なごり雪も、降る時を知る〜2022.3.6東武350系定期運行終了① | たいちょ〜の心のつぶやき 第2章

たいちょ〜の心のつぶやき 第2章

『縁は、連結する』鉄道など交通を中心に興味の赴くままに、日々呟き語るブログ。
※最近すっかり鉄道ルポタージュ化してますが、言いたいことを素直に言うという意味でブログタイトルは変えてません。

ここからは、3月6日日曜日のお話。
ダイヤ改正は3月12日土曜日に行われるので、土曜・休日のみの運転といった列車だとそれよりも
少し前の3月6日日曜日の運転が最後、ということになる。
例えば前記事に絡めると、土休日ダイヤでしか走らなかった東京発快速青梅・武蔵五日市行きとか
高麗川・武蔵五日市発青梅特快東京行きとかも今回廃止となり、6日の運転が最後となっていた。
 
そして今回、東武鉄道はかねてより去就が取り沙汰されてきた土休日運転の特急「きりふり」号が
改正後のダイヤで設定されていないことが明らかになった。
大々的な事前告知はなく、発表されたダイヤを一瞥してそこで初めて気づく体裁だったが、これで
1800系急行専用電車は、300・350系に改造されてから早四半世紀を優に超え、特急格上げという
想定外の激しい波を潜り抜けて、足掛け半世紀余りのその車歴を全うすることとなった。
 
しかし特急格上げとは言え車内は1800系時代と大差は無かったし、料金の体系も他形式と比べると
安く設定されていたから「準特急」のような扱いは終始抜けず、悪く言えば中途半端。
ごくごく素直に言ってしまえば
 
よくこの時代まで持っていたな
 
という一言に尽きるw
 
それくらい稀有な立ち位置だったが、2020年6月のダイヤ改正で東武宇都宮発着「しもつけ号」が
コロナ禍による運転見合わせのまま廃止。
以来「きりふり」が浅草~東武日光間1往復と春日部→浅草間、浅草→新栃木間の各々片道のみ。
しかも、土休日のみ細々と走るのみになっていた。
 
しかしそれも、種車である1800系の製造から半世紀を超えて故障も増え…
せっかくの運転機会の時に、故障による運休が発生した場面に遭遇したことも。
車体の老朽化も隠しきれない状態となり、置き換えは時間の問題だとみられていた。
そして今回、500系リバティ増備もあり遂に後進に引導を渡すこととなったのである。
 
…ただ、その先が短い空気はかなり前から察知していたせいか、2015年以降に演劇のイベント等で
墨田区内に足を運ぶ機会が増えていた頃を見計らい、時折東武線に立ち寄り記録を残している。
上りのとうきょうスカイツリー→浅草間は特急料金不要のため、1区間のみ乗車したこともある。
ことに2017年の6050系浅草乗り入れ終了の前後、6両編成の300系が先に運用離脱したこともあり
記録機が大幅に増え、以降も折々に撮ったり乗ったりと存在を気にかけていた。
そうして、昨年の夏の終わりには春日部→浅草→東武日光間での乗車も決行。

来るべきラストランに向けて、準備を進めていた…はずだった。
 
しかし、小田急ロマンスカーVSEの定期運転終了の報から、俄かに自らの動きにズレが。
加えて、ワクチン3回目の接種などの都合もあって予定策定は遅々として進まなくなった。
昨年夏までにあらかた記録を蓄積し、乗車もこなしてきたことが改めての遠征を躊躇させた。
結局記念乗車券ノベルティ引き換えのために設定した2月23日も、信号トラブルのダイヤの乱れで
春日部発の82号が急遽運休となるなどして、メイン撮影・乗車を断念する不運もあった。
(それでも回送されてきた下今市など、折々に撮れてはいたが)

そうして、運転最終日の3月6日にようやく気持ちを上げ直して浅草駅に向かってみたが…
…ま、そうなるよね。
 
本格的に記録や乗車に赴くようになって、およそ7年。
ゴールデンウィークや夏休みなど、いつ撮っていてもいつ乗ってみても空席だらけだったが。
やっぱりテツは最終日になるとどこからともなく集まり、そして満席になる。
まぁ自分も一縷の望みを賭けて足を運んでみたが、ここで木っ端微塵に打ち砕かれたよね。

特に近年は運転機会が著しく限られていたせいもあるのか、よりその傾向は顕著なようだったが。
そのあたりは実は後日、小田急VSEの時とは全く様相は異なるものになっていた。

「きりふり」という列車愛称も、定期としてはこの日限り。
そういう部分も撮り逃がしないように。
 
だが、いざ浅草駅改札に立つと、やはり東武らしいというか、ラストランへの盛り上げが。
公式発表こそしなかったが、去りゆく列車へ餞を送るのは東武鉄道の伝統としてあるのだろう。
 
浅草駅のホーム表示も、時代を経て刻々と変わりゆく。
まだ「しもつけ号」の表示があるのが意外だったが、それも350系撤退と共に消滅か。
 
…そして、10:15。
春日部始発の「きりふり82号」として到着後、一旦とうきょうスカイツリーに引き上げられていた
351編成が、再びゆっくりと4番線に入線してきた。
土休日の運転日のみに行われる、お決まりのプロセスだった。
普通に撮っている分には大したことないように見えるが、背後はなかなかカオスになっているw
 
幾度となく発着し、幾度となく回してきた愛称表示幕も、定期ではこの日が最後。
 
自分はこれまであらかた記録を蓄積してきたので早々に退くと、かなりすごい雰囲気にw
まだ奇声や罵声が無いだけ、気持ちは穏やかなままいることができたが。
 
5番ホーム側には、発着に合わせて浅草駅管区特製の横断幕が並べられた。
毎回浅草駅管区は掲示物に凝っている印象があるが、今回も丁寧に作り込まれた“作品”が。

そして、4番ホーム側にはもうひとつ立て看板が…

いったい何か?と少し近づいてみる。

こちらは、浅草駅が一生懸命書いた告知看板であった。
引退を告知するとともに、利用を呼びかける涙ぐましい力作だ。
もっともこの日は満席で、売り上げの心配はまるで無かったが。

まだ午前中のせいか、そこまで気にするほどの騒ぎではない。
発車時間も、入線から23分と余裕がある。
友人とも顔を合わせ、少し談笑する余裕があった。

…ただ、この時点で、実はどう行動しようかまるで白紙だった。
あわよくば乗車を狙ったが、その望みはほぼない。
さてここからどうするか…
浅草駅であれこれ撮りながら、頭の中ではこれまでの経験に基づきプランが練られていく。