ポップ・ミュージックのトリコ -85ページ目

ポップ・ミュージックのトリコ

流行音楽を聴きながら、人生を音楽で豊かにしたいと願う、私的でミーハーなブログです。

ベストランキング2種類、①ヘッドホンしながらでも繰り返し何度も見るべき映画と、②デカい画面と大音量で聴いて体験すべき映画のうち、②デカい画面と大音量で聴いて体験すべき映画のリストです。

 

早い話がこれは是非映画館で観よう、ということですが公開が終わってしまうとそれはムリなことになるので、それならできればタブレットとかではなくテレビで観ましょう、という趣旨です。

最近はWi-Fi環境があればファイアスティックとかでテレビがインターネット接続になるので、配信開始しているものなら簡単にテレビで楽しめます。

 

できればよりよい環境でお楽しみいただければ。

 

ということでリストです。

 

①『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

アート系の映画だと物語のバックボーンは心理学に加えて西洋哲学や西洋古典を使うことが多い中、この作品は心理学と東洋哲学を下敷きに物語が構築されます。ただ語られるストーリーそのものは親子愛を中心にした家族愛。料理で言えば”おにぎり”ぐらい簡単な題材ですがなかにつまった具が半端ないよ具が。

そこで登場するのは”ゼロ”つまり”無”の存在。これぞ東洋思想の根本というべきものを”ベーグル”という呼び方にしてポップな作品に仕立て上げます。天国と地獄をわける”審判”をくだすのではなく、大乗仏教のような慈愛の精神で全員の救済を試みたり”無”の境地にこそ”悟り”があったりと普段我々の見るヒーローものの仕組みとは全然違います。マルチバースという最新の流行のSF設定を人生の無限の可能性と解釈する使い方も素晴らしい。しかもあちこちのバースに自在にジャンプするのはここでは明らかにADSDのメタファー。疾患を特殊能力として扱う潔さ。

ザ・アメリカの下町な世界観で忍者対決ものムーヴィーを撮ったかのようなごった煮感が強い作品。

このヒーローもの日本で獲るならトットちゃんこと黒柳徹子主役だろうな。彼女のジャンプ能力は日本では最強ですからね。

 

②『トップガン マーヴェリック』

マーヴェリックが帰ってきた、なんて話になってますが、気が付けばそこにはトム・クルーズ本人が、本人のままに本人を演じている作品。そして彼が命がけの演技をすることで、時代遅れのおれが映画界のピンチを救おうとして本気で挑んでいることが伝わってきます。観終わった後、『プロジェクトX』の神回を見終えたような感動を覚えるのは、本作がフィクションなのにドキュメンタリーとして観てしまうからでしょう。

敵が”ならず者国家”としか表現されない子供じみた設定でも、ありえない現役パイロット復帰のくだりも全部吹き飛んでしまうくらいトム・クルーズはガチで覚悟を決めて映画を作っています。こんなトムの姿を見ればだれも妥協なんてしません。そして妥協なしの傑作が誕生したということでしょう。

 

③『ザ・バットマン』

あのバットマンがリブート。おいおいもうノーランのバットマンで最終形は見たよ、と思いながら本作を見たら、これが驚き。2020年代らしいリアルなバットマンの再定義。バットマンの活動はいわば私人逮捕系ユーチューバーと似たもので、そこに正義はあるのか?という根本の問題をはらんでいます。バットマンを偶像化して神話にまで昇華したのがノーランの描き方なら、こちらはもっと闇に焦点をあてた陰影の濃いバットマン。リドラーもかなりいいキャラ造形。これ日本人はこっちの方が好きだよな。大ヒットを受けて急遽続編作成のために主人公のスケジュールをおさえたとか。おいおい、そんなに自信無かったんかい。

この映画観て思い出したのはアリーヤというアーティスト。Rケリーという当時飛ぶ鳥を落とす勢いのアーティストプロデュースで1作目をつくったあと、ゴタゴタがあって急遽ティンバランドなる無名の男に2作目のプロデュースをまかせることに。あまりに暗くてノレないヘンテコな楽曲にレーベル側は半信半疑だったらしいけど、この2作目でアリーヤは1作目以上の評判を受け、ティンバランドは名声を得るにいたります。

バットマン、ちょっと暗いけどちゃんと見ておけば絶対新時代の目撃者になるので1作目はチェックしときましょう。

2作目からはデカい映画館、それもできれば往年のソニーのトリニトロン並みに黒の表現が素晴らしいドルビーシネマで観るといいと思います。

 

④『NOPE/ノープ』

AKIRAバイクのシーンがあったりエヴァっぽいデザインだったりと日本映画大好きすぎるオマージュも見受けられる本作。若手黒人監督としてはほぼトップランナーである彼が初めてとるスペクタクル巨編映画。

スペクタクル巨編って何だったっけ?と言って監督がググったのかどうかわかりませんが、監督にとってスペクタクル映画とは何か?を映画中そのままシナリオとして落とし込んだような作風が面白い。

”見世物”という日本語訳となるスペクタクルだけに、”見る側””見られる側”という立場にある差別問題にも言及。見世物における”見られる側”の怒りや苛立ちをスリラー描写にうまくリンクさせているのは見事。

日本でも見世物小屋というものが昔あって、そこには頭が二つある動物のはく製や、子供の背丈もない低身長の大人や蛇に育てられた蛇女などが中に存在しそのショーをみるというものでした。

こういう少数の変異種を多数派の見世物にするという行為が意図せざるとも”見られる側”がバケモノとして消費されるということを生みます。その問題提起としてこの映画は機能します。

物語は動物の調教師の子息としての主人公兄妹にもスポットを当てていて、スカッとする映画に仕上がっているのも素晴らしい。

 

⑤『ナイブズ・アウト:グラス・オニオン』

ナイブズ・アウトの続編で、いかにもミステリーのふさわしい屋敷が舞台の前作とは変わって、孤島を舞台に繰り広げられる密室劇になっています。

前作では大金に目がくらむ大人たちの愚かな攻防でしたが、今回は動機不明のまま殺人が続くミステリー。やがて浮かび上がる真相は・・・とここはミステリーなのでネタバレ完全無しにします。

最近めっきり減ったジャンル映画のひとつミステリーものに挑んだ本シリーズ。

今回はNetflix独占配信でのリリース作ですが、これは映画館で観たかった。

この作品は何より舞台が美しい。コロナ禍には絶対行くことが出来ないリゾート地の魅力を劇中で余すことなく体験させてくれる映画。

 

外『RRR』

さてランキング途中ですがここで非英語映画を。

このランキングでは英語作品をといあげていますが、非英語作品にいいものがあれば勿論ランキング内に取り上げます。ただしランクのカウントからは外しています。

ということで『RRR』。インド映画の楽しさと最新のSF技術の組み合わせでとんでもない娯楽大作に仕上がっています。

あまり語られてないですが女優さんがメチャクチャきれい。インド映画のレベルの高さはそういう所でも圧倒的です。

 

⑥『フェイブルマンズ』

スピルバーグ御大が”俺もまだこういうアート作品っぽいのも作れまっせ”と本気でやったらマジでヤバいのができたっていう映画。

自身の自伝的映画でテーマは”私と映画”みたいなシンプルだけど自分語りを余儀なくされる作品。

スピルバーグ自身の手で自分の映画モンスターみたいなペルソナの部分を描いており、これが彼の人格のすべてではないししても、とてもじゃないがヤング・スピルバーグを描く青春映画というお気楽な見方はできません。

自分の才能に自分でさえ想定が及ばず周囲に大きな影響をあたえ、また映画に対する執着は身内の出来事ですら作品に仕上げる構想をいだいてしまう、という映画作家本人の苦悩とそして映画そのもののもつ危険な性質に切り込みます。

さすがスピルバーグ、ただの映画バンザイみたいなものは作りませんね。

 

⑦『Tar/ター』

クラシック音楽指揮者を通じてある語られる権威的な芸術文化の繁栄と衰亡を描いた作品。そこにネット社会がはらむ”キャンセルカルチャー”の問題を描き出します。

面白い部分がたくさんありすぎる作品ですがネタバレしない部分で語るとすれば、これはある権威的な存在の失墜という悲劇を描いており、クラシック音楽そのものの没落を重ね合わせ、そしてそれは映画文化の衰退をも連想させられてしまいます。

この作品の最後にモンハンのテーマが流れるのはゲームという新しい文化芸術の勃興の前に音楽も映画も時流に合わせて寄り添うしかないがそれは衰退とはいいきれない既存の芸術の再定義・再出発なのだということを示唆しています。

さらにエンドクレジットでは”バーバリアン”という曲が流れます。バーバリアンとは”野蛮人””未開の人”そして古くは”ローマ市民以外の人”ということでした。新しい芸術は常に未開の人、野蛮人で既存の芸術など解することが出来ない人によってもたらされるという現実。

それは古くは”ローマ市民以外のひとという語源が野蛮で未開であるという解釈になったことからも明らかで、ギリシャ・ローマ文化を根っこにする西洋文化がいまや瀕死の状態であるが、それを不本意なかたちであれど延命しているのも”バーバリアン”たちの存在あってこそ、という事実。映画の冒頭では主人公ターが民族音楽を指して研究の対象にしているという”上から目線の見解”でみていた”バーバリアン”の音楽が物語終盤ではどうなるのかを見届けてください。

 

⑧『ノースマン 導かれし復讐者』

北欧神話をきちんとリアルに映画に落とし込むなんてちょっと地味すぎやしないか・・・と思って観始めたらなんだこのおどろおどろしい世界は。

近年日本でも中世の世界観を見直す動きがありますがこれはその北欧版で、復讐に生きる男の物語を本当に丁寧な時代考証を元に紡いでくれます。

ここに出てくるアニャ・テイラー・ジョイもとにかくきれいで・・・。

 

外『西部戦線異状なし』

戦争のリアルを描いたドイツ作品。ハリウッド版が有名ですが本作はドイツが描くということで、やはりドイツ人らしい緻密で丁寧なつくり。そして意味もなく散ってゆく命の軽さ。

ネットフリックス独占配信になってるので仕方ないにしてもこれも映画館で観たかったなぁ。

英語以外の国の映画っていうと、フランスとかインドとか韓国とかが有名ですが、ドイツもいい映画作る国なので、もっといろいろな作品に注目が集まって欲しいです。

 

⑨『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』

こんなもん映画館で観るしか無かろう、ってことで観たのですがそのあと自宅でどのくらいの体験ができるのか気になって自宅で鑑賞。

まあそりゃ映像の魔術師であるジェームズ・キャメロンが最新の映像の技術を研究しつくして作った作品だから映画館で味わった映像美への感動は無かったものの、水の表現など、CGの限界値に達した描写は自宅でも十分に伝わりました。

いや、むしろよりもっと緻密に感じたかもしれません。彼の表現はむしろどこまで自然に近づけるかに関心が移っていてCGで人工的に作った舞台である惑星をただただ地球と同じようなリアルな感覚の映像で見せるという神の領域に踏み出しています。

キャメロン監督は映像美とともに作劇がうまいことも有名で本作も最後まで体験ツアーなんかではなくきちんとした物語になっていてやはり別格の巨匠なんだということを思い知らされました。

天才のつくる芸術の作品はいわば21世紀のダヴィンチの作品とでもいうべき域に達しているといえます。

 

⑩『ドクター・ストレンジ:マルチバース・オブ・マッドネス』

「あのサム・ライミがマーヴェル作品を撮るだって?なぁーにぃー」ということでドクターストレンジが帰って来ました。前作の監督のキテレツな世界観も好きだったのでそれが無かったことになるのはやだなぁ、と思ってたらそこはサム兄貴わかってらっしゃる、ちゃんとやるんですよね。それでおお、サム兄貴も大人になったな、もうやんちゃしないんだな・・・と思ったのも束の間もう馬鹿みたいにサム兄貴のエキスをドバドバ投入したお祭り映画でした。

ゾンビゾンビゾンビゾンビゾンビ、ギャー!!!

いや、もうお腹いっぱいだよサム兄貴。もう食えねぇよ。

MCUという枠組みにきちんとはめなきゃいけないはずなのに、なんかこれだけ好きにつくらせてもらえるサム・ライミの信頼度って凄いんだなぁ。そりゃスパイダーマンの実写化当てたパイオニア的存在だからなぁ。

それにしても面白かった、唯一の不満はヴィラン。ダメだよこういう辛い設定の敵は。”ならずもの国家”とかでいいじゃん。

2024年になって2022年の洋画ベストです。

 

これは2022年に公開された作品というくくりでやると、どうしても日本公開が遅れたらその分、視聴がスレこむからです。

 

今回で言うと『aftersun/アフターサン』のリリース待ちでした。

よっぽど映画館で観ようかと思ったのですが、グッとこらえて今年の1月12日の配信開始まで待ちました。

まあその間に吟味もできますし、日本の媒体のベスト10が出てもそれは「日本公開」のくくりなので、実はそれほど内容が被りません。

理由はいくつかありますが、まずは未公開作品の扱いが難しくなること。

あとは「日本公開」のタイミングでアーカイブすると、例えば「バーベンハイマ―」のような現象が日本では年の区切りで分断されるということもあります。

 

ベストランキングは2種類あって、ヘッドホンしながらでも繰り返し何度も見るべき映画と、デカい画面と大音量で聴いて体験すべき映画に大きく分けています。

まずはヘッドホンで繰り返し観るべき映画。

 

①『イニシェリン島の精霊』(Disney)

奇跡に近い美しい風景は絶対見ておくべき。その圧倒的に美しい風景をバックに二人のオッサンのケンカが主軸のストーリーというのがまた・・・、
ただ、このオッサンのケンカの背景にはグレーゾーンの人物を誰がケアしてゆくのか?という深い話もあって・・・。英語で『ドンキ―』というと本来は”ロバ”ですが、”のろま””間抜け”の意味でも用いられます。『ドンキーコング』は”ロバっぽい大猿”ではなく”間抜けな大猿”ですよね。劇中で主人公は『ロバ』の世話をして生計を立てているのですが町の人間から”ドンキ―”と呼ばれて”俺はドンキ―じゃない”と答えます。このドンキーはロバのことを指していると主人公は思ってるのですが町の人は”間抜け”という意味で言っているのがわからないのです。

ここが日本語訳だと字幕でも吹き替えでもうまくいってなくて、主人公の知能指数の問題に作中で触れることが出来ていないので、”彼の話し相手を今まで町で唯一引き受けてくれていた初老の男の苦悩”というものが見えてこず、なんのこっちゃわからない”友達の突然の絶縁宣言とそれにはじまったケンカ”ということになってしまっています。

もっと絶縁にいたるまでの毎日の老人の厚情や、毎日まったく同じ話をする男との退屈なシークエンスがあればもっとわかりやすいのですが、この作品はあえてその場面は描かずに主人公視点から見た身勝手な老人の言動に映るように作劇しています。これにより観客は老人側に寄り添って映画をみることができなくなります。それでは拒絶される主人公が一方的に気の毒に見えるのですが、主人公の設定をキチンと踏まえると、この老人の”思いやり”に依存してコミュニティが見て見ぬふりをして放置している問題に一人向き合う、いわゆるケアラーの苦悩が浮かび上がります。「おまえの話はいつも同じでつまらない」と言って突き放し、音楽の師として大学生たちに師事しバーで彼ら相手に高尚な音楽談義をして楽しむ老人。本当はこんな意義ある交流ができる才がある人間が、それを我慢して毎日バーでこの男との毎日全く同じ内容の話を何度も繰り返し聴いていたとすれば、老人のことを誰が責められよう。それでも老人は自分の身勝手な行動の罪の意識にとらわれて、会話をしかけてくる彼を拒絶するたびに1本指を落とします。『イニシェリン島の妖精』とはかくも恐ろしく悲しい物語なのです。

ホントはもうちょっと書きたいけどネタバレ手前でいえることはそこまで。

 

②『ザ・メニュー』(Disney)

高名なシェフの出す格別のお任せコース料理を食べる超豪華なディナー会場が舞台。ここの料理がもうそりゃ怖い訳ですよ。そして皮肉のスパイスがこれまたもう致死量ぐらい入っているわけで・・・。

舞台がオシャレでそこでアニャ・テイラー・ジョイ様が活躍するからもうそれは大人のためのチャリチョコみたいな映画。

 

③『長ぐつをはいたネコと9つの命』

『スパイダーマン:イントゥ・ザ・スパイダース』以降のアニメ。というジャンルの作品。まあグランジのあとのポスト・グランジみたいなもんでこのアニメの破壊力で世界のアニメはリアル重視の3Dアニメの方向性からグッと振り子が振れて、わざと3Dアニメを2D風味にしてコミカルな世界を描く方向に切り替わりました。この作品はその流れにあって、しかもシュレックのシリーズのリブートの先頭バッター。それが素晴らしいクオリティですよ。よりコミカルによりカワイく。とにかくワンちゃんの可愛さは反則でアイツに泣かされます。つまりハンカチ・ティッシュは必須です。

 

④『プレデター:ザ・プレイ』(Disney)

プレデターの設定を使ってアメリカ先住民の話を作るという「どういうことなの?」という変化球です。これはよく考えついたものだと途中で気づかされたころには今まで見たことが無いアメリカ先住民VSプレデターのバトルシーンにどんどん引き込まれてしまっています。そうプレデターっていつも物語を進める装置に使われて気づけばもはや脇役なんですよね。

そういうところもいつものプレデター。とはいえ今回のプレデターさん、カッコイイですよ!歴代で一番好きかも。

 

⑤『バーバリアン』(Disney)

コメディ映画やラブコメなどがほぼ死滅した今、ジャンルものとしてはほぼ一人勝ちのホラー。

昔からここから新しい才能が世に出てきたわけですが、もう毎年くさるほどホラー映画は作られているのにまたその上をいく発想の新しいアイデアで攻めてきます。

本作はエアーB&Bを題材にした作品で自分の知らない間にだれかが家に入っている恐怖で見せていくのですが、そこは2020年代のホラー、きちんと取り組むべき課題にも光を当てます。シカゴといえば貧しい黒人が新興住宅地に一斉に住み始めて町がスラム化したという歴史や80年代には基幹産業である車の工場が廃れて町が荒廃したとか、黒人がものすごくたくさん住んでいる町ということで人種差別問題を多く抱えている場所で冤罪率の多いことで知られています。

そういう見方をすればこの映画の切り取るシカゴの問題が見えてきます。

 

⑥『ギレルモ・デル・トロのピノキオ』(Netflix)

ピノキオの舞台設定を第2次世界大戦直前のイタリアを出発点に変えるだけでここまで意味を持たせられるものかと感嘆。その筋書きだけでもすごいのに、この時代にストップ・モーション・アニメで撮影するという大技。

こんな贅沢なアニメ作品はもうしばらくは出てこないし、出せないでしょう。

 

⑦『パール』

『X』のスピンオフのような作品ですが、製作にも名を連ねるミア・ゴスの”金払ってんだからマジでやる”とでもいうような快演が凄い。全部通して観終わった後のエンドロールも忘れず鑑賞しましょう。なんなら本編より怖いかも。

 

⑧『マッシブ・タレント』

”あーいむ にっく ふぁっきーん けーいじ”こと我々のニコラス・ケイジがニコラス・ケイジ役で出演して巻き起こすバカ・アクション・コメディ。

なんだろう、彼の映画界での愛されかたって唯一無二のものですよね。この映画ではニコラス・ケイジの出演作をコスッた小ネタ満載。何よりコメディが氷河期どころか絶滅とさえいえる状況で本人ネタでそこそこの規模のドタバタ・アクションを1本作ってしまえるというキャラ立ち感が凄い。

 

⑨『aftersun/アフターサン』

最近この映画はレビューしたので割愛。夜泣きの子供に毎日翻弄されている子育てど真ん中の人には特に刺さる作品でしょう。まあその当事者は映画観るひまがあったら寝たいのが本音だと思いますけど。

 

⑩『X』

史上最高齢の殺人鬼が出てくる映画、として有名な本作。そんなことバラしていいの?と思って観たら、そう、”誰”が問題なのではなく”どうやって”が一番のキーポイント。怖かったマジで。舞台設定が70年代ということもあって、70年代映画へのオマージュ色が強く適度に安っぽいお色気シーンやバカっぽい下ネタシーンもあってエモい。

 

上記映画がヘッドホンで、と言っても、そりゃできれば大画面と大音量で聴くに越したことはありません。

ただ、手軽に気軽に低コストで映画を観ることは、長くこの趣味を続けるためにも必要だろうと思うのです。

まずホラーはできれば映画館で観ないことに決めています。理由は怖すぎて内容が楽しめないから!

ですのでこのリストでは家でみるべきリストということでホラーが多めになってます。

IFPI(国際レコード産業連盟)が発表した世界レコード産業の売上実績を取り上げます。

 

このブログで2018年分まで取り上げていましたが、あれから5年経ってしまったので、ここで5年分のランキングを振り返ります。

まずはここで取り上げた2018年から

中国の台頭がものすごい勢いで上位にせまりつつある、という状況。

で2019年から2020年を経て、

 

2020年まで小康状態が続いていましたが・・・、

2021年から2022年で中国が2ランクアップの猛烈な勢い。

国の勢いを見るとき、まずは軍事、そして経済、そして文化と3ステップを踏んで他国に影響を与えていく、というのが私の持論です。

このうちの「軍事」は核を保有する国が圧倒的に有利で秩序もそう簡単に変わらないでしょう。

その意味では「経済」こそが、、、ということでGDPによって国の力をみることが一般的ですが、これは生産量にみあうだけの人口がいない場合、輸出量がないと難しいわけですが、経済はブロック化しつつあって、こうなってくると人口動態の推移がそのままGDPの推移になりがちです。つまり経済の勢いは軍事と同じようにいまやかなり制限されたパイの奪い合いということになります。例外は過去20年ほどの間にやっと医療が行き届いて出生率が改善された国ということになるでしょう。インド・アフリカ・イスラム圏などが最後のフロンティアということは間違いないはずです。

では国家が他国に勢いを及ぼす最後のステップである「文化」の指標とは、、、ということですが、これをしめす指標として音楽売上は割と使えるものではないかと考えています。

映画のように製作⇒配給⇒上映というサプライチェーンが整わないことにはなかなか難しいものとちがって音楽はもっと手軽でカジュアルな商品です。

加えて映画よりも言語障壁が高くありません。

このトップ勢の顔ぶれを見ると、かつて軍事的覇権を握ったり、経済的覇権を握っていた国の顔ぶれが多い事に気づくはずです。もちろん覇権を握る米国が文化面でも大きな影響量を持っているという事例もありますが、イギリス・フランス・ドイツ・日本はかつての覇権国家でいまはもう軍事的野心をむき出しにはしていません。韓国は経済重点には違いないものの、「文化」輸出に力を入れて世界的な成功をしています。

ブラジルも音楽という分野では「レゲトン」を武器に強大な輸出国です。

さて中国は人口減少に転じてこれからしばらくは経済の分野で目覚ましいニュースをもたらすことは難しい国になるでしょう。かつて「漢」や「唐」のような圧倒的軍事力で支配力をもっていた時代ではなく、「宋」や「明」の時代のように文化的な豊かさで世界に影響力を誇った国に中国は転換してゆくことが必要なのは歴史上の必然だと思います。

そのときに中国がどんなポップカルチャー、ポップミュージックで世界を席巻するのか、今から楽しみでなりません。

そしてこのメンツに新しく加わった国もやがてその「文化」の輸出が大事だということに気づき、その方向に各国が戦略を切り替えることになるでしょう。

よく安全保障理事国のメンツをどうのこうのという議論があがりますが、私見としてはこの上位10か国を常任理事国にして、このランキングによって該当国を入れ替えれば面白いのになぁ、と思っています。

「核保有国」ではメンツが入れ替わらないし、パキスタンや北朝鮮が入るのは何か違う。

核保有国ランキング

 

まあ、韓国が北朝鮮と合併すれば韓国も核保有国になるんだろうけど・・・。

「GDP上位国」では国家の規模や国民の数が最重要になって「大国」が有利になりすぎてしまう。

 

文化財の生産が多いということは国民が文化的に豊かであり、その文化は他国にとっても魅力的に映ることでしょう。

安定的な消費にはなにより平和でなければならないし、輸出においては国家のイメージがキレイでないといけません。

 

 

ここまで音楽ランキングを牧歌的に語ってきたわけですが、これから未来にかけては経済的な覇権国家の顔ぶれは変わっていくし、そのあとに「文化的な覇権国家」の顔ぶれは変わるでしょう。

GDPのランキング予想では

日本は今後どんどん国際的なプレゼンスをGDPという尺度では失ってゆきますが、「文化的な」プレゼンスも放置すればどんどんGDPランキングに入ってくる国々によって奪われてゆくでしょう。

国家をあげたIP戦略を行わないと「文化輸出大国」としての日本の未来もまた暗いものにならざるを得ないのです。