メカニカルキーボードのホットスワップ化(ソケット化) | 甘えん坊将軍の自転車&ガジェットログ

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※ルートラボ終了に伴い、ルート情報が消えてしまいました。

現在はニッチなガジェットに関するブログになっています。

テーマ:

  メカニカルキーボードは後からホットスワップ化できる!

はんだ付けされたメカニカルキーボードも後からホットスワップ化(ソケット化)することができます!

調べたことをまとめます。


素人なので誤っていたらコメントお願いします。


  ホットスワップとは?

まず、ホットスワップとは何か?

その本来の意味としては活線挿抜(かっせんそうばつ)と言ってコンピュータ等の機器を起動したままパーツやケーブルを抜き挿ししたりすること、またはその機構。とのこと。


キーボード界隈では上記の意味では使われず、プリント基板(PCB)にキースイッチをはんだ付けせずに、PCBに付けたソケットに、キースイッチを抜き挿しできるようにした仕組みをホットスワップと呼ぶようです。


メカニカルキーボードは自分の好みのキースイッチに交換するのが醍醐味とも言えるので、ホットスワップ対応のキーボードは一定の需要があります。

一方で、ホットスワップ対応するとコストがかかるので、大手メーカー製のキーボードではホットスワップに対応しない所もあります。


  ホットスワップ化(ソケット化)とは?

ホットスワップ対応していないキーボードをホットスワップ対応させることをホットスワップ化、またはソケット化と言います(以降はソケット化)。

ホットスワップ非対応しかないキーボードを何とかやりくりしたい!というときに便利!


  方法は?

ソケット化の方法は現状主に2つ

・Kailh HotswapソケットをPCBにはんだ付けする

・PCBにソケットを挿入+はんだ付けする

それぞれについて見ていきます。


・Kailh HotswapソケットをPCBにはんだ付けする

Kailh Hotswapソケット


対応の PCBの場合、KailhソケットをPCBの穴にセットしてはんだで固定するだけ。


対応のPCBの場合、これを使えば楽なようです。

はんだ付け作業も精密さはそこまで必要なさそうです。

そして単価も安い。



  PCBにソケットを挿入+はんだ付けする

ようやく本題、Kailh Hotswapソケットに対応しないPCB、多くの他メーカー品の場合こちらになると思います。


はんだ付けされていたキースイッチを取り外した後に、はんだ付けされていた穴(スルーホール)にソケットをはんだ付けするだけ。

キースイッチはそのままソケットに抜き挿しできるようになります。


ソケットは、Mill-Max社(アメリカ)製のものが主流です。


Mill-Maxソケットとキースイッチ



これまでに主に3系統のソケットが使われてきました。


すなわち0305系、7305系、そして最近は3305系です。それぞれ何が違うかというと、ソケットの縁の厚みが異なります。0305系は0.64mm、7305系は0.36mm、3305系はさらに薄くなって0.25mmとなります。

キーボードのソケット化用途としては縁は薄ければ薄いほどよいので、現状は3305系一択と言ってよいと思います。

縁が厚いとPCB上に大きな段差ができ、キースイッチがその厚さ分浮き上がってしまいます。そうなると打鍵時にぐらつく原因になるためです。



PCBにソケットをはんだ付けしたところ。表面にソケットの縁が飛び出している。


横から。3305系なので0.25mmの飛び出し。



3305系の中にもいくつか種類があります。


データシート

を見ていきます。


オススメの型番は「3305-2-15-80-47-27-10-0」です。


このソケットが「3305-2-15-80-47-27-10-0」です。


パッと見なんのこっちゃ?ですが、

頭の「3305」は見ての通り3305系であることを示します。


次の「2」はソケットの長さで0なら全長2.67mm、1なら3.30mm、2なら3.94mmとなります。2.67mmではPCBからの突き出しが短か過ぎてはんだ付けが難しいと思います(ソケット内にはんだが入ってしまう)。

Cherry MX軸のピンの規格が長さ3.30mmですので、「1」の3.30mmならツライチ、ケースに余裕があるなら「2」の3.94mmがはんだ付けしやすくてよいと思います。


3305-2をはんだ付けしたところ。3.94mmなので飛び出しが長く、はんだ付けしやすい。



次の「15」はソケットの包装方法で15ならバルク、57ならテープかリールに包装されるようですが、これはバルクで十分です。


続いて「80」はソケットの表面処理方法で、80は錫(スズ)メッキ、15なら金メッキです。見た目や個人の嗜好もあると思いますが、私は錫メッキを選びました。

錫メッキの方が価格が若干安いこと、錫メッキの方がはんだ付けしやすい、はんだが乗りやすいことからこちらを選んでいます。キースイッチを引き抜く際には結構な力がかかり、はんだ付けが不十分だとソケットごと抜けてしまうことがあるそうで、よりしっかりはんだ付けできる錫の方がよいかなーと思います。


次の「47」は差し込まれたピンと接触する内部の接点、指の数でしょうか。「47」は指6本とのことで、3305系は全部「47」です。


「27」はピンと接触するソケット内部が金メッキであることを示していて、3305系は全て「27」です。残りの「10-0」は何か分かりませんが3305系はみんな同じなので意識する必要はないです。


入手方法について、

Mill-Maxのソケットは国内では遊舎工房やマルツで入手できるかもしれないですが、在庫がなかったり、欲しい型番がなかったりします。

Digi-keyやMouserの通販で直接アメリカから購入するのがよいかと思います。


価格は?

1個40〜50円と高価で、1つのキースイッチに2個必要なので、キースイッチ以上のコストがかかります。

80%〜フルキーボードだと1万円前後の出費となります。


  Mill-Maxソケットの代替品…!?

より安価に!という場合、Mill-Maxソケットの代替として、キースイッチブランドのOutemuに付属しているソケットを利用するという方法もあるようです(私は未確認)。

これはOutemuの一部スイッチを購入する際に付属品としてついてくるもので、ソケットなしの物と価格差もないようです。

キースイッチ200個+ソケット400個で3200円台は魅力…!!

2023/12月追記: 上記のリンクのスイッチにはソケットが付属しなくなった??かもしれません。

購入を検討中の方は要注意です。



これをそのままPCBにはんだ付けすればソケット化の出来上がり!…ですが、このソケットはOutemu用のようで、他のメーカーのキースイッチは入らないものもあるそうです。


Outemuはキースイッチのピンが他社と比べて薄く、このソケットも細いピンでないと入らないようです。

メーカーによってOutemu以外でも入るものもあるそうですし、ピンを削れば入るようになると思います。


機会があれば試してみたいと思います。


  Outemuのキースイッチはグラつき問題が起きにくい

Mill-Maxソケットを使うにせよOutemuソケットを使うにせよ、ソケットの縁の厚み分PCBから突き出しが発生するのは防ぎようがありません。


グラつき防止にソケットの縁の厚さ分、周囲にテープを貼ってツライチにする方法があります。


一方で、Outemuのキースイッチでは、ピン周りが窪んでおり、ソケットの厚みを吸収できるようになっています。


Outemuスイッチは赤丸部分が凹んでいる。



このため、少なくとも3305系とOutemuスイッチではグラつきはほとんどないと思います。



  まとめ

・メカニカルキーボードは後からホットスワップ化、ソケット化ができる!

・基本はMill-Max3305系を!

・安さを求めるならOutemuソケットも選択肢に!

・キースイッチはOutemuだとグラつきづらい。



実際にやってみた記事はこちら