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ベトナムバブル崩壊へのカウントダウン

最近こちらの新聞でインフレについでホットなトピックはベトナムの不動産バブルです。
Will the Real Estate Bubble Burst in 2012?


2007年にベトナムがWTOの正式加盟国になって以来、ホーチミン、ハノイでは建設ラッシュが始まり、多くの高層ビルが建っています。今でもホーチミンでは建設ラッシュが続き、建設工事を行っていないエリアを探すのが難しいぐらいになっています。

そんな中、昨年11月にホーチミンでBITXCO Financial Towerがオープンしてから少し流れが変わってきました。このビルはホーチミンでは最も背が高く、ヘリポートまでも備え付けた近代的な商業。オフィスビルです(ちなみにこのヘリポートは使えないという噂も聞いたことがあります)。このビルはオープンから半年以上経ちましたが、いまだに稼働率が10%(ほんとの数字は10%以下という話もあります)で、オープンはしたのですが誰も出入りしているのを見たことのないビルとなってしまいました。

この頃からホーチミンの商業ビルでは空室がチラホラ出始め、ショッピングモールなどでもテナントの撤退が相次いでいます。しかしいまだ建設中のビルも多くあり、今後商業ビルが供給過多になる事は目に見えています。オフィスの家賃も徐々に下がり始めていますが、それでも東南アジアでは香港、シンガポールに次ぐアジア第3位の地位を誇っています。この経済成長と比べると異常な値段の高騰ぶりは確実にバブルと呼べるものでしょう。

この現象は住宅にも見られます。ホーチミンの中心区1区の外に出ると大型マンションの建築現場、建築予定地をあちこちに見ることができます。そこまで需要がないはずなのに建てられているもののほとんどが大型の中級~高級マンションです。よく新聞では若い新婚夫婦がマンションをかいたいけれども高すぎて買えないし、銀行利息が25%では手が出ないというニュースも載っています。

バブルの上昇期には、計画の段階で売り切れることもよくあったそうですが、最近ではオープン間近になっても完売していない物も多くあるそうです。またこれらのほとんどが家賃収入目当ての投資目的で買われた物も多く、借り手がいないまま時間だけが過ぎることもよくあります(今私が住んでるマンションも去年はガラガラでした)。オーナーが計画していた家賃収入がなくなり、さらに消費市場が冷え込むという型です。

今年急速に顕在化しはじめたインフレは経済を停滞させ、インフレ抑制に政府がとった対策がどんどん経済の成長を止めているという事態のベトナム。いままでのイケイケの成長ムードが後押ししていた不動産バブルですが、ここにきて急速に縮みだしました。そこにイケイケムードの時に計画していたビルがオープンし供給過多によるバブル崩壊というシナリオが目に見えそうです。

ベトナムでも日本のバブル時と同じように関係のない業種の会社が不動産関連にどんどん手を出しています。もしこのままバブルが弾けてしまうと、多くの会社に大きな損害を与えるでしょう。

中国の不動産バブルよりも早く絶頂を迎え、早く弾けてしまいそうな感のあるベトナム。多くの人が予想するように来年には弾けてしまうのでしょうか?その時に既に同じことを経験した日本はなにかベトナムでチャンスをつかむことができるのでしょうか?

ベトナム vs 中国

この2,3日、ベトナム・中国間で日本とも似たようなやりとりがありました。

中国監視船が妨害活動 南シナ海でベトナム探査船損傷
2011.5.28 01:02
 国営ベトナム通信などが27日伝えたところによると、同国中部フーイエン省沖合の南シナ海で26日、同国の探査船が調査活動中、中国の監視船から妨害を受け、関連設備が損傷するなどの被害が出た。

 ベトナム外務省当局者は27日、在ベトナム中国大使館に主権侵害だなどと抗議、再発することがないよう要求し、損害賠償も求めたことを明らかにした。

 ベトナム国営石油会社ペトロベトナムの幹部によると、中国の監視船は3隻で、26日早朝から、同社系列の探査船への妨害活動を行い、調査に使うケーブルが切断されるなどしたという。

 南シナ海では、ベトナムと中国などが南沙(英語名スプラトリー)諸島などの領有権を争っている。(共同)

ベトナムの抗議に反論 中国「正常な活動」
2011.5.28 23:37
 中国外務省の姜瑜副報道局長は28日、ベトナムが南シナ海で調査活動中、中国側から妨害を受けたなどと抗議した問題について「中国の行動は、管轄海域での正常な監察活動だ」と反論する談話を出した。

 ベトナム側の報道によると、同国沖合の南シナ海で26日、探査船が調査活動中に中国の監視船から妨害を受け、関連設備が損傷するなどの被害が出た。ベトナム外務省は、在ベトナム中国大使館に抗議し、再発防止などを求めていた。

 姜副局長は「ベトナム側の活動は、南シナ海での中国の権益と管轄権を損なった」と批判。一方で「中国は南シナ海の平和と安定に努力している」とし、適切な解決方法を探る意向も示した。(共同)


今回の中国の行動は日本の尖閣諸島のケースとよく似ています。最近、経済的にも軍事的にも強くなってきた中国のこのような隣国にちょっかいを出すような行動が見られます。

私は中国がこのような行動を常に起こすのは、中国は常に敵をつくならないと国をまとめることができないからだと思います。中国は共産党というう一つの政党があんなに大きい国全体を管理するというシステムです。このシステムはすべてがうまく行っているうちは問題がないのですが、一つでも問題が出だすとその矛先は即座に政府に向いてします。

また一つの政党がまとめるためには国民全体のモーメンタムが一つの方向を向いている必要があります。
そのモーメンタムを作り出すのに一番簡単な方法は外敵を作ってしまう事です。

簡単に言うと、領土、領海を争う分かりやすい敵を作ることによって国民の愛国心に火をつけ、政府(政党)と国民が一体化しているという事知らせることができます。そうすることによって政策の失敗などの追求からも逃げることができます。

逆に言うと一党支配の国では、外敵がいないと国をまとめあげるのが難しいのかもしれません。(ここでは一党支配と書いてますが、どんなシステムかはお分かりだと思います)


また、今回ベトナムが中国にここまで抗議したことは非常に珍しい事です。いままではどちらかというと中国にはいくらちょっかいを出されても、おとなしいいじめられっこという感じでしたが、今回は珍しく反撃に出ました。


ベトナムは最近インフレ、不動産バブル崩壊懸念等いろいろな問題を抱え、政府への不満も日に日に大きくなってきています。また中国と同じ一党支配です。

今回中国はベトナムの領海に深く侵入し、ベトナムの調査船にダメージを与えました。今回の抗議はいままでになかった中国のアグレッシブな行動をけん制する意味もありますが、もしかするとベトナムの行動は中国の行動と動機が同じで、政府への不満を減らし、国民と同じモーメンタムを作り出すことが目的だったのかもしれません。

依然として大きいこのインフレとバブル崩壊懸念に加えて、中国という巨大な隣国とどう対応していくかを注意深く見ていきたいと思います。


もしかすると、いろいろな国内問題を抱える一党支配の隣国同士が、国民の目を背けるために仕組んだ猿芝居だったらおもしろいとも思いますが。。。。。。。。。。



ベトナムの電気事情

ホーチミンでは今年に入って、ようやく電気インフラに改善が見えてきました。

http://www.viet-jo.com/news/social/110525094613.html

昨年は週に2回ほどは停電になり、真っ暗の中エアコンもない中で夜を過ごさないといけない事もありましたが、今年に入ってからはまだ数回しか停電にはなっていません。

という事は発電設備もかなり整ってきているという事で工場進出を考えられている日本企業にとっては明るいニュースだと思います。工場進出される企業にとってはランダムな停電が生産スケジュールを立てなれないので困るとよく言われますので、この問題解決でより投資が増えるかもと思ってます。

しかし、その代償というべく電気代がジワジワ上がりそうな感じです。3月に15%アップしましたが、今年の6月からは3か月ごとに電気代を見直すそうです。3月の時点で電力会社は60%値上げしないと赤字を解消できないとの事でした。まぁ、そんなことをしたら暴動が起きてしまうので15%に落ち着いたようですが、今後もジワジワ上がってくるでしょう。経済への影響を最小限に抑えつつ、赤字を押さえる。このデリケートなバランスを保つことはできるのでしょうか?

ニュースでも言われている通り、チーム日本がベトナムの原発開発を担当するそうです。こちらでは日本がいくら助けてくれても建てるのはベトナム人ので、そんなものは自殺行為だという声はこちらでもあります。

さらなる成長のためにはもっと電気のいるベトナム。しかし電気代の値上げは企業と国民を圧迫してしまう。その手詰まり感を解消してくれると期待された原発ですが、今回の福島の件で思わぬコストを露呈してしまいました。ベトナム政府はまだこのプランを推進していくようですが、福島のような事が起きずに、ベトナムの経済成長を後押ししてくれる事を祈るしかありません。