海外トラブルの風雲児 | Centotrenta 代表 加藤いさおのBLOG                        

初めて、欧州の地に降りたのは

もう20数年前になる

あの頃の感動は

年々薄れ

そして慣れへと変わってゆく

 

オギャーと産まれた

赤ん坊が

目にするものが全て新鮮で

日々感動の連続のようになれないのが

そう(大人)なのである。

 

だけど

お天道様は

「慣れるな!!」と

たまに

大人を叱ってくれます・・・

 

それが・・・・今回

 

「あの頃の感覚がデジャブとなって蘇る」

その時のブログ↓

 
時を戻そう
 
我々はフィレンツェ→ミラノが終わり
初訪問ハンガリーへと目指す
 
お国ごとの
洋服屋らしい内容は
後日綴ることにしよう。
 
ハンガリーの隣国は
ウクライナである
我々も未知のゾーンであるが故
少し緊張していた
そして通貨がユーロでは無いのだ
 
タクシーが現金だけなら
両替をしなくちゃならねえ
 
事前リサーチで
ハンガリーのタクシーは
ほぼクレジットカードが使えると
聞いていたので
我々は
両替をしないでミラノの空港から
ハンガリーに向かったが
 
ここで一瞬不安になった
 
何故なら
タイムスケジュールをきちんと確認すると
 
MILAN(ミラノ)11時20分発
AMS(アムステルダム)13時10分着
AMS14時20分発
 
なぬ〜〜〜〜〜〜〜〜
 
「つ・・・つぼ
トランジット50分しかあらへん」
 
「え?マジですか?」
 
「お、おう
今気づいた・・・」
 
そうこれが慣れである
海外行きたての私なら
一つ後の便を要求したであろう
 
いつもブッキングしてくれる
旅行会社の社長とも
長い付き合いなので
信用しきっていた・・・・
 
そして坪川は
自分の旅の事には
慎重だが
 
私が居ることによって
「付いていく」という感覚が支配している
 
お互い「慣れ」という魔物が
いつしか心を支配していたのだ
 
「これさあ、また荷物検査混んでたら
絶対アウトやな
アムスの空港広いしダッシュせなあかんぞ」
 
「ですよね、だ・・大丈夫ですかね?」
 
「まあ、なるようになるわ
それが海外や」と
また強がったが、心の中は
「これはやばい・・・・」とずっと思っていた
 
定刻通りにアムスに着
 
「つぼ、走るぞ」
 
「はい!!」
 
嗚呼、僕たちは
ずっとこうやって走っていたじゃないか
それがいつの間にか
慣れに変わり
全力じゃなかったじゃねえか・・・・
 
こんな事考える暇もなく
一心不乱(一瞬不安のがええかな)で走る
 
二人とも汗だく
 
「あれ?・・・・・あれ?」
 
「??」
 
「持ち物検査は?」
 
「無いっすね・・・・」
 
「入国審査は??」
 
「それも無かったすね・・・・」
 
「余裕でゲート着いたやないか!!」
 
「はい、余裕でした
走ったのに・・・・・・」
 
これが欧州の摩訶不思議で
同じEU圏内であっても手荷物検査
荷物検査が
ある所とないと所がある
 
こればかりはいつも謎で
EU圏内なら
シェンゲン協定というやつで
荷物検査スルーかと思えば
バッチリ荷物検査されたりと
本当に難しい・・・・・
 
「つぼ、汗だくや」
 
「僕もっす」
 
「ビール飲もうや」
 
「はい」
 
こんな余裕が生まれた
 
そして機内で爆睡して
我々はブダペストに着く
 
「初ブダペスト
ちょっと緊張するな」
 
「はい、僕もっす!!」
 
荷物レーンで待っていると
 
「ピ〜〜〜〜〜〜〜〜ッ」と
アラームが鳴って
グルングルンとレールが廻る
 
「ポコん」と音を立てて
まず私の荷物が出てきた
 
「つぼ、余裕!!」と言って
ふとゾクっとした
 
「あれ・・・嫌な予感がするぞ
この感じなんか・・・・経験したぞ」
 
 
私の、もう一つの荷物と
坪川の荷物が出てこず
一度シャッターが閉まった
 
互いに
「・・・・・」
 
またシャッターが開いた
 
続々と荷物が出てくるが・・・・
 
「なんか嫌な予感がするねん」
 
「代表もですか?僕もなんです」
 
グルングルンとレールが廻り
そしてあの間抜けな音が
「ピーーッ」と鳴った
 
「マジか〜〜〜〜〜〜っ!!
ツボ〜〜〜〜マジか〜〜〜〜っ!!」
 
坪川を見ると
久々に顔がこわばっている
 
すぐにバゲッジクレームの受付に走る
 
「イツデテクルン?」
 
「ウ〜ン、ウマクイッタラ、コンヤ(今夜)」
デモワカラナイ」
 
絶望である
靴ブランドとのミーティングのサンプルも
全てもう一個の荷物に入れている
これじゃ、何しにブダペストに来たのか・・・・
 
「コノ、ツイセキバンゴウデ ネットデオメエラノニモツワカルヨ」
 
「・・・・・」
佐川さんの追跡は便利である
電話もできるし
現状も確認ができる
 
だけどここは
日本ではない、ハンガリーなのだ
 この一連の出来事を
私のInstagramのストーリーと
共に追ってみよう。



「取り敢えず、ホテル行くか」
滞在先のホテルを教えて
我々は
ブダペスト市内に向かった
 
タクシーの運転手さんが
とても親切で
簡単なガイドをしてくれたが
我々の耳には入ってこない
だって絶望してるんだから・・・・・・笑
 
 
「トランジット短すぎるから
荷物詰めなかったんですかね?
 
「それやったら経験上次の便で
来るもんな、そういう事にしよう」
絶望していると
ヒトは希望を探す
 
そしてその希望を持って
精神状態を保てる事できるのだ。
 
「ここから2本先がドナウ川だよ・・・・」
そんな親切な声が僕の耳に届いたが
外は真っ暗
お先も真っ暗で
 
「えへへ」としか相槌を打てなかった
 
ホテルに着く
 
「歯ブラシください
何故ならロストバゲッジやから」と言うと
 
「え〜〜〜!大変ですやん
荷物届いたら言いますさかいに」と親切に
答えてくれた
 
「スーパーはありますか?」と尋ねると
すぐ近くにある言うので
 
荷物を部屋に置いて
 
スーパーに向かった
 
外は雨・・・・
 
しかも結構な雨
 
満天の星空ならまた気分も違っただろうに。
 
 
でも
「綺麗!!何これ街めっちゃ綺麗やん」
 



「ほんまですね、なんか元気出てきました」
 
「俺も・・・・!!」
 
互いに己を奮い立たせているのだ
 
坪川なんかは
荷物一個まるまる無いので
私以上に絶望しているだろうに・・・
 
スーパーに着いて
体、洗うわけわからんアヒルの
タオルとか買って
またホテルに
戻った。
 
「ツボ!!」
 
「はい?」
 
「取り敢えず
ホテルのバーで飲もう!!飲もう!
元気だそう!なんとかなるって!!」
そう切り替えると
「そうっすね、そうっすよなんとかなりますよ」と
トラブルに巻き込まれたら
初心に戻って
取り敢えず飲む!!事にした笑
 



人間、開き直りが大事である
いつまでもどんよりしていても
仕方がない。
 
「なんかさ、次の便で出てくるような気がする」
 
「僕もっす!」
 
そんな元気も出て
それぞれの部屋に戻った
 
 
シャワーを浴びて
さっき買った
体洗うアヒルのスポンジで
体を洗うと
もろくも引きちぎれた・・・・
 
もう笑うしかなかった
アヒルのスポンジ
赤ちゃんの体洗うやつやん・・・・・
 



疲れ切って
寝ていると
鳴るはずのない
ホテルの部屋の電話が鳴った
 
慌てて取ると
 
「荷物が届いたよ」と
フロントからだった
 
「幾つ届いた?」
 
「2個」
 
「よっしゃ〜〜〜〜〜!!」
携帯の時計を見ると
明け方の5時だった。
 



だけど
僕らは、「慣れ」という魔物を倒し
絶望を希望に変える
力を手にしたんだ。
 
お天道様
ありがとうごぜえやす!