三日坊主を恐れない -13ページ目

ファルーカで、か~ぜまかせ~ぇ♪

なんとか危険を回避したファルーカの上には、
再び穏やかな時間が訪れた。


プカプカ プカプカ

ジリジリ ジリジリ

ジトー…


って、全然進んでないじゃんかー!


いや、どこに行きたいかちゃんと話していない私たちも悪かった。
いや、実のところ、どこにも行かなくてもいいんだけど。
1時間、このままファルーカに乗ってればいいんだけど。


そんなわけで、
島全体が熱帯植物園の島“キッチーナ島”を
時計回りでグルッと一周して
とお願いした。



アスワン地図1
↑こんなルート。



「キッチーナ島で降りなくていいのか」


「降りなくていいよ」


「本当に一周するのか」


「うん、したい」


「はぁ~…(ため息)」


超乗り気じゃないね、船長。
そりゃ、私たちがキッチーナ島で降りて、そこを観光してくれたら、
待ち時間でカネがもらえる算段だからね。
でも、どこかに行くことが目的ではなくて、舟に乗ること自体が目的だからさ。
しょうがないじゃん。
時計回りで、レッツゴー!


プカプカ プカプカ

ジリジリ ジリジリ

ジトー…


って、やっぱり全然進まないじゃんかー!



「暑いよー、船長。遅いよー、船長」


「そんなこと言われても、風が吹かないからさ。
オレのせいじゃないよ。

なんなら、ラー(太陽神)にお願いしてみなよ」


そう、ファルーカは、本当に「風まかせ」なのである。
風が吹かなきゃ、帆が張らない。
帆が張らなきゃ、進まない。


帆を張れ!
↑風が吹かなきゃ帆はダルダル



くつろぐ船員
↑ついでに、船員もダルダル



アスワンの空港に着いたときは、あんなに強風が吹き荒れていたのに、
ちぃーとも風が吹かない。
船長が中途半端にワンフレーズだけ歌う歌がなおさらむなしい。
ナイル川から眺める景色も良いけれど、景色はほとんど流れない。


それでもなんとか島を半周し、

上のヘタクソな地図で言うなら、

キッチーナ島の左端まで来ようとしていたそのとき、船長が言った。


「島のこっち側は、島が壁になって、いっつも全然風吹かないんだ。
向こう側にいけば、めっちゃ進むから楽しみにしてな。
こんなコース走るヤツ、他に誰もいないから、空いてるぜー」



そゆことは、早めに言ってー!



でも、まあ、船長の言葉に嘘はなく、
島の反対側にまわった途端、
ファルーカは大きく帆を張って全速前進!気分爽快!

船長も、「このまま2泊3日でルクソールまで行っちゃうか」などと

調子に乗ってくる始末。


当然、その誘いはお断り申し上げて、港に到着。

1時間30LEの約束で、1時間20分だったので、40LEをお支払い。

プラス、恒例のごとくバクシーシをおねだりされ、

船長と船員に1$ずつ払うはめに…。


でもまあ、団体客が10人も20人もでギッチギチに乗るところを

たった2人でチャーターしてるんだもの。

総じて楽しかったし、少々高くても仕方ないか。


やっぱ、舟、サイコー。




【プチ役立つ情報】

・ファルーカには、エンジン付きのもあるようです。

とにかく時間優先、風まかせじゃイライラするという人は、

交渉するときにエンジンあるか確認するといいと思います。


・ファルーカには、舵を操る船長の他に、

帆の上げ下ろしを担当する船員が1人と

見習い中の見習いでなにもしない7歳の男の子が1人乗っていました。


舵を取れーっ!

私たちを乗せたファルーカは、ナイル川の水面に滑り出した。


ああ~ 風が気持ちぃ~。


と、と思ったのも束の間、

すぐに、あり得ないアクシデントに見舞われた。


なんと、



轢かれかけた。



普通、道路で轢かれる可能性には注意してても、
川で轢かれる可能性は、ノーマーク。


だもんで、のんびり、ゆったりしていたら、
大きな警笛とともに、
ファルーカの数十倍の巨体を持つ遊覧船が突っ込んできたのだ。


ひえ~っ



取り舵いっぱーい!
面舵いっぱーい!!


どっちか知らないけど、とにかくなんとかして、船長!



舵を取れー!
ぶつかるぞー!


ナウシカの真似してみたけど、早くなんとかして、船長!



ファルーカの上は、上へ下への大騒ぎ。
通常、風でしか動かないファルーカが、手漕ぎで猛進。
スリリングな展開に、ちょっと興奮したが、
安全が確保されてから、初めてちょっとゾッとした。


なんとか危険は回避したが、
もしぶつかっていたら、ファルーカなんてひとたまりもない。
ぶつかる前に川に飛び込んだとしても、
長袖・長ズボンで、岸まで泳ぎきる自信もない。
うーん…危なかった。


ゾッとする私たちの横で、船長は遊覧船に向かって怒声を浴びせていたが、
ホントはどっちが悪いのん?
『※楽しくなかったら、払わなくて良い』っていう契約なんだからね。
わかってる?忘れないでよー。




ファルーカで、カモられ、ネギられ。

不思議なもので、あんなに乗りたかった舟なのに、

営業されると無視したくなる。


まるで聞こえていないかのように、

舟なんかのりたくないかのように、

川沿いを歩き続ける。


船長は、ネギしょったカモを逃がすまいとついてくる。


まったく取り合わない私たち。


カモネギを追う船長。


積極的に営業してくる船長はやめておいた方が良いって

何かに書いてあったし、無視無視。


そんなこととは知らず、超積極的な船長。


足を速める。


負けじと速める。


逃げる。


追う。


逃げる逃げる。


追う追う。



そうこうするうちに100メートルほど歩いただろうか、

日陰はなくて暑いことこの上ないし、

文字通り根負けして、交渉に応じることにした。



『地球の歩き方』によると、相場は1時間25LE。

それに対し、船長の言い値は、1時間50E。


あのね。

カモだって、ただボサッとネギしょってるわけじゃないの。

ネギは戦うためにしょってるの。

カモられたら、ネギる。

ネギり切れないまでも、努力はする。

これ、鉄則。


とりあえず、20LEからスタートしてみるが、

船長ときたら、

「乗ってみて、楽しくなかったら、払わなくて良いから。

僕にとっても、君たちにとっても、ハッピーなのが一番。

だから、とりあえず50LEでいいでしょ」

とか言ってる。


50LEは、乗る前からすでにハッピーじゃないし、ダメ。


その後、10分ほどの交渉の結果、

1時間30LE ※楽しくなかったら、払わなくて良し(ホントか?!)

で決着。


交渉の間に、まわりにワラワラと集まってきていた

偽パピルス売りの子供たちを掻き分けて、

船長のファルーカが停泊中の乗り場に向かった。





【プチ役立つ情報】

・ファルーカは、積極的に営業してくる船長より、

ファルーカの上でまったくやる気なさそうに、

のんびりしてる船長の方が、ハズレがないという話。

でも、やる気満々な彼らを押しのけて、

やる気なさそうな船長のもとまで突き進むのには、

かなりのエネルギーが必要だということが判明。