皆さま
好きなものを食べるって
いいですよね。
その瞬間ってとても
楽しいですからね。
今回は「道端で起きている幸せを綴る物語」の
以前掲載した長編シリーズの再掲載です。
「夢にたどり着きたい祐一郎さんが道案内をしてもらった物語⑤」
前回までの記事はこちらからご覧ください。
祐一郎さんと女性は新たな目的地
日本のお城を目指して舗装された
道を進んでいます。
重装備の祐一郎さんは女性に
重装備で大荷物なことを指摘されています。
歩きにくいのではないかとと言われているのです。
祐一郎さんは当たり前のように言います。
「この装備は僕の旅には欠かすことができません」
「でも、この道は舗装されていますし襲ってくるような獣も出そうにありませんが」
「今は良いかもしれませんが、この先きっと必要になる時が来ます」
「それなら良いですが」
「あなたこそそんな軽装で歩いていて大丈夫なのか心配ですよ」
「ふふふ、私はまあ」
「どんな生き物が襲ってくるかわかりませんから」
祐一郎さんは盾を回りにかざしたり、剣を振ってみています。
しばらく祐一郎さんと女性は舗装された道を歩いていきます。
今までの獣道と違い、猛獣なども出ませんし
安全な道のようです。
祐一郎さんは手持無沙汰なのか、持っている剣を
振りかざしていますが、特に使うことはないようでした。
それによって祐一郎さんは疲れているようです。
その様子を見ていた女性は祐一郎さんに言いました。
「そろそろその剣はいらないのではないでしょうか?」
それを聞いて祐一郎さんは驚いています。
むしろ祐一郎さんは怒っているようでした。
「この先、僕たちを傷つける敵が出てきたらどうするんですか!」
「まあ、その時はその時で・・・」
「この剣がなかったらどうやって戦うんですか!」
祐一郎さんは声を荒げます。
「まあまあ、落ち着いてください。これまで歩いてきて剣が必要でしたか?」
「たしかに、一度も使ったことはないですよ。でも僕には必要だと思うんです!」
「獣道では必要だったと思いますが、今の環境で本当に必要ですか?」
「必要・・・うーん、正直使ってないですからね・・・保険のような」
「剣の重さで進みが遅くなってはいませんか?」
「まあ、たしかに・・・必要ないのかもしれません・・・」
「捨てることはできますか?」
「え、捨てる?手形が残るくらい愛用していたしな・・・」
「でも、重いでしょう?」
「まあ、剣は重いものですから」
「歩くの大変でしょう?」
「じゃあ、一週間待ってください。その間に使うことがなければこの剣は捨てます」
「ふふふ、ではそうしてみてください」
再び祐一郎さんと女性は歩き始めます。
一週間経ちましたが、やはり祐一郎さんの剣は使われることはありませんでした。
女性は祐一郎さんに尋ねます。
「それではその剣どうしますか?」
「す、捨てます・・・いや、でもなあ。もしかしたら」
「あれ、まだそんなこと言ってるんですか?」
「わかりましたよ!捨てますよ捨てます!」
祐一郎さんは少し怒っているようでした。
「私に言われたから捨てるんですか?」
「いえ、自分で決めたんです。この剣は捨てます」
祐一郎さんは剣を両手で持ち、道端にそっと置きました。
そして、膝をついて両手を合わせて
「今までありがとう。もう使わなくなったから捨てます」と
祐一郎さんは心の中で呟きました。
すると、今まで気が付きませんでしたが
その剣には「怒りの剣」と書いてあったのです。
「怒りの剣・・・」祐一郎さんは声に出して読みました。
女性が口を開きます。
「あなたは怒りを余分に持つことで自分を守ってきたんです。それを捨てるのには多くの勇気が必要だったでしょう。もうあなたに余分な怒りは必要なくなったということですね。おめでとうございます」
祐一郎さんはわかったようなわからないような表情を浮かべています。
「あ、ありがとうございます。これで少し身軽になれました」
「よかったですね。では目的地への旅を続けましょう」
祐一郎さんの強張った表情が、少しだけ緩んでいるような気がします。
【~続く~】
皆さまいかがでしたでしょうか。
祐一郎さんは「怒り」の感情をたくさん持つことで、
自分を守っていたのですね。
本当の目的地に向かうことで
それに気が付けて捨てる決意をしました。
少し身軽になった祐一郎さんはこの後
どのように進むのでしょう。
続きは次回書きたいと思います。
現在、不自由や不安を感じる人生を送っている人が
このブログを読んで少しでも新たな一歩を踏み出してくれる
きっかけになったら嬉しく思っています。
世の中には親切な人は意外といます。
そんな願いを込めて書いています。
何か生きる上でのヒントになりましたら幸いです。
皆さまよろしくお願いいたします。