すずの創作物語 -23ページ目

もしもあの時… 4

先輩は、私の服を戻して、軽いキスをして、車を出した。

私は泣きそうだった。
これでいいの?なんで先輩は何も言ってくれないの?

好きとかいう気持ちはないの?
でもそれなら…どうでもよかったら、最後までやっちゃうよね?
もう分からないよ…。

でも、先輩が何も言わないから、私も何も言わないでおこう。
先輩に惹かれてる自分がいるんだけど、封印しておこう。
車に揺られながらそう思った。

しばらくして、先輩から電話で、「中国にしばらく長期出張になった。一年くらい。」と聞いた。「そっか~~頑張ってね!」
そう明るく答えた私は、この恋なんだか、遊びなんだかよく分からない気持ちは忘れようと決めた。
これでよかったんだ。
ヘタなこと言わず、最後の一線を越えることもなく、このまま忘れて、先輩は先輩。そう思っていようと思った。

先輩が中国に行って、しばらくして会社の先輩に告白されて付き合うことになった。

付き合って一年くらいして、プロポーズされた。
私はプロポーズを受けた。

昔みたいなドキドキはなく、安定を求めた結論だった。

それでいいと思った。

もしもあの時… 3

家まで迎えにきてくれた先輩は、先輩の行きつけのお店に私を連れて行ってくれた。
食事をしながら、いろんな話をした。

そして、公園に車を止めてまた話をしていた。
そうしたら、先輩は前と同じように、私を抱きしめてキスをしてきた。
私も予感はしてたし、覚悟してた。
それでいいと思っていた。
いつの間にか、先輩に惹かれてる自分がいた。
先輩は遊びかもしれないけど…。

前のキスとは比べものにならない深いキスをしながら、先輩はそっと私の助手席を倒した。
長い長いキスをしながら、服の下に手が入ってきた。
けっして乱暴じゃない、優しく私の体に手が触れていく。
私も先輩の体のあちこちに触れて行く。
先輩の体は明らかに反応していた。
長い間そうしていたのに、先輩は最後の一線を越えようとしなかった。
「準備してないから…」避妊出来ないからってこと…。それって、私のこと大事に思ってくれてるってこと?

正直に言ったら、心の中で言ってた。
「だったら、ホテルでも行こうよ。先輩に抱いて欲しいよ。先輩に抱かれたいよ。」

でも…言えなかった。
そんな女って、軽い女って、思われたくなかった。
何かが変わってしまうのが怖かった。

もしもあの時… 2

「ここ、オレおすすめの場所」
すごくキレイな夜景だった。
「キレイだね~」
とつぶやいた私に
「だろ!?」
と言って、いきなり私の肩を抱き寄せた。
そして、そっとキスをした。
私はびっくりして放心して、されるがまま唇を重ねてた。
唇が離れた私をもう一度ぎゅっと抱きしめて、先輩は
「さぁ、ボチボチ帰るか。」

と車を出した。

私は、何がなんだか分からないまま、家まで送ってもらった。

結局、さっきのキスは何だったのか聞けないままだった。

でも、あのキスをきっかけに、なんだか先輩を見る目が変わって、へんに意識してしまう気がした。

それからも先輩は友達と遊ぶときにも私を誘ってくれて、先輩の隣や助手席は私の指定席だった。
クラブのみんなで会うときも、気付けばいつも隣には先輩がいた。
カラオケで「酔った~」と言っては膝枕してきたり。
そんな先輩がなんだか可愛かった。
クラブのメンバーは、私たちが付き合ってるんじゃないかと疑ってた。
先輩の友達たちは、みんな先輩が私を好きなはずだと言った。
でも、私には分からなかった。

しばらくして、「ご飯食べに行こう」と先輩から電話があって、久しぶりに2人で会うことになった。