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ベトナムの民間銀行に高いハードル、そして日系企業のチャンス

前からずっと書こうと思ってた記事を今朝MorningStarのブログを読んでて思い出したので書きます(なぜか今日までこのブログページにアクセスできなかった。政府にブロックされてた???)

ベトナムの銀行は今年の12月31日までに3兆ドン(訳117億円)に増資をしなければなりません。2009年5月時点の話ですが82の銀行がこのベトナムにひしめき合っています。(参照 HOTNAM )。そのうちいくつかは支店だけおいて母国から来た顧客だけにサービスする外資だったり、リテール分門で活動していない銀行もありますが、ベトナムの人口を考えるとこの数は多すぎると思います。

モーニングスターの中の記事にもありましたが、上場している銀行でもこの基準を満たしていないところがあります。私もこの話を去年友人から聞いた際には銀行間のM&Aがかなり活発になるだろうと思いましたが, それほど目立ったニュースも今の所聞きません。小さい銀行同士が合併して大きくなるというのが基準を満たすために一番合理的だと思うのですが、まだM&A文化が熟成していないのと、主導権の取り合いなどでなかなか合意に至らいなのでしょうか?それともこの基準の撤廃を望んでみなギリギリまで動かないつもりなのでしょうか(これが一番確率高そう)?

現在口座開設率10-15%程のベトナムですが、中長期的にみて収入の上昇と共に口座開設率が上がるのは確実だと思います。このマーケットはかなり大きなビジネスチャンス将来的には非常に大きなビジネスチャンスに拡がります。

すでに支店を開設している日本の銀行もベトナムの銀行に資本参加していますし、もっと拡大してリテールセクターにも出てきてほしいのですが、ここも全く金融に関係のない日本企業が参入してくるのも面白いかと思います。パチンコのマルハンもカンボジアで銀行をしてますし、その方が今までにない目新しいサービスも提供することができて面白いと思います。

方法としては、一つの銀行に資本を注入して3兆ドンに届かせるのではなく、小規模のいくつかの銀行に資本注入して、それらのいくつかの銀行を統合して3兆円を目指すというのが一番面白いかと思います。もしくは同じようなスキームを複数の企業が将来の統合を前提としてそれぞれで子会社を作り、上記のような投資をして、その後統合で大きな銀行を作るというのも面白いやり方だと思います。

ベトナムの銀行は外国人の保有制限が30%とあり、これが一番の障壁になるかと思いますが、これさえクリアすることができればいろいろ面白い事もできると思います。やり方もあるような気がします。なにか方法がないかいろいろ考えてみます。

いくつかのキャッシュリッチな企業があつまれば実現できて面白いと思うのですが、みなさんどう思われますか?

ベトナムと中国:のび太とジャイアン

先日の日曜日にのべ1,300人程を集めた中国に対するデモがハノイとホーチミンであり、アメリカがベトナムとの関係強化を表明したこともあり一時は落ち着くかに見られた中越関係ですが、今回の中国はかなりやる気の様です。

デモの前でしたがベトナムのハッカーが中国の政府系のウェブサイト(どこかの省だったと思いますが記憶が不確かです)を攻撃したのに対して、中国のハッカー(正式の中国軍部のサイバー部隊)がベトナムの公営企業等の政府系のウェブサイトに一斉に攻撃を仕掛けました。その後デモ等があり、月曜日、火曜日は静かだったのでもう落ち着くかと思っていたのですが、昨日また今回の騒動の火種となった南沙諸島海域で中国がまたまたやりました。

前回同様また南沙諸島海域で、ベトナムの調査船の海底ケーブルを切っていったのです。
「Vietnam accuses China of harassing another boat」
http://in.reuters.com/article/2011/06/09/vietnam-china-sea-idINL3E7H916L20110609

またそれに加えて、ベトナムのウェブサイトに中国のサイバー部隊から攻撃が加えられ、政府系のサイトを開くと中国国旗が現れたり、中国国家が流れるという被害(ちょっとおもしろいけど)がありました。
「中国ハッカーが嫌がらせ?ベトナムに大規模攻撃」
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20110610-OYT1T01063.htm


日曜日のデモでガス抜きの効果があり、少しは落ち着いて感のあるベトナムですが、これによってまた火が付くのは明白です。

ただでさえ中国はベトナム戦争中に一度負けていますし、最近の経済成長のおかげでかなりベトナムを見下してるので、そんな様々な感情が混ざり合ってベトナムが行った反中デモ、反中行動が許せなくて今回のような行動にでたのでしょう。中国にするとまだ貧しいベトナムなので、威嚇をすればすぐに退いて南沙諸島を取れると思っていたのでしょうか?気分としてはのび太に殴られたジャイアンの気持ちと言ったところでしょう。

また中国政府にとって同じ1党支配国がデモを容認(しかも中国に対して)したという事が許せなかったのでしょうか?中東でもデモ以来両国の政府ともにデモには非常に神経質になっていると聞きます。今の所中国では、ベトナムで行われたデモに対して人民は怒り、諸問題から目を逸らさせる事が出来ていますが、デモが中国に伝染するのを中国政府はないよりも恐れていると思います。

ベトナムの中国に対する怒りは頂点に達しつつあるように思われます。もし戦争になるとイケイケでしぶといベトナムが出てくるのでしょうか?のび太はどこまでジャイアンの横暴に耐えられるのでしょうか?またアメリカはのび太にとってドラえもん、それとも風見鶏的なスネ夫になるのでしょうか?

$cbsolutionsのブログ-こんな感じでしょうか?

色々複雑に絡み合い、日々進展していますがこの結果がベトナムの将来に大きな影響を与えると思います。

舶来物お断り!!!

2007年にWTOに加盟し、来年度では幅広い分野を外資に対して開いていかないといけないベトナムですが最近まったく逆の事が起きています。最近海外からの輸入に関して次のような通達が出されました。

- 6月26日までに輸入車を扱う会社は生産者より正式な許可証を取得すること
- 6月1日より携帯電話、化粧品、アルコール類などはハイフォン、ダナン、ホーチミンの港からの通関のみが有効で空路での輸入を認めない。製造元からの正式な許可証も必要。(現在この通達は見直し中となってます)。

ベトナムの外車ディーラーの多くはドバイなど税金のかからない/安い国で購入し、自分で輸入している会社がほとんどで、この6月26日に有効になるとベトナムにある半分以上のディーラーが廃業に追い込まれるという話もあります。またこの条例が発表されたのは5月26日で1か月でそのような文書を生産元の自動車会社から取得するのはほぼ不可能です。多くの反対の声が出ています。

携帯電話、化粧品、アルコールに関しては、少量を輸入する小売店などで扱う物の多くが偽物のため、消費者を守るための規制であるという説明をしています。これもまた中小の輸入店を苦しめることになります。これに関してはヨーロッパ商工会(EUROCHAM)からWTO違反の可能性があると言う事で見直しとなりましたが、まだどうなるかはわかりません。

また最近車の増加抑制と貿易赤字抑制の為に高級車、高級バイク取得には「購入権」を作るのが効果的という意見がベトナム投資家協会(Association of Vietnam Financial Investors)から発表されました。これはこのような高級車・バイクを購入するには購入額の4倍~10倍の購入権を取得しなければいけないというアイデアです。600万円の車を買うのに最低3000万円かかるという事です。

今ベトナムはインフレ、貿易赤字、外貨準備高不足という大きな問題を抱えています。財政政策のおかげで外貨準備高は少しではありますが増加傾向にありますし、政府の発表ではインフレのペースも徐々に落ちてきました。そこで貿易赤字縮小の為に発表されたのが上記の意見というわけです。

ベトナムの貿易赤字の一番の問題は国内で原材料を手に入れることができないので輸入に頼るしかなく、また輸出加工される製品が低付加価値製品が主流のため、他の輸入額をカバーすることができていないのが一番の原因だと思います。少々高級車や高級バイクの輸入を抑制しただけでは貿易赤字の長期的な解消には繋がらないでしょう。高付加価値の産業を作るのは時間もコストもかかるのでこのよなアイデアに至ったのでしょう。

2012年度はWTO加盟から5年目で、小売業、金融、保険など多くの分野で外資とベトナム資本との差別をなくしていかないといけません(現時点では外資・合弁企業はこのようなビジネスはできません)。その前年に多くの経済的問題を抱えているベトナム。その問題を解決するために色々な規制をかけようとしていますが、それらはWTOの精神に反したものです。貿易を活性化させる事により相互に利益を享受するのがWTOの精神だと思いますが、ベトナムはその利益の為にさまざまな痛みを受け入れる事が出来るのでしょうか?

今ベトナムの経済成長は減速中ですが、来年度のWTOとの約束に従い、様々な分野で外資に開かれた環境を作る事ができれば、来年度は2007年と同じような飛躍が期待できると思います。ベトナムの覚悟を見守っていきたいと思います