①では、現状のプロボクシングの興行システムが、21世紀の日本のショービジネスという産業において取り残されている、という話をしたが、②では改善案を考えたい。
正直、今の日本人にとってボクシングの世界王者が生まれても、その存在が日本が劣等国から、世界の水準に至ったと考えている人なんて皆無で、プロボクシングが「ナショナリズムの克服」の手段として、世界王者を目指す時代はとうの昔に終わっている。
そうしたプロボクシングがコンテンツビジネスとして生き残るには、
①日本独自のタイトルやトーナメントを開催する。
②お金まみれの世界タイトル統轄団体から離れる。
と言った、日本オリジナルのプロボクシングの興行形態が必要である。
①でも述べたが、世界戦の12Rは観客サイドとして時間が長すぎる。12Rもあるということは、勝っている側が、中盤で休む時間帯を生むことになる。
この休む時間帯というのが、観戦側の集中力を削ぎ「ボクシングの試合がつまらない」と思われる原因の1つになっている。
個人的な意見として、世界戦でも今の競技水準と顧客のニーズを考慮すれば8回戦で妥当だ。
最近ボクシングを見ていてA級(一軍)の拳士が8回戦をノンタイトルで戦うのが、1番濃密な殴り合いを見られて楽しい試合に感じる。そのため12Rのタイトルマッチに興味が薄れてきた。
今のボクシングの試合は、集中力のピークをどこに向ければいいのか?分からず、疲れだけが残る。
あと2000年代にあった、8回戦以上戦えるA級選手に敢えて4回戦トーナメントを組んでいた時期もあった。
選手も濃密なエネルギーを出せる試合で、どの試合も激闘になり、観客も短い滞留時間で済むので、観客と主催者双方がWIN- WINな関係の興行だった。
そのためプロボクシングのチケットが余る昨今、この試合のチケットは完売になっていた。
しかし、こうしたイベントも立ち消えとなり、後楽園ホールのボクシングの試合も閑古鳥が鳴く状態に逆戻りした。
筆者がここで理想論を言っても何も変わるはずがないが、日本のボクシング界もいい加減、お金まみれの海外のボクシング権威に媚びるのではなく、日本独自の興行形態を確立した方が、プロボクシングというコンテンツのマネタイズ(現金化)できるきがする。
今回は日本のボクシング界の制度疲労からきた劣化について、個人的な改革案を考えた。ボクシング界が筆者の意見を聞くわけないが、1つ言えることとして、今までのプロボクシングの仕組みは早晩立ち行かなくなるのは確かだ。
まだボクシング界は終わっていないが、このままだと終わりは近い。