昨日は、千葉市埋蔵文化財調査センターへ。
加曽利貝塚博物館友の会主催の「整理作業・体験講座」に参加しました。
ここでは”内勤さん”と呼ばれる人たちが”整理作業”と呼ばれる仕事をしています。
出土品を水洗いするところから報告書の印刷原稿をつくるところまで、単純なルーティンワークから長い経験と高度な技術を要する繊細な仕事まで、多くの工程があります。
”掘る女”の後のお仕事ですね。
まずは、スライドを使った西野所長の座学講座から始まりました。
発掘のあとさき
- 発掘前:埋蔵文化財の取り扱い
- 発掘:発掘・整理・報告書
- 発掘後:資料の保管管理・埋蔵文化財の保護・資料と成果の活用・分析研究
遺跡関連事業が、今は博物館・埋文・大学など連携されてはいるが、分かれている状態。今後は、博物館が発掘から展示まで行えるようにしたい。
また、千葉市には縄文以外にもいい遺跡・遺物があるのに加曽利貝塚博物館で縄文しか見ることができない。郷土博物館(千葉城址)を弥生以降の展示も見られるようにしたい。
文化財発信に市民の力をもっと活用したい。
これは柳沢遺跡から出土した土器です。
6枚目の写真がこれですね。ブタの鼻みたいだからイノシシを表しているのかな?と思ってました。
ひっくり返してみると・・・イノシシとは関係ないのかなあ
まだ”注記”が書かれていない段階で、1つの遺物または1か所から出土した遺物ごとにビニール袋に入れる。
札の読み方は
YSW:柳沢遺跡
1531:番号
S1-5:地点
”柳沢遺跡のS1-5地点から出土した1531番の遺物”となる。
貝塚の場合だと、層が変わるごとに採取してふるいにかけていく。
このふるいの目は10mm・4mm・2mm・1mm
貝は、種類ごと・二枚貝は左右別々に分けて保存。
収蔵庫
ほんの1部です。
収蔵庫の遺物配置図がありました。これがないと、貸し出しなどの時にサッと取り出せないですものね。
クジラのあばら骨で作った石棒模造品
こういった大きな貝は道具として使われる。
破棄された大きな貝殻(当然汚れている)を道具として使ったため、使われた箇所はすり減っていたり、傷がついていたり。
写真のオオトリガイの汚れの中にある、丸い汚れがとれている部分は、指の跡。ここを指で持って使った。
発掘の流れはこんな感じです(展示室から)
”洗い”
下:”注記” ・ 上”拓本”
”洗い”が終わると、1つ1つに”注記”がつけられる。
細い筆で手書き、またはインクジェットのように機械で記入。
”注記”が消えないようにニスを塗る。
”接合”にはセメダインが使われる。
1mmの目のふるいを使って採取された魚の骨。まるで星の砂のようです。
これから魚の種類を探す。
”イワシ”で終了ではなとかく、その先の””カタクチイワシ”とか”コノシロ”とかまで、同定していく。
”実測”
- 撮影
- 手書き
- 拓本
- トレース
手書き
手書き
トレース
加曽利貝塚第24次調査報告書
右に半分写っているのが原稿です。この原稿までが、埋蔵文化財調査センターのお仕事です。
細かいデータはDVDに。紙媒体にすると、報告書の厚さが3倍になってしまうそうです
こうやって”内勤さん”のお仕事を、ごくごく簡単に紹介してもらいました。
「単純なルーティンワーク」なんてほんの僅か。「長い経験と高度な技術を要する繊細な仕事」をされているんです。
外勤さん(?)は”掘る女”として映画になりました。ぜひ、”内勤さん”も映画にしてほしいですね~。