ち行かなくなるのは確かだ。

まだボクシング界は終わっていないが、このままだと終わりは近い。
筆者も今年(2018年)から競技の対象をスポーツという広い枠から「サッカー・野球・バスケット・ボクシング」という限定された4種目に制限するようになった

ただ、この中にあるボクシングという競技に対しては、新しく観戦したいと思える試合が著しく減少しているのは確かで、今のボクシングという競技に対する情熱や魅力というのは、急速に低下しているのも事実だ。

筆者がこれまで20年関わってきたプロボクシングの世界タイトルや東洋タイトルというのは、原則として12R(1R=3分+1分の休憩)という仕組みで試合がある。

ただ筆者が思うに、日本のボクシング界はもう海外の統轄団体に尻尾を振るような、プロボクシング=世界タイトルという枠組みから離れて、独自の興行形態を模索していってもいいように感じる。

そもそも世界(+東洋)タイトルの12Rというのは見る側の配慮がなされていないやり方でしかない。

他の競技を見ても、キックボクシングの「KNOCK OUT」のように会場への滞留時間を本来の興行より短くして、観客の集中力を維持させて成功したプロ格闘技イベントもある。

また野球でも最近ではタイブレークのように、競技時間の短縮させる流れというのが、現代のプロスポーツ興行では主流の方向にある。

そうした中で、プロボクシングという仕組みは既存の社会の流れに取り残されたオワコン化した劣化版のビジネスという言われても仕方ない。

後楽園ホールが午後5時45分に開場して、集中力をどこに持っていけば分からないような試合運営で、後楽園ホールから出る時間は午後10時では、筆者みたいなコアなボクシングファンもこれから試合観戦するのに二の足を踏む。

そうした現状のボクシング興行の問題点を整理しつつ、極私的な解決案を②で進める。