3年前までの殺処分方法 2019年10月まで | CAPIN(キャピン)公式活動報告

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認定NPO法人「動物愛護を考える茨城県民ネットワーク CAPIN」
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たった4年前の出来事なのです。


茨城県動物指導センターではどんな犬が収容されているか、公表はありませんでした。


公示期間の4日が過ぎると収容犬情報は県のホームページから削除されていきます。


どの犬を処分するのか聞いても教えて頂けませんでした。


シニアや病気持ちや噛み犬など、私たちが難しい犬から引き出しても、ガイドラインの判定に基づき、そう難しくない犬から選ばれて、殺処分されてゆきました。


その週の処分をなくすために必死になって民間ボランティアは山奥の動物指導センターに17時までの時間内に到着します。


しかし16時過ぎてからの引き出しは拒まれ、嘱託の獣医師から、動物棟の電気を消されて真っ暗にされました。彼女は愛護推進課に属しておられましたが、旧態依然の動物指導センターのやり方を死守しようとされていました。ほかの若い獣医師たちもじっと下を向いて、言葉数少なく、組織に忠実でした。ここに収容された犬たちの味方をする人はいない。そう悟りました。








別紙3-1 


殺処分,焼却等業務作業要領


殺処分,焼却等の作業は,次により行うこととする。なお,各作業の実施時刻については,動物棟における譲渡或いは返還等に係る関係者の出入の状況や他の業務の作業状況等に配慮し,適宜変更することとする。


1 殺処分について

 成犬の殺処分については,原則として毎週木曜日に行うこととし,その他センター長から指示があった場合は当該曜日以外も行うこととする。また,その際の殺処分の作業については,以下の手順により行うこととする。

 なお,成猫,子犬及び子猫の殺処分については,別紙3-2「殺処分業務作業要領(成猫・子犬・子猫)」により行う。

(1)午後4時に,センター職員から指示があった成犬を個別房へ移動させる。なお,個別房への収容が困難な場合は,個々の接触を避けて繋留することが可能な集団房へ移動させ,繋留すること。

(2)午後4時30分に,センター職員の指示のもと,対象とする成犬にセンター職員から手交された餌皿に盛り付けされた麻酔薬入り餌を個別に給餌する。

 なお,集団房内に繋留された成犬に給餌する場合は,他の成犬の麻酔薬入り餌を食することがないように餌皿の置き場所に留意すること。

(3)午後5時に,麻酔薬入り餌の喫食状況を確認する。なお,喫食していない成犬が確認された場合は,必要に応じて収容場所を移動するなど収容環境に配慮すること。

2 焼却等について

焼却等の作業については,以下の手順により行うこととする。

(1)午前8時30分に,焼却炉の保守点検(特にロストルの破損,炉内レンガの破損等)を行う。なお,異常又は破損等が確認された場合はセンター職員へ報告する。

(2)午前8時40分に,前日に麻酔薬入り餌を給餌し,センター職員が致死を確認した成犬のほか,殺処分した成猫,子犬及び子猫を焼却炉に搬入する。

(3)午前9時に,以下の手順により焼却作業を開始する。

[焼却作業の手順]

①1号炉の作業手順

午前9時 A重油量の確認

午前9時20分 バーナー点火(2次室温度300〜400度)午前9時20分 1次室点火

  以下、略


~ 別紙3-2


殺処分作業要領(成猫・子犬・子猫)


成猫,子犬及び子猫の殺処分は,センター長から指示があった場合に行うこととする。また,その際の殺処分の作業については,次により行うこととする。

1 センター職員が指示した成猫,子犬及び子猫に対して,センター職員が手交した麻酔薬入りミルクを致死に必要な量を給餌させる。

2 衰弱した動物など,致死に必要な十分量の麻酔薬入りミルクを摂取することが困難な動物については,センター職員の指示に従い処置を行う。


ギザギザギザギザギザギザギザギザギザギザギザギザギザギザギザギザギザギザギザギザギザギザギザギザギザギザ


以上は、2019年10月まで、殺処分がどのように行われていたのか示す行政文書です。獣医ではない委託業者の犬好きのおじさんたちが、クビにロープを付けて個別房に引っ張っていき、喫食状況を確認させられています。立ったり座ったり苦しんで、ゲロゲロ吐いたり、というのはこの確認時の証言だったのでしょう。


一晩中苦しんで朝になれば亡くなっているのを委託業者やセンターの獣医師が確認して終わりです。センターの獣医師(狂犬病予防員)は獣医学部を出てもすぐに公務員となり臨床経験がない方がほとんどです。


 驚いたことに、個別房に連れていかれないような犬は、集団房に入れたままで繋いで(?首にロープをかけられないのに、繋ぐことが可能なのか?)食べさせるという選択肢もありました。同じ房の強い犬が本犬を押し退けて食べてしまう可能性もあったかと思われます。そうなれば、別の犬が間違いで薬殺されるということになります。


 センターというのは、生死さえも軽く扱われる場所であった、と感じます。犬違い、雌雄の間違いはよくありました。非公開で、ごく特定の人のみが管理し、県民おろか議員すら見学を断る時代がありました。県民の視線から離れた場所だからこそ、閉ざされた密な空間で起こり得る事象(パワハラ、セクハラ、モラハラ)が発生したのでしょう。人の労働環境としても問題があります。


ピラミッドの頂点に君臨していたのはサラリーマンセンター長ではなかったのは確かです。





現在は、すべての収容犬猫が公表されるようになりました。


そして、どのカードにも名前が記載されるようになりました。


 前述の通り、殺処分を予定する犬は教えて頂けませんでした。さらに、殺処分をすでにした犬、譲渡した犬、死亡した犬はどれかも教えて頂けませんでした。

 いつの間にか犬が消えていて、どうなったのかが分からないのです。今このときに生きている証を残そうと必死にシャッターを切りました。毎週センターに通い、ブログに掲載し続けてきた「日付 センターにいた犬たち」です。

 そのうち、殺処分を予定する犬猫は、事前に個別管理カードに印を付け、私たちに知らせることが決まりました。2020年になっていたでしょうか。


譲渡した犬は譲渡団体の個人情報に関わるため今でも教えて頂けません。


殺処分方法は、上記の致死睡眠薬入り餌を使うことから、国際的に認められた動物福祉に配慮した方法である、ペントバルビタール(セコバルビタール)の

注射を用いることとなりました。2019年10月のことです。


なぜこのような抜本的な改善がなされたか。


センターでの業務のあり方が、住民訴訟によって、裁判所という公の場で検証されるようになったからです。狂犬病予防員だけでなく多くの県職員、そして普通の人々が茨城県犬猫殺処分業務の実態を知ることになりました。裁判になれば、記録が残ります。行政文書は1年とか3年の保存期間のあとにどんどん廃棄されてしまいますが、裁判になれば事実は消せません。


住民監査請求、それに続く住民訴訟なくては、笠間の山奥で起きている揉め事と片付けられ、おそらくこれらの改革は実現できなかったでしょう。


勇気を持って、茨城県に対し、住民訴訟を起こしてくださいました県民の方々に深く感謝致します。


そもそも行政は私たちの税金で運営されています。こんなことに税金を使わないでほしいと思うとき、市民が法律を味方につけて動くためのツールに「公金支出の差し止め請求」の住民訴訟があります。都道府県だけでなく市町村に対しても行えます。まず、住民監査請求をし、それが却下されたら、住民訴訟を起こす流れとなります。動物行政に限らず、様々な分野において、不本意な公金支出が行われていると考えられたときに市民が司法に訴えるための有用なツールです。


by鶴田真子美(おかめ)