IFPIレコード産業国別売上実績ランキング(過去5年間) | ポップ・ミュージックのトリコ

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流行音楽を聴きながら、人生を音楽で豊かにしたいと願う、私的でミーハーなブログです。

IFPI(国際レコード産業連盟)が発表した世界レコード産業の売上実績を取り上げます。

 

このブログで2018年分まで取り上げていましたが、あれから5年経ってしまったので、ここで5年分のランキングを振り返ります。

まずはここで取り上げた2018年から

中国の台頭がものすごい勢いで上位にせまりつつある、という状況。

で2019年から2020年を経て、

 

2020年まで小康状態が続いていましたが・・・、

2021年から2022年で中国が2ランクアップの猛烈な勢い。

国の勢いを見るとき、まずは軍事、そして経済、そして文化と3ステップを踏んで他国に影響を与えていく、というのが私の持論です。

このうちの「軍事」は核を保有する国が圧倒的に有利で秩序もそう簡単に変わらないでしょう。

その意味では「経済」こそが、、、ということでGDPによって国の力をみることが一般的ですが、これは生産量にみあうだけの人口がいない場合、輸出量がないと難しいわけですが、経済はブロック化しつつあって、こうなってくると人口動態の推移がそのままGDPの推移になりがちです。つまり経済の勢いは軍事と同じようにいまやかなり制限されたパイの奪い合いということになります。例外は過去20年ほどの間にやっと医療が行き届いて出生率が改善された国ということになるでしょう。インド・アフリカ・イスラム圏などが最後のフロンティアということは間違いないはずです。

では国家が他国に勢いを及ぼす最後のステップである「文化」の指標とは、、、ということですが、これをしめす指標として音楽売上は割と使えるものではないかと考えています。

映画のように製作⇒配給⇒上映というサプライチェーンが整わないことにはなかなか難しいものとちがって音楽はもっと手軽でカジュアルな商品です。

加えて映画よりも言語障壁が高くありません。

このトップ勢の顔ぶれを見ると、かつて軍事的覇権を握ったり、経済的覇権を握っていた国の顔ぶれが多い事に気づくはずです。もちろん覇権を握る米国が文化面でも大きな影響量を持っているという事例もありますが、イギリス・フランス・ドイツ・日本はかつての覇権国家でいまはもう軍事的野心をむき出しにはしていません。韓国は経済重点には違いないものの、「文化」輸出に力を入れて世界的な成功をしています。

ブラジルも音楽という分野では「レゲトン」を武器に強大な輸出国です。

さて中国は人口減少に転じてこれからしばらくは経済の分野で目覚ましいニュースをもたらすことは難しい国になるでしょう。かつて「漢」や「唐」のような圧倒的軍事力で支配力をもっていた時代ではなく、「宋」や「明」の時代のように文化的な豊かさで世界に影響力を誇った国に中国は転換してゆくことが必要なのは歴史上の必然だと思います。

そのときに中国がどんなポップカルチャー、ポップミュージックで世界を席巻するのか、今から楽しみでなりません。

そしてこのメンツに新しく加わった国もやがてその「文化」の輸出が大事だということに気づき、その方向に各国が戦略を切り替えることになるでしょう。

よく安全保障理事国のメンツをどうのこうのという議論があがりますが、私見としてはこの上位10か国を常任理事国にして、このランキングによって該当国を入れ替えれば面白いのになぁ、と思っています。

「核保有国」ではメンツが入れ替わらないし、パキスタンや北朝鮮が入るのは何か違う。

核保有国ランキング

 

まあ、韓国が北朝鮮と合併すれば韓国も核保有国になるんだろうけど・・・。

「GDP上位国」では国家の規模や国民の数が最重要になって「大国」が有利になりすぎてしまう。

 

文化財の生産が多いということは国民が文化的に豊かであり、その文化は他国にとっても魅力的に映ることでしょう。

安定的な消費にはなにより平和でなければならないし、輸出においては国家のイメージがキレイでないといけません。

 

 

ここまで音楽ランキングを牧歌的に語ってきたわけですが、これから未来にかけては経済的な覇権国家の顔ぶれは変わっていくし、そのあとに「文化的な覇権国家」の顔ぶれは変わるでしょう。

GDPのランキング予想では

日本は今後どんどん国際的なプレゼンスをGDPという尺度では失ってゆきますが、「文化的な」プレゼンスも放置すればどんどんGDPランキングに入ってくる国々によって奪われてゆくでしょう。

国家をあげたIP戦略を行わないと「文化輸出大国」としての日本の未来もまた暗いものにならざるを得ないのです。