Logicool Signature K855というメカニカルキーボードをホットスワップ対応させ、キースイッチ交換しましたので、その様子を記録します。
追記!注意!技適認証済みの製品を分解すると、技適が無効化する可能があり、国内利用できなくなります。
私もこのキーボードは使用を中止しています。
有線のK835であれば問題なく実施可能です(保証は切れますが)。
なぜ?キースイッチ交換&ホットスワップ対応
今回、キースイッチを交換するとともにホットスワップ化(ソケット化)させた理由としては、「K855がうるさい!」「静音化したい!」これに尽きます。
まず、以下の私の理想とする条件に合致するキーボードはK855しか見つかりませんでした。
・メカニカルキーボード
・日本語配列(JIS配列)
・2.4GHzワイヤレス(Bluetoothはなくてよい)
・乾電池駆動
K855はもともと打鍵音が大きいとは聞いていましたが、これを買うしか選択肢がなく、買ってはみたものの、やはりカチャカチャと打鍵音がうるさく、オフィス用途では使用できないほどでした。
静音化リングも試しましたが、キーを離した時の戻り音には効果がなく、役には立ちませんでした。
そんな中で、メカニカルキーボードといえばホットスワップ、キースイッチ交換だろうと思い立ち、このK855を分解、ソケット化することでホットスワップ対応させ、キースイッチも交換することにしました。
必要なもの
同じことをしたいとお考えの皆さまのために必要なものリストを書きます。
・ロジクールK855: キーボード本体。これがなくちゃ始まらない
・キーキャッププーラー: キーキャップを引き抜くためのもの。キーキャップやキースイッチを購入するとタダでもらえたりする
・トルクスドライバー T6: キーボードの分解用
・+ドライバー +0か+1: キーボード分解用
・何かしら丈夫なヘラ: キーボード分解用
・はんだごて: キースイッチ取り外し、ソケットはんだ付け用
・はんだ吸取器: オススメはエンジニアのSS-02です。
・はんだ: お好みのもの
・ソケット: 今回はMill-Max 「3305-2-15-80-47-27-10-0」を使用。詳しくは『メカニカルキーボードのホットスワップ化(ソケット化)』メカニカルキーボードは後からホットスワップ化できる!はんだ付けされたメカニカルキーボードも後からホットスワップ化(ソケット化)することができます!調べたこ…ameblo.jp
をみてください。
・キースイッチ: お好みで
・交換用キーキャップ: 必要な場合(後述)
・時間: トータル3〜4時間必要
・根気+集中力: はんだごてを使ったことある人なら大丈夫です!初めての人でも根気さえあればできます!!
・最後は保証を捨てる勇気
追記!注意!分解すると技適の関係上、国内利用できなくなります。ご了承ください。
分解
分解すると保証を受けられなくなると思われます。
分解は自己責任で行ってください。
分解前最期の姿
キーキャップをプーラーで引き抜いていきます。
全部抜きました。前面に19ヶ所+ネジがありますので、こちらも外します。
裏面、電池蓋と右足の裏にトルクスネジがあるので、トルクスドライバーT6で回してネジを抜きます。
ネジが全部外れたら分解用のヘラ等を使ってはめ殺しのツメを開けて行きます。
ここがかなりの難所で私は3ヶ所ツメを折ってしまいました。気にしない気にしない…。
開くとこんな感じ。裏のケースと表プレート+プリント基板(PCB)の2枚におろせます。
この赤丸の中がキースイッチ1つ分です。
キースイッチはこの写真のように、キースイッチ1つに対して3本のピンが出ており、2本ははんだ付けされており電気が通る接点、中央の黒いピンはキースイッチを固定するためのプラスチックのピンです。
このはんだ付けされている2本のピンのはんだを吸引し、キースイッチを取り外します。
200個近い数のピンがありますので、はんだの吸引は効率性が求められます。
今回は事前にはんだ吸取器を購入しておきました。
エンジニア製のはんだ吸取器SS-02です。
電動ではない手動式としては最高峰とも言われる機種で、正確なはんだ吸引ができました。日本製!
溶かしたはんだを注射器のような吸引器がギュポッと吸い取ります。
先端がシリコンチューブになっており、基板に密着させることが容易です。
替えのチューブも入っていましたが、今回の作業では先端のチューブを交換する必要はなかったです。
この作業が時間的にも集中力的にも1番大変なところです。2時間くらいかけて全部のキースイッチを取り外します。
キースイッチを取り外し、さらに+ねじ3本を外すと前面のプレートと基板(PCB)を分けられます。
ここまでで分解作業は終了。
ホットスワップ化(ソケット化)
続いて、今後は容易にキースイッチを交換できるように、ソケット化することで、ホットスワップ対応させます。
ホットスワップ対応、ソケット化についてはこちら『メカニカルキーボードのホットスワップ化(ソケット化)』メカニカルキーボードは後からホットスワップ化できる!はんだ付けされたメカニカルキーボードも後からホットスワップ化(ソケット化)することができます!調べたこ…ameblo.jp
の記事を参考にしてください。
基板にソケットを挿していきます。
前回、テンキーをソケット化した際はMill-Maxソケットがゆるゆるでしたが、今回のロジクールの基板はソケットギチギチでした。
爪を使って奥まで押し込みました。
俗に云う「田植え」作業。
ソケットがギチギチだったので、1個ずつ押し込むのが大変でした。
全部挿しました。
ソケットが抜け落ちないように耐熱テープを貼っています。がギチギチなので落ちることはありませんでした。
挿せたら全てのピンをはんだ付けします。
組み立て
ソケットのはんだ付けが終わったら組み立てます。
ソケット化、ホットスワップ対応されたロジクールK855の勇姿!
キースイッチを挿していきます。
今回用いたキースイッチはOutemuの静音赤軸(静音リニア軸)の「Silent Peach switch」と同じくOutemuの静音リニア軸の「Silent Ocean switch」です。
OutemuはAliExpressで110個3000円台と安価で、とりあえず交換したいと言う方にオススメ。
Silent Peachの方が押すために必要な力が弱く、押し込む距離も短めです。Silent Oceanは一般的な性能の静音リニア軸だと思います。
どちらも少量のファクトリールブ済みとのことで、潤滑剤を刺す必要はなくそのまま使えます。
「少量の」ということなので、そのうちルブ切れするのかも?
K855はfn1〜fn3とcapsロックキーにLEDが仕込まれているので、透明なキースイッチ(Silent Ocean)にしてみました。
ピンク色の主張が激しいです。
キーキャップを付けたらどう見えるか…。
組み立てたら動作テスト…は技適の関係上できません。
問題発生
続いて、キーキャップを付けて行きます…が、問題発生、もともとK855についていたキーキャップがOutemu軸と相性が悪いのか、ブカブカ、ユルユルで、キーボードをひっくり返すとキーキャップが自然落下するほどでした。
Outemu軸が微妙に細く、ロジクールキーキャップが微妙に大きいようです。
相性最悪。
幸いにももともとキーキャップ交換も視野に入れて用意していたため、キーキャップも交換しました。
交換したキーキャップはCorsairのPBT製交換用キーキャップCH-9911060-JPです。
PBT製日本語配列(JIS配列)の交換用キーキャップはほとんど製品としてなく、ほぼこれ一択でしょうか?他に製品あれば教えて欲しいです。
残念ながら、スペースバーはスタビライザーの位置が微妙に異なり交換することができなかったので、そのままです。
スタビライザーのお陰で、もとのスペースバーでもユルユルにはならないので、よしとします。
また、Altのキーキャップが1つしかなく、足りなかったので、K855にはないアプリケーションキーのキャップで代用しています。
無事完了
諸々の問題はありましたが、無事完了!
もともとの赤軸よりもはるかに!はるかに!静音化することができました!
オフィス用途でも何ら気兼ねなく打鍵できます(国内では電源オンにできません)。
ん?キースイッチの色が??
チラ見えするピンク色が気に入らなかったので、全部のキースイッチを「Silent Ocean」に変更しました。
ちょっともっちり感が重くなりますが、これで静音赤軸の一般的な部類と思えばそのうち慣れると思います。
簡単に変更できるホットスワップ最高!!
まとめ
・ロジクールK855をソケット化、ホットスワップ対応することができました。
・これによって劇的な静音化を達成しました。
・軸によってはキーキャップとの相性があるかも?
今回、キーボード約1万円に対して、キースイッチ2種で7000円、ソケット1万円、キーキャップ4000円と2万1千円となりました。
キーボード本体代より高い投資をしましたが、日本語配列、2.4GHzワイヤレス、乾電池という条件のキーボードはK855しかないので、仕方ありません。
このK855を素材にして、キースイッチ交換、ケース内部にフォームを入れることでの調音等、今後もいじくって楽しみたいと思います。
追記: 実施しました!『コトコトまるで高級キーボード!K855の打鍵音・打鍵感の改良!』はじめにLogicool Signature K855というメカニカルキーボードを改造し、打鍵感・打鍵音ともに高級キーボードのようなコトコト音になったので…ameblo.jp