殺処分ゼロから、捨てられる命がゼロになる社会へ | CAPIN(キャピン)公式活動報告

CAPIN(キャピン)公式活動報告

認定NPO法人「動物愛護を考える茨城県民ネットワーク CAPIN」
公式ブログ

こおりさんから、常総野犬のメキズの子供たちの写真が送られてきました。

まる、サモサ、タスク、みらい、みんな愛されています。










みらいちゃん里親様からのお便りを紹介させて頂きます。

♪…♪…♪…♪……♪…♪…♪…♪…




小4の娘が今年の夏休みに書いた読書感想文です。


少し長いですが、JOSO WAN ZEROのこおりさんにインタビューして教えていただいたことや調べたことなども書かれていますので、お時間のある時にお読みいただければと思います。





題名『命をつなぐ〜捨てられる命ゼロへ〜』


  今年の七夕の日、常総市役所前で開かれた犬猫の譲渡会に家族で参加し、そこで未来という子犬に出会った。もともと野犬が穴の中で産んだ子で、常総シェルターのスタッフによって生後約1ヶ月の時に保護され、里親が見つかるまでの間、預かりボランティアの家庭で育てられたという。
  私の祖父も、8年前から保護犬を飼っている。あと1日遅かったら殺処分されていたという犬を茨城県動物指導センターから譲渡してもらったのだ。当時、茨城県では毎年1000頭近くの犬猫が殺処分されていて、全国でも殺処分数ワースト1位だったという。
  私は、人間の身勝手な理由で捨てられたたくさんの命があることにとても悲しくなった。犬や猫にも命があるのに、まるで物を扱うように、いらなくなったから捨てるだなんてひどすぎる。どうしてそんなにたくさんの犬猫が殺処分されなければならないのだろう。私は心にもやもやを抱えながら、保護犬や殺処分について書かれた本を何冊も読み、インターネットでも保護の現状を調べた。
  この本には、千葉市動物愛護センターに保護された犬猫と里親をつなぐボランティアの実話が書かれている。主人公の彼女たちは、時間を見つけては愛護センターに通い、獣医師と協力して譲渡適性検査、シャンプー、里親募集や迷子犬の情報発信、犬猫に関する相談の対応、譲渡会の開催、譲渡後のケアなど、ぼう大な仕事をしていた。私は、仕事も家庭もあるのに、ここまで一生懸命に動物たちの命と向き合う姿にとても驚いた。ボランティアのイメージが大きく変わった。どうしてそこまでできるのだろうと、心が熱くなった。
  一つ一つの命と丁寧に向き合い、一頭でも多くの犬猫が幸せに暮らせるようにと前向きに命をつなぐ彼女たちの姿に、涙が出てきた。
  実際に、彼女たちのおかげで行政が動き、千葉市の殺処分数は激減した。茨城県も殺処分数は年々減ってきているけれど、予算が足りないという。殺すためではなく、生かすために、もう少し税金を使えればいいのに。
  私はこれまで、自分の周りには野良犬や野犬はいないと思っていた。しかし、常総シェルターを訪れて話を聞かせていただくと、かなりの数がいることが分かった。また、常総市内にもこの本と同じように、雨の日も猛暑の日も、毎日明るくひたむきに命をつなぐ活動を続けている人たちがいることを初めて知った。私にもできることがあるだろうか。
  私は今、トライアルを経て正式に家族の一員となった愛犬未来と一緒に生活している。未来は表情豊かでいたずら好き。甘えん坊の弟が一人増えたみたいだ。たくさんの方に命をつないでいただいた未来。私は家族と共に、未来が老犬になって死ぬまで、責任とたっぷりの愛情をもって育てていくことを約束した。
  そして、作者の今西さんが言うように、私も、殺処分ゼロから捨てられる命がゼロになる世の中を作っていける大人になりたい。

…♪…♪…♪…♪……♪…♪…♪…♪…



夏休みにご協力いただいた読書感想文ですが、市内審査を通過し、県審査会で佳作をいただくことができました。ありがとうございました😊


(みらいちゃん里親さまより)


感想文、読ませて頂きました。

お子さんたちが真剣に、殺処分のない、捨てられる命がゼロになることを願っている、未来がきっと変わる、そう思える感想文でした。
ありがとうございます。

未来ちゃんのお父さんのメキズは、常総の野犬エリアにいた、最後までつかまらないオスでした。



2015年3月にスタートした常総野犬問題解決のための取り組みについて、以下、記載致します。


2015年3月末、常総市民のUさんから当会に相談があり、世話していた野犬が毒まきにより無差別に殺害される、助けて欲しい、と依頼を受けました。

毒団子を置くから飼い犬は離さないようにと地区住民に説明会があったそうです。子犬も慣れた犬もいるとのこと。CAPINに相談があり、現地に駆けつけた会員たちから、おかめさん助けて欲しいと言われ、捕獲を始めました。



その日から、野犬との格闘が始まりました。
神奈川の犬猫救済の輪さん、栃木動物緊急避難所さんが捕獲や預かり譲渡をサポートして下さいました。

高杉市長、区長、県内外の保護団体、獣医師会、県と市の職員、県議、市議。会議が4月末に開催され、殺さないで保護する野犬保護場所を作ることが決まりました。

2015年6月、茨城県と常総市と当会で常総野犬問題解決のためのワーキンググループを結成。
覚書を交わし、役割分担をしました。県は物資の提供と会議開催の呼びかけ、センターは捕獲、獣医師会は医療、市は保護施設の提供、CAPINの役割は施設に入った動物の世話と譲渡をすることです。

常総坂手貝置地区の野犬がゼロになるまでワーキンググループは解散しないと決まりました。最後の野犬、メキズとチビママがKDPさんのご協力により無事につかまったのは、今年の夏。4年が経過していました。

初年度は毎日のように捕獲器をかけていました。
アメリカから捕獲機を輸入しました。これなくてはなかなかつかまらなかったでしょう。センターのハクビシンやイノシシ用鋼鉄の捕獲器は犬も警戒するからです。

当会保護の常総犬は130を超えています。

ワーキンググループが結成される前につかまえた犬は自己責任でと言われ、常総シェルターには入れてもらえませんでした。ハラスやハコやハニー、キキ、ワタル、大地、マリー、マミーたちです。だから土浦シェルターや他県にお願いしていました。


野犬問題とは別に、2015年常総水害による被災ペット支援事業も行い、
発災以降、常総犬猫の動物指導センター全頭引出により、常総市の犬猫殺処分は4年にわたり、ゼロをキープしています。

2017年7月に旧常総シェルターを使用できなくなり、個人預かり様宅やCAPIN土浦シェルターに分散して緊急保護されて以来、待ち遠しかった
新しいシェルターがやっと2018年に完成しました。

そこにはワーキンググループが対象とした特定地域の野犬だけではなく、常総市全域の犬や猫が入ることになりました。

常総市民が中心となって、犬猫を助ける新しい出発となりました。新しい会の名前は、JOSO WAN ZERO、正式名称は、常総の犬猫殺処分をゼロにする会、です。

CAPINはバックで支えており、常総の保護犬猫たちの医療費やフード代を当会が出しています。残念ながら、官民協働のワーキンググループの保護対象である最後の野犬、メキズとチビママの避妊去勢代やワクチン代も、何度も交渉しましたが、出して頂けませんでした。

行政からはいっさいの助成を受けずに、皆様からご寄付を集めて医療費とフードを捻出し、捕獲、飼養、譲渡をやらせて頂いております。

ともあれ、野犬を生かす公的な場所が与えられたことは、大きな前進です。

常総野犬を生かす公的シェルターを、ワーキンググループの活動の中で行政が作り、常総市が管理する体制が整ったこと、また、やっと愛護条例や定期的譲渡会が出来たことは本当に喜ばしいです。




■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

※2016年8月掲載 
【常総市野犬問題 取り組みの経緯】より




 2015年3月、CAPINに常総市在住の方から相談がありました。
自分が餌をあげている野犬たちが動物指導センターによって、
睡眠薬入り団子をまかれて一斉捕獲される、助けてほしいと。



常総市のある地域には多くの放浪犬がおり、
迷惑に思う人もいれば怖いと感じる人もいる。
一方で、可哀想だと餌だけあげて回る人がいる。

増えては通報を受けてセンターが捕獲・処分、
またご飯をあげる人がいて、避妊などもちろんしていないのでまた増えて、
何年も繰り返してきた地域だということがわかりました。

犬たちは攻撃性はありませんが、人馴れしている子もいればしていない子もいる。
老犬もいれば子犬もいる。
一時期は80頭ほどもいたのだそう。



残念ながら茨城の他の地域をはじめ、他県にもこのような野犬問題があります。
元々は人が捨てたか、放し飼いか迷子で放浪している犬たち。
根本にある問題は犬ではなく、犬を取り巻く人の意識です。
人の意識が変わらなければ、蛇口をしめなければ問題の解決には至りません。
ただ無為に生まれ増えて、殺処分される尊い命が増えていくだけです。



一定量の睡眠薬入り団子を無作為にまくという計画は、
当然、体の小さな犬や子犬にとっては致死量となることもあり、
翌朝には冷たくなっている犬たちも少なくないとのこと。
動物愛護に反するこのやり方はCAPINからも中止を求め、実施される事はありませんでしたが、
根本的に解決するには、地域の意識、そして行政の意識を変え中心となって取り組んでもらい、
この地域の野犬をいったんゼロにすること。



民間団体としてCAPINが協力しながら、基本的には地域と行政が主となって解決できれば、
他の同様のケースに対しても1つのモデルケースとなる。

そんな思いで取り組むこととなり、他団体様のご協力も仰ぎながら、
行政や住民とのワーキングチームも立ち上がりました。
子犬たちは30匹以上を譲渡、成犬の譲渡も少しずつですが進んでいます。



常総ではつかまらない利口な野犬がおり、まだまだ子犬が産まれています。
このままでは繁殖をしてしまいます。


CAPINが保護や譲渡に関わった常総の犬猫等のうち、個体識別のできるものだけでも、133匹にのぼります(2016年8月現在)。


周囲ではまだ野犬が繁殖しています。


常総野犬問題は、この1年半、まったくといっていいほど常総市民には積極的に周知されておらず、市役所の職員さんすらご存じありません。

市報でも、1度だけ(1年にわたる交渉の末にやっと6月に)掲載されましたが、官民協働の活動ではなくCAPINと いう民間団体による活動として紹介されただけでした。

私たちはボランティア募集のチラシを配布し、貼って歩きました。地元のイベントにも無理にブースをも らって出させて頂きました。

こうしてやっと、地元の愛犬家さんがだんだんとボランティアに通うようになってきたところであり、常総が育つのは、これからな のです。

 

資金も厳しく、人手もなく、この1年半は、通って下さるわずかなボランティアの皆さんも、からだを壊しながらの活動となりましたが、常総野犬シェルターは、苦しみを伴って、もう産まれているのです。


日々、犬に接してわかったことは、 野犬でも、時間と愛情をかければだんだんと慣れてくること。理由なく攻撃をする犬はいない、人間に原因があること。殺していい命はないこと。そして、仕事のシェアと思いやりの大切さ。(シェルターはひとりでは出来ないので、多くの方の力を合わせていくしかありません。)


 飼い主のいない犬を助ける試みは、非生産的で非効率的で、重労働を伴うものです。しかし、命を扱う活動です。


ご理解を得ることは難しいと存じますが、常総市で始まったこの取り組みが継続できるよう、草の根でこの運動が地元に根付くよう、皆様のご理解と継続のためのご支援を得られましたら、たいへん有り難く存じます。


CAPIN代表 鶴田真子美



【2015年 主な過去記事】

2015-04-10「常総多頭野犬に思う」 

2015-04-19「常総の多頭野犬に思う」 

2015-04-22「常総の多頭野犬に思う」 

2015-04-24「常総の多頭野犬、解決に向けてミーティング」 

2015-05-06「常総の多頭野犬に思う(4月28日県議・市議さんと現地視察、30日常総市役所にて会議)」 

2015-05-09「常総の多頭野犬に思う(6&7日、土地探し)」 

2015-05-24「常総の多頭野犬(5月22日深夜の犬捕獲・これまでの会計報告)」 

2015-05-29「常総の多頭野犬(連日連夜の捕獲)」 

2015-06-04「犬の捕獲&猫の捕獲」 

2015-07-22「常総野犬の慣らしに奮闘中」 

2015-08-28「常総野犬に取り組んで5ヶ月」
 

2015-09-01「常総市で今朝保護・赤ちゃん子犬6匹」 

2015-10-06「野犬を捕獲」 

2015-11-20「おかめ流 野犬の慣らし」 

2015-12-25「私たちのクリスマスイブ」



おーちゃん



最後に映るのがメキズ、
今は平屋のおかめハウスに暮らしております。



by 鶴田おかめ