内外価格差という魔物 | Centotrenta 代表 加藤いさおのBLOG                        

職人の方々の

格好よさと云うのは

全世界共通で

もちろん我が国日本の職人の方々もそう

「己のウデ」だけで

飯を食う

これは、本当に簡単な事ではない

そんな職人と小売の話しを

綴ろうと思う。

 

今回

ブダペストに飛び

VASS SHOESの工房を

訪れました。

 



これが今回の出張のメインの

最重要任務だったわけです

 

だからこそ

ロストバゲッジになった時は

本当に焦りました

スーツケースに

サンプル入ってましたしね・・・・

 

VASS SHOESは日本でも

知る人ぞ知る靴で

既成靴の最高峰とうたわれるだけあって

本当に創りもよく

履き心地も独特の不思議な感じ

足入れをした瞬間に

既に馴染んでいると言っても

過言ではないと思います。

 

ではVASSとは?

どんな靴かと説明しますと。

創業者 ラズロ・ヴァーシュ氏の著書より抜粋

内容説明

「ハンドソーン・ウェルテッド製法の紳士靴は

ファッションの領域を超えた職人的工芸品であり

たったひとりの足のためだけに作られるカスタムメイドの芸術品である。

一足の紳士靴を傑作たらしめるラスト職人、

なめし革工、縫製士、靴職人たちの技術と伝統。その全貌を説くのは、

ハンガリーのブダペストにある愛好家垂涎のビスポークシューズブランド

「ヴァーシュ社」(VASS)創業者、ラズロ・ヴァーシュである。

「1946年、ブダペスト生まれ。1964年より

ハンガリアン・ファッション・インスティテュートにて

裁断士、縫製士、靴職人、デザイナーとしての修練を積んだのち

1970年に靴職人としての資格を取得。

手作りの紳士靴と婦人靴を専門に製作する個人の工房に入り

アシスタントチーフデザイナーならびに靴職人として働く。

1978年、ブダペストの中心地に自身の工房をオープンし

1988年からは20人のスタッフとともに伝統的な靴作りに専念」
 

ハインリッヒも然り

LASZLOも然り

何故にハンガリーは

こんなにも無骨で繊細な靴を

創れるのだ?とずっと思っていました。

 

以前買収される前の

ハインリッヒの責任者の友人と

ベルリンで話していた時

彼は

「産まれた頃から

靴と共に生きてきた」と言っていました

ブランドは違えど

ハンガリーには

「そう云う血が流れているのだ」と

確信したのは

ヴァーシュ氏の娘さんで

現社長のエヴァに教えてもらったのが

かつてソ連統治下にあったハンガリーは

元々手先が器用な方々が多く

ソ連に「靴を作りなさい」と言われ

職人たちが増えて

ブダペストに集まり

独特の製法が作り出されたのがキッカケだと

父から聞いていると

おっしゃっていました

 

「なるほど・・・」

腑に落ちた。

 

「かつて多くの日本人が

アポイントを取ってきた

友好的に

数々の小売店にも卸しをやってきた

最初、父は喜んでいた

だけど、日本はすぐにビジネスが終わる

だから私たちは

貴方の事も最初信用していなかった

最近は取材も断っているので

工房に招き入れるのも

久しぶりです

何故なら今はインターネットで

私たちの靴を買える時代

敢えて日本のお店に置いてもらう

必要性も感じていなかった」と言う

 

「全くもって

同感です、だけど僕が

大切に思っていることは

こうして

貴方たちの素晴らしい技術を

この目で見て

日本のカスタマーの方々に

こういう靴なんだよと

顔を見ながら

話したいんだよ

貴方たちの靴が日本にくると

値段がこんなにも高騰してしまう

もちろん

コストが乗っかるし

為替も違う

昔と違って

今は本国のプライスも皆さん

わかっている

店に試着だけしにきて

貴方たちのサイトで買っている人たちもいる

それでも構わないと思う

どうしても内外価格差が埋まらないのだから

それでもお店で買いたい人に対して

僕らは貴方たちの

この素晴らしいフィロソフィーを

伝える責務がある

靴から始まる

スタイルがある

そういうコンセプトを掲げて

僕らはお店に立っているんだよ」

と嘘偽りなく話した

以前も同じことを述べたが

VASSは何故日本に来ると

高くなるのか?

いや、VASSだけではなく

革靴全般に言える事だろう

かつて

オールデンもアメリカで買うのと

日本で買うのでは

凄まじい価格の差だった

靴好きの方々も

疑問に思うことが多々あるだろう

それをぼったくっていると

言う方々も居ると思う

 

しかし靴の仕入は独特なのである

べらぼうに高い関税←これが撤廃されると

日本に来ている様々な靴のブランドの

定価は下がるはず・・・・鴨

 

運賃 為替

様々なコストが乗っかってくる

 

こんな時代

プライスをオープンにするべきだと

思うので

 

簡単な算数で

靴の定価の出し方を述べてみよう

 

本国のプライスが€600だとしよう

 

これを現在の為替 

1€=¥145と換算してみましょう

本国で買うと

定価は¥87.000

もちろん個人輸入にも

送料と関税はかかるだろうから

約10万くらいで

VASSのサイトでは買えるのだろうか?

これが

日本に来ると

大体関税などを含めた

コストが1.45かかると思って貰って良い

¥126.150ー

 

これが日本に来た時の原価となるわけだ

 

 

もちろんこれは仕入れ値ではない

ハンガリーの定価から導き出されて

日本に来るとこういう価格になるという

数式です

だけど靴の卸値は皆様の想像以上に

高いのだ

靴は粗利50確保なんて

到底無理な世界なのです

靴はサイズが細かい分

在庫リスクも圧迫しますし

薄利なので

とてもリスキーな商いです

これが靴の小売の現状です。

 昨今

インターネットの普及と

コロナのパンデミックで

自宅で買い物をする方々も増えています

もしかしたら

代理店が不要の時代に

なってしまうかもしれない

 

じゃあ我々小売の存在意義は?

 

信用とスタイリングと

アフターフォロー

そして

カスタマーの方々が

「何処で買いたいか?

誰から買いたいか?」

そうジャッジしてもらう

世の中になってきています。

結局はデジタルとアナログの共存が

より強固なものになってゆくでしょう。

本国で日本の価格より安く買うのも良きこと

国内で買ってもらうのも良きコト

万一 不良品があった時

また送り返して

送ってもらう送料

時間と手間

それらをカバーできるのが

メーカーさんであったり

実店舗

どちらを選ぶのも自由な時代に突入したのだなと

肌で感じます。

 

それを踏まえて

さあVASSの魅力を語ってゆきましょう

・・・・



集中力切れたので

続きは次回!

ごめん野菜・・・。