苦情は一生懸命聴くだけで解決します。
「聴くことによってのみ本当のゴールにたどり着ける」と確信しています。
私は口下手で、無口です。
小学生のころ、私があまりにもしゃべらないために、
家に遊びに来てくれた友達が帰ってしまったという伝説まであります。
そんな「残念な」私でも、一生懸命に聴くだけで、お客様や同僚から評価を得ることができました。
たとえば毎日1時間、苦情を訴える女性がいらっしゃいました。
いつもご立腹で、解決の糸口がまったく見えず、ゴールをイメージできない日々が続きました。
一生懸命聴き続けること3週間目、お客様の態度が急に軟化し、涙ながらに私をほめ始めたのです。
「あなたは素晴らしい。きっと一流大学を卒業されているに違いない」と。
(三流大学出身の私は、大学名を伝えることから必死に逃げ続けました。)
私がしてきたことは、相づちを打ちながら聴いていた「だけ」です。
もしも、短時間でお客様を説得できる能力が私にあったとしても、本当のゴールにたどり着くことができたでしょうか。
言いたいことをすべて言い切らなければ、根っこに残った苦情の「種」が、再び萌芽すると思うのです。
聴くだけで解決できる理由
①すべて話してもらうことで、損ねた感情を修復できる。
②人は、話をすべて聞いてくれる人を好きになる。
③相手のニーズを満たすことができる。
③について少しだけ。
私たちは「欲求」や「恐怖」によって行動を起こします。
(問題解決は置いといて)苦情を訴えるという行動の元になっている欲求は、おおむね次とおりです。
「思いの丈をぶつけるから聞いてほしい(謝ってほしい)」
「提案をする自分を重要視してほしい」
これらは「ニーズ」です。聴くことによって満たすことができます。
ニーズを満たすという点で、ほかのサービス業とまったく変わらないということに気付いてから、
私の苦情対応の考え方は激変し、楽になりました。