第96回アカデミー賞で作品賞、監督賞、脚色賞、国際長編映画賞、音響賞の5部門にノミネートされ、国際長編映画賞と音響賞の2部門を受賞した「関心領域」に行ってきました。

 

 淡々とした映像。低いエンジン音の間に聞こえる銃声とかすかな悲鳴。人間を焼いた灰が舞う庭。次第に歪んでいく人の心。

 

 そして、

 

だんだん集中力が途切れて、気を失いそうになったときに大転換が起きます。私は初回、その大転換のときに寝落ちしまして、翌日2回目鑑賞しましたw。

 

「ゲゲゲの秘密」が好きな人だったら、面白く見ることができるのではないかと…。大きな映画館で鑑賞すると、何かが覚醒する感じがします…。

 

 

メモオフィシャルサイト

右矢印映画『関心領域 The Zone of Interest』オフィシャルサイト 2024年全国公開 (happinet-phantom.com)

右矢印The Zone of Interest (2023) - IMDb

右矢印関心領域 : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

 

メモ参考
右矢印ルドルフ・フェルディナント・ヘス - Wikipedia

右矢印『関心領域』は「耳で聞く」映画だ──ジョナサン監督や音楽のミカ・レヴィらが語ったトークイベント全文レポ | CINRA

右矢印‘Mum knew what was going on’: Brigitte Höss on living at Auschwitz, in the Zone of Interest family | Holocaust | The Guardian

右矢印『関心領域』ジョナサン・グレイザー監督にインタビュー | 【GINZA】東京発信の最新ファッション&カルチャー情報 (ginzamag.com)

右矢印朝まで生テレビ! - Wikipedia

 └西尾幹二

 

 


 

 

 

ふんわりウイング概要

 

(抜粋)

タイトルの「The Zone of Interest(関心領域)」は、第2次世界大戦中、ナチス親衛隊がポーランド・オシフィエンチム郊外にあるアウシュビッツ強制収容所群を取り囲む40平方キロメートルの地域を表現するために使った言葉で、映画の中では強制収容所と壁一枚隔てた屋敷に住む収容所の所長とその家族の暮らしを描いていく。

 



カンヌ国際映画祭ではパルムドールに次ぐグランプリに輝き、第96回アカデミー賞では作品賞、監督賞、脚色賞、国際長編映画賞、音響賞の5部門にノミネートされ、国際長編映画賞と音響賞の2部門を受賞した。出演は「白いリボン」「ヒトラー暗殺、13分の誤算」のクリスティアン・フリーデル、主演作「落下の解剖学」が本作と同じ年のカンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞したサンドラ・ヒュラー。

(抜粋ここまで)

出典:映画.com

 


ふんわりウイングキャスト

    Christian Friedel    ...    Rudolf Höss
    Sandra Hüller    ...    Hedwig Höss


    Johann Karthaus    ...    Claus Höss
    Luis Noah Witte    ...    Hans Höss
    Nele Ahrensmeier    ...    Inge-Brigitt Höss
    Lilli Falk     ...    Heideraud Höss
    Anastazja Drobniak    ...    Annagret Höss
    Cecylia Pekala    ...    Annagret Höss
    Kalman Wilson    ...    Annagret Höss
    Medusa Knopf    ...    Elfryda
    Max Beck    ...    Schwarzer
    Slava the Dog    ...    Dilla (as Slava)
    Andrey Isaev    ...    Bronek

 

ふんわりウイングスタッフ:

製作:

 ジェームズ・ウィルソン

 エバ・プシュチンスカ
製作総指揮:

 レノ・アントニアデス

 レン・ブラバトニック

 ダニー・コーエン

 テッサ・ロス

 オリー・マッデン
原作:
マーティン・エイミス
脚本:
ジョナサン・グレイザー
撮影:
ウカシュ・ジャル
美術:
クリス・オッディ
衣装:
マウゴザータ・カルピウク
編集:
ポール・ワッツ
音楽:
ミカ・レビ
 


 

ふんわりウイング感想

ここからはネタバレの感想になります。

 

 

注意注意注意ネタバレ注意注意注意

 


 

 始まりは一家の主人であり、アウシュビッツ強制収容所 所長のルドルフの誕生日から始まります。

 

 

 一家が彼にプレゼントしたのは、カヌー。

 

 幸せそうな一家の様子とは裏腹に、ぼろぼろの服を着た人たち。カメラが背中に回ると、服はつぎはぎだらけでつんつるてん。でも、振る舞いや様子からみると、肉体労働をしたことがない人々が多い印象。

 

 

「カナダ」という収容所の倉庫から手押し車に載せてもってきたものを瞬間的に分別し、その毛皮をまとう妻。

 

 

彼女が塗っているのは、ポケットから出てきた高価な口紅


 

 そうなんです。彼らは収容所に入れられた人達の遺品を悪びれもなく着服(略奪に近い)していたんです。

 

 


 

登場人物について考えました。

 

あしあと夫 ルドルフ・ヘス(ヘス副総統とは違います)

 

到着するユダヤ人たちを荷物と呼び、人間とは思っていません。でもユダヤ人に憎さを感じているかというとそうでもなく、上司に言われた仕事を職人的に淡々とこなしている印象です。

 

カメラ人間を焼く炉について説明。この仕組みを使うと24時間稼働できるということに聞き入るルドルフ。

 

でも、ふつうに家族思いな人です。

 

異動を妻に告げようとするも、いえない気弱なところも…。

 

あしあとHedwig(奥様)

この方は旦那さんも愛していますが、アウシュビッツ強制収容所の女王という立ち位置に酔いしれている「少女」です。

 

カメラ少女趣味な感じの客室

 

 収容所を背景に、夫を探しに行くこの歩きっぷりは、まるで10代のかんしゃく持ちの少女のようです。

 

 

 

 主演のうち奥様役のサンドラ、この特殊な撮影方法と膨大な映像の編集について、以下の動画にコメントがあります。

 

 

 

あしあとHedwigの実母

 

 彼女の母は、ユダヤ人の裕福な家庭に掃除婦として雇われていたようです。「あののカーテンがほしかったのに、とられてしまった」などと娘に話しています。

 

 

 でも、アナグレットの泣き声に夜中に目を覚ました彼女は窓から見える収容所を見て、自分のかつての主人エステルが「そこにいた」ことを感じ取ります。この後、彼女は娘には置き手紙を残して、この家を立ち去るのでした。

 

手紙には何が書かれていたのかはわかりませんが、おそらくこの場所について、書かれていたと思いました。

 

あしあと末っ子アナグレット

 

 まるで人形のように愛らしい赤ちゃんです。でも、夜は夜泣きが止まりません。ところが、あるときから彼女の声はふっと聞こえなくなります。演出上の都合かそれとも…ドクロ

 

あしあとクラウス(兄)とハンス(弟)

 

 この子達もこのような環境にあって、少しずつ、他人の体や心を傷つけることに快感をもつようになっていきます。

 

特に思春期にあるクラウスは顕著でした。

 

カメラクラウスは夜中に燃え残りの歯を吟味。

 

 また、彼は弟のハンスを温室に閉じ込めて、泣き叫ぶ弟を眺めて喜んでいます。

 

 実は、この川には収容所からの燃えかすが大量にながされています。ある日、骨を拾ったルドルフはユダヤ人の体の灰が川に流れていることを知って、子供達を川から引き上げさせますが、すでに、子供達の心は妙な方向に歪んでいったようです。

 

 

 

あしあとインゲ=ブリジット

 

双子の女の子の一人。

 

川遊びをするインゲ

 

 この川から上がってきたときの洗面台にこびりついた灰がすごかったです。どれだけ、この川に灰を垂れ流していたか…。以降、インゲは何かを感じたようです。

 夜中それも丑三つ時、インゲは廊下に座り込んでいます。ルドルフは彼女を抱いて、グリム童話を読み聞かせするのでした。

 

 インゲを寝かしつけると、映画に現れるのはこの少女。この映像はサーモグラフィーカメラで撮影したのだそうです。理由は2つ。まず、倫理的にもビジュアル的にもほかのシーンとは対照的なものとしたかったのだそうです。2つめの理由は、作品は1945年が舞台となっているため、すべてのシーンを自然光のみで撮りたかったが、自然光で撮影するとなると夜のシーンは少女が映らないからだったそうです。

(参考:www.cinra.net

 

 

 こっそりリンゴを集めてはユダヤ人達が働く場所にリンゴや洋梨をうずめて、ユダヤ人達を支援しています。

 

 

 

 
 飢えた囚人たちにリンゴを残したポーランド人の少女は実在の人で、アレクサンドラ・ビストロンといいます。彼女はグレイザー監督と出会ったとき90歳で、その後すぐに亡くなったそうです。映画で使用されている自転車と女優が着ているドレスは両方とも彼女のものだったそうです。(出典:imdb
 
 
 

 また、ずっと低いエンジン音が絶えません。

 これもトリビアにあったのですが、屋外シーン中、遠くから何度か聞こえてくる、目に見えないオートバイのエンジンが回転し続ける音は、事実だったそうです。ルドルフ・ヘスは、収容所から聞こえる悲鳴や銃声の恐怖を覆い隠すために、エンジンを回すためだけに人を雇ったのだとか。

(出典:imdb

 
 


 ふつう、こんなに気持ちの悪い家は引き払うと思うんです。運良くルドルフの異動が決まったときに、引っ越す話があがりますが、猛反対したのは奥様。「ここは夢に見た暮らしなの」「あなただけが転勤して。私は子どもとここに残る」そして、「子供達を育てるのに最良の環境」だそうです…。

 
 
 
 
 自分に都合のいい言葉や情報に囲まれると、周囲が見えなくなることがあります。特に今は、私たちはそういう環境に取り巻かれていると思います。

 上の写真の庭は、私たちが見ている人生/生活なのかも。ユダヤ人の迫害は、当時の多くのドイツ人の不満のはけ口と彼らの資産の搾取、そして彼らの肉体という資源(※)を目的にした施策でした。「アーリア人種の優良性というでっちあげ」に誰もが踊らされ,抵抗できなかったことに恐ろしさを感じます。
 
 ※人間の脂肪から作った石けん、皮膚から作ったランプシェードを見たことがあります。
 
 
カメラ2010年6月11日 アンネの家にて
 
 
   さて、現実に戻って狂信的な風潮について、最近思ったことがあります。実は東京都知事選候補者の演説が怖くて…。その、某女性候補は、前任者を否定し「リセット」を強調しています。でも、「リセット」したら、都民のほしいものが手に入るのでしょうか。「リセット」どころか、彼女の狂暴性とパワハラで、まず都庁の職員が疲弊しそうな気がします…。実際にこの方の執拗な追求で、真面目な某大臣は自殺に追い込まれました。
 
 真面目に頑張る人ほど、この人に心をやられてしまいます。

 私達、特に政治家が守らなければいけないのは、誠実に課題に向き合える人々です。スゥっと横入りして掠め取っていく人は更生か国外退去しか道はないと思います。


 
 ところで、人を狂信的にさせる風潮の作り方について、18世紀にバルザックが「幻滅」という小説で描いています。昨年映画を見ましたが、ぞっとしました。
 
 
 

 

暑いのと寒いの、どっちが好き?

→若いころ、自分は暑い方が得意と思っていましたが、クーラーなしで過ごせるのは、32度まででした…。

 

▼本日限定!ブログスタンプ

あなたもスタンプをGETしよう