苦情対応は「引き分けで勝ち点1、八百長なら勝ち点2」

苦情対応は「引き分けで勝ち点1、八百長なら勝ち点2」

苦情受付係を担当した経験から、苦情を受け止めつつ、自身は必要以上に傷つかずに「聴く」方法を研究。
「苦情には勝たない」。これがゴールへの最短ルートと確信しています。

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「傾聴」は、無料で提供できる極上のサービスです。


人は、自分の話を聴いてもらうことで満足でき、一生懸命聴いてくれる人を好きになるからです。ニコニコ


行政の立場では、公平性、公共の利益のため、苦情の元となっている問題を解決できることの方が少ない。


さらに、公務員は「手みやげ」や「販促品」を渡すことができません。しょぼん


問題解決以外で納得していただくため、無料で提供できるものがないかと考えた時期がありました。


当時の手帳を見てみると、こんなメモが。メモ


①タダまたはタダ同然で人に与えられるもの
・自分らしい笑顔
・お礼の言葉
・ほめ言葉
・フリーソフト
・情報(知識)
・ホテルマンのような丁寧な接客
・話を一生懸命に聞く態度

②タダ同然にするための公式
x×0=0
x-x=0
-x+x=0
x×1000-x×1000=0

※②は?。どう見ても何の役にも立ちません。にひひ


さんざん悩んだ末、苦情対応は「一生懸命謙虚に聴くしかない。これしかない」と結論付けました。ビックリマーク


これならお客様の自尊心を大切にすることができる上、新たな費用も発生しない。


もしも、私が公務員という制約の多い立場+苦情受付係でなかったなら、このような考えには至らなかったと思います。


本当に運が良かった。ニコニコ


サービスにまで高める傾聴のポイント。

①絶対に相手の話をさえぎらず、「分からないから」一生懸命に聴く。

②適切なタイミングの相づちと質問。

③お客様を説得しようなどと一切考えない。


最後に、聴くことの大切さを述べた言葉を引用します。いずれも「人を動かす」(D・カーネギー著)より。本


「どんなほめことばにも惑わされない人間でも、自分の話に心を奪われた聞き手には惑わされる」(ジャック・ウッドフォード)


「商談に特に秘訣などというものはない…ただ、相手の話に耳を傾けることが大切だ。どんなお世辞にも、これほどの効果はない」(チャールズ・エリオット)



聴くということは、人を満足させることのできる、極上のサービスだと信じています。


皆さんは、どう思われますか?ニコニコ
このタイトルを読んで、「お前、ばかか」という苦情、お待ちしております。ニコニコ


現在、難しい苦情を抱えている方がこのタイトルを読んだら、間違いなく気分を害します。


申し訳ございません。たぶん、私、めちゃくちゃなことを言っていると思うのです。にひひ


なぜこんなことを書くのでしょうか。


理由はこうです。


私の場合、寄せられたご意見の多くは、いわゆる「常連さん」からのものでした。


以前書いたブログで、お客様のニーズを満たすという点が、苦情対応においても他のサービス業と何ら変わらないと書きました。
口下手な男が、苦情を聴く「だけ」で評価された理由

となれば、リピーター(=常連さん)は減らしてはならないと考えているからです。


例を挙げて説明しましょう。


以前、私がamazonに苦情メールを送ったときの気付きを、このブログで書きました。
「苦情」とは「苦しい感情」のこと。では、いったい誰が苦しいの?


しかし、この記事に書かなかった気付きが、じつはもう一つあります。


それは、苦情メールを送った後、amazonからの回答を心待ちにしていた自分に気付いたということです。


「回答を心待ちにしている」。この気持ちに注目です。


「意見をメールで送る→心待ちにしている回答が届く→(本人は気付かないが)うれしい→また意見を送る→心待ちにしている回答が届く→うれしい」


上記のようなサイクルが存在し、これがリピーターが付く理由の一つと私は分析しています。


私たちが返す回答を待っている人が少なからずいるのです。



苦情が減らなくても良いと考える理由

①何度も苦情を重ねる人は、じつは、あなたのファン(=リピーター)である可能性がある。

②「苦情は減らなくていい」という前提が、苦情対応者の態度を変える。

③「そもそも苦情は減らない」という諦念が心の余裕を生み、相手に伝わって良い結果をもたらす。



今回、皆さんの反感を覚悟して、あえてインパクトをねらったタイトルにしました。

このタイトルのように考えることで気持ちは楽になり、苦情に対する姿勢が変わると思うのですが、どうでしょうか?
上のタイトルの答。私は「苦情を訴えるお客様」で正解だと思います。


皆さんも答は同じではないでしょうか。


私はインターネット書店のamazonに苦情メールを送ったことがあり、そのときに初めてこのことに気付いたのです。えっ


本を注文した際に生じた行き違いに対し、私は勉強のためにと、とても意地悪な苦情メールを書きました。


(amazonさん、本当にすみませんでした。)


最初は全然怒っていなかった私ですが、書いているうちにだんだん「本当に」腹が立ってきたのです。


そうです。苦情を言ったり書いたりしている人は苦しいのです。しょぼん


決して苦情を受ける人の感情を指している言葉ではないのです。



しかしながら、もしも同僚から「苦情の電話入ってます。取ってもらえますか?」と頼まれたら、


自分の中では、自動的に苦しい感情の持ち主は、自分だけということになっているのです。不思議なことに。


苦情という言葉の意味を気にかけておくと、良いことが3つあります。

①長時間苦情を聴いても、以前ほどストレスを感じなくなる。

②謝るべき点は、素直に謝れるようになる。

③問題の解決が不可能な場合、相手の「苦しい感情」を癒やすことが「突破口」だと気付く。


以上から、苦情対応において、「苦しんでいるのはお客様」という認識があれば、苦情対応はもっと楽になると思いませんか?ニコニコ


ちなみに、amazonさんからは、非常に丁寧なおわびのメールがすぐに届きました。手紙


さすがです。素晴らしい回答を、本当にありがとうございました!


この件以来、私は、「自分のために」苦情は言わないことにしました。


その代わり、良いサービスを受けたときは、感謝の長ーいメールを送るようになりました。


苦情メールとは正反対で、人をほめるメールは、書いているうちに幸せになってくるのです。


しかしこれ、あんまり長文だと、受ける側からしたらクレームの一種かもしれませんね。にひひ
私はまだまだ未熟者ですので、ストレスをまったく感じない苦情対応のレベルには達していません。


しかし、ストレスがたまりにくい苦情対応方法というのは、確かに存在します。


なぜ言い切れるのかというと、その方法はカウンセラーが知っているからなのです。


たった独りの苦情受付係になった口下手で無口な私は、その恐怖から逃れるためだけに、苦情対応と危機管理の本を20冊以上は読みました。


どの本も本当に役に立ったのですが、肝心なところがぴんと来ない。


そして最後にたどり着いたのが、カウンセラーが書いた話の聞き方の本だったのです。(「プロカウンセラーの聞く技術」東山紘久氏著)


この本を読んだ時私がしてきたことは、ごれだー!!と、神からの啓示を受けたがごとく衝撃を受けたものです(おおげさ?)。


(この本の共感した部分に付箋を張っていくと、ぼうぼうになってしまいました。その数ゆうに100本以上。)


苦情対応の本は、どの本でも「聞く」ことの大切さを書いていますが、掘り下げて書いてはいないのです。


苦情を訴える人とカウンセラーを訪ねる人の共通点は、傷付いた心または損ねた感情。


だとすれば、対応方法に共通点があって当然です。


もしも、このことを皆さんに知っていただけたら、苦情対応はもっと楽になるのにと思うのですが、いかがでしょうか?ニコニコ


この本の内容と私の苦情対応方法を重ね合わせて特に共感する点は以下の3つ。

①デキるカウンセラーはほとんど話さず、相づちを打って聴くだけ。

②自分の意見は出さない(相手の考えを否定しない)。

③自分に対する非難は、自分のこととして受け取らない聞き流す技術。

※③については誤解を避けるために補足が必要ですが、今回は割愛します。


デキるカウンセラーほど、ほとんどストレスがたまらないといいます。以上の3つがその秘けつだと思います。


ストレスがたまりやすい苦情対応には、相手の損ねた感情を「聴く」ことによって修復するというカウンセラーの方法が必要なのです。ニコニコ
苦情は一生懸命聴くだけで解決します。


「聴くことによってのみ本当のゴールにたどり着ける」と確信しています。


私は口下手で、無口です。


小学生のころ、私があまりにもしゃべらないために、
家に遊びに来てくれた友達が帰ってしまったという伝説まであります。かお


そんな「残念な」私でも、一生懸命に聴くだけで、お客様や同僚から評価を得ることができました。


たとえば毎日1時間、苦情を訴える女性がいらっしゃいました。


いつもご立腹で、解決の糸口がまったく見えず、ゴールをイメージできない日々が続きました。ガーン


一生懸命聴き続けること3週間目、お客様の態度が急に軟化し、涙ながらに私をほめ始めたのです。


「あなたは素晴らしい。きっと一流大学を卒業されているに違いない」と。
(三流大学出身の私は、大学名を伝えることから必死に逃げ続けました。)


私がしてきたことは、相づちを打ちながら聴いていた「だけ」です。



もしも、短時間でお客様を説得できる能力が私にあったとしても、本当のゴールにたどり着くことができたでしょうか。


言いたいことをすべて言い切らなければ、根っこに残った苦情の「種」が、再び萌芽すると思うのです。


聴くだけで解決できる理由

①すべて話してもらうことで、損ねた感情を修復できる。
②人は、話をすべて聞いてくれる人を好きになる。
③相手のニーズを満たすことができる。


③について少しだけ。


私たちは「欲求」や「恐怖」によって行動を起こします。


(問題解決は置いといて)苦情を訴えるという行動の元になっている欲求は、おおむね次とおりです。


「思いの丈をぶつけるから聞いてほしい(謝ってほしい)」
「提案をする自分を重要視してほしい」


これらは「ニーズ」です。聴くことによって満たすことができます。


ニーズを満たすという点で、ほかのサービス業とまったく変わらないということに気付いてから、
私の苦情対応の考え方は激変し、楽になりました。

ニコニコ