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LB-302 「志村流」

 人生を72年を1日24時間に例えてみたら、1時間=三歳。52歳だから割る3で、人生の17時過ぎ、夕方の5時。夏場だったらまだ明るいけど、冬ならかなり暗いたそがれ時。これから夜になるんだなぁと思うと何だかさびしい気がする。でもディナーの時間が残っているから、楽しみがまんざらないわけでもない。42歳だと午後2時、1日の中でいちばん太陽の光が強いとき。成功した理由―コントという仕事における傲慢なまでのワガママさ。放送作家が書いたものに対して拾うもの、捨てるものをハッキリいう。超常識人。小心者―準備に準備を重ねる。マラソンの2番手、3番手を狙う。1.独立するなら何をしたいかすぐ答えられるか。2.これだけは自信があるという特技はあるか。3.他人から「ちょっと変わってるね」とよく言われるか。いままでで肝入りの出費の一等は、仕事の質をアップさせるため専属の放送作家をひとり囲ったこと。




志村流―当たり前のことが出来れば、仕事も人生も絶対に成功する (王様文庫)/志村 けん

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LB-301 「サウンド・オブ・ミュージック」

 40年前の超スタンダードミュージカル。♪わたしのお気に入りーパスタ添えのカツレツや、茶色い包み紙の小包とか、薔薇の花びらについたしずくだとか、お気に入り(マイフェイバリット・シングズ)を思い浮かべたら、はちに刺されたり、犬に噛まれたブルーな時(自然に囲まれてる!)もゴキゲンになれるわねって歌。歌詞の英語の韻の踏み方がオシャレで、リズムを生じていて気持ちいー、(上等感)がある。映画主演のジュリーアンドリュースの歌唱は、クラシックに届きそうなポップスって感じで、まず声を聞かせてるなって印象のするクラシック畑より、ニュアンスがあって退屈しない(ブロードウェー作品の本作は、クラシックのコンサートでもよく取り上げられているのです)。なるほど60年代の録音は英語をまっすぐ(吐き出している)のが分かりやすい。声やからだを甘やかしてない。ポリープの手術に失敗してしばらくステージから遠ざかっていた時期もある様だが、もうすぐ公開の「プリティ・プリンセス」という映画に熟年のジュリーが出演しているようです。


 また映画作品としてのサウンド・オブ・ミュージックは、美しいメロディと人の心やナチ統率下の時代背景、大自然、重くなく、軽くなく、娯楽性も示唆にも富んでいて、心を洗ってくれるというか、救われました。1300円のDVD、PC(パソコン)なんかで再生してええんかいとも思いますが、世界不朽の名作です。♪マリアを歌っている修道女の中に、♪マイフェアレディのヘッバーンや、ウェストサイド物語のナタリーウッドの吹き替えをした人がいるらしいです。長女のリーズル役はとても美人なのですが、とても16歳と思えないほど大人びた顔をしています。60年代のティーンって、日本の歌手でも大人顔ですもんね。♪ドレミの歌の“シ”は“ti(ティ)って歌われています。”エーデルワイス“は、”エーデルヴァイス“でえす。アマゾンのDVDレビューで映画のドレミの歌の「ド」はシ♭で、音感に差し支えるから子供と楽しむのやめたってレビユーが載ってたけど、ええやんそれ位、(ちいさい)で(^^ゞ。




サウンド・オブ・ミュージック

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LB-300 「不良品」

「不良品」宇梶剛士著(SB文庫)


 40過ぎくらいの元不良の人たちって皆、独特のかどの丸さと腰の低さがある。人生の月謝を、フツーの人よりほんのちょっぴり多めに支払ってきたせいだろう。早くに自己の内面と対峙する機会にも恵まれている。それにこれと決めれば一本気な熱さと、本質を見抜く感受性がある。どこが印象的というのでもないが、さわやかさの伝わってくる文面だった。
 少年院では毎日日記を書かされる。だんだん書くに事欠いて「鉛筆はなんで六角形なんだろう?かっこつけた謝罪文より、あとで読み返してみると意味が深いのだという。「今なにを考えているか?」「今なにを感じたか?」と空っぽに思えた心の皮を一枚一枚むいてみると、思いもよらない、ウソにも真実にも思える自分を見つける。で、最後は前向きの文面で終えるという決まりごとがあるため、今を肯定的にとらえ、人の短所より、長所を見つけようとする習慣が身についた。常に今を考えて、行動することで未来にも気持ちが向くようになった。

 定時制高校を卒業したのちは、(役者になりたい)熱い思いで一直線。母のつてで錦野あきらさんの付き人、菅原文太さんの事務所に使いにいったところをひと目みた文太さんにもらわれる。にしきのさんは他の役者さんと食事をする時、マネージャーたちが別席につく時も必ず彼を同じテーブルにつかせてくれた。文太さんに美輪明弘さんを紹介され、美輪さんの紹介で渡辺えり子さんの劇団で仕込まれる。にしきのさんには、「人の悪口はいうな。自分に帰ってきて先細りになるぞ」といつも言われた。えり子さんは、「世の中に対する批判精神を忘れたら表現などできない、だけど非難はダメ。どこがよくないのか、どうしたらよくなるかという心のあり方よ。感情の入ったものは表現の邪魔になるからいらない」という。



転んだら、どう起きる?―壁を打ち破る人生論/宇梶 剛士
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LB-299 「戦場のピアニスト」

 死なないために一生懸命になっている姿は獣の美しさだけど、生死と関わりのないことに、いのちを懸ける姿は、荘厳な美しさ。どちらも無になっているのは同じ。しかし後者の輝きは絶対的な存在感を持つ。二つの無我を戦場で表現した。悲しみや残酷のなかからも美しさは生まれ出ずる。どんな状況でも色は一つでなく、様々な色が絡み合っている。
 もし自分がこの時代の当事者だったとしたら、すぐに死んじゃうなあ。こんなに逃げ切れない。彼は生き残れてラッキーだねって言うより、どうしても死ねない人だったんだねと思った。イラクでも同じようなことが起きてる。これは昔話ではなくて、今も世界に起きてる現実なんだ。と思うと、やりきれない。




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LB-298 「太平洋序曲」

宮本亜門 「太平洋序曲」 (ドキュメンタリー番組)


 「太平洋序曲」という、ペリーの来航をテーマにしたミュージカルで、アジア人初ブロードウェー演出家としてデビューした宮本さんに取材したNHKの90分番組。キャストのほとんどはアジア系アメリカ人、第一に俳優組合に入っていないと、余程のキャラクターがない限り、採用はむつかしい、そして歌唱力とネィティブ英語ということで日本人が受かるのは至難の業だったらしい。着物着て英語で歌う彼らなんだけど、やっぱり英語の方がメロディのノリがいいというか、なに言ってるか分からないけど、耳には心地よかった。

 「夢が夢であるうちは実現しない」。自分が伝えたいもの、表現したいものというのがハッキリ見えていること。きっちり提示すること。1年間登校拒否をしている時、さまざまレコードを繰り返し聞き、その浮かんだイメージを人に伝えたいと思うようになった。大学で演劇なども学びながら、自分の目指している方向は演出家だと確信を持った。若いときは自分はこれでいいのかってもがきで苦しかったけど、大人になって自分の方向が見えて、形にできてすごく楽しい。政治的な示唆は決して与えないけど、人間はこんな見方もあんな立場もあるんだよってことを投げかける。



亜門日記―極私的オペラ考/宮本 亜門
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LB-297 フジ子・へミング

「我が心のパリ」 フジ子・へミング著

 1年のうちの約半分をモンマルトルの自宅で過ごす彼女のエッセイというより、パリの匂いを写しだした写真集なので、1800円とお値段は少しだけお高め。さすが人生を積み重ねた人の、何気ないひとことなのに重みがある。苦しくても死のうとしなかったのは、家に猫がいたからってミョーに納得、エサをあげる人間がいなくなるもんね。
 さすがアーティストの思考回路といいますか(!?)、趣味のいい,厳選された自分の好きなものだけに囲まれて生活されてるってのが伝わってくる。モンマルトルって東京でいやど~いうとこをさすんでしょうね?シャンソンとか触れてるとパリやヨーロッパの憧れが増してくる。若い頃憧れたニューヨークがジーンズとトレーナーのイメージなら、さしずめ「スーツ」のイメージ。「大阪」より「京都」のイメージ。カフェのテラスの椅子が何列も並んでいて、それがぜ~んぶ見事に沿道に背を向けるのでなし、ごく自然に正面向いてる。NYが32歳なら、パリは48歳とか還暦のイメージ、適度な(枯れ加減)がある。ある一定の年齢を過ぎると(型)や(伝統)や(血筋)に憧れる気持ちが芽生えるのかもしれない。
 行ったことがないので確かなことは言えないが、スーパーにひっ迫されないで、昔ながらの市場もいきいきと残ってそう。写真集がわりに時々めくって、憧れの気持ちを高めて訪れたいと思う。・誰にでも天から与えられた持ち場というものがあり、それを受け入れ、正直に自分の道を貫けば、それがその人のかけがえのない人生になる。・誰でも異邦人。覚悟を決め、孤独とうまく付き合っていく。孤独を知らないと人を深く愛することもできない。・天国でショパンに会おう・誰だって幸せと不幸は半分づつよ。


フジ子・ヘミング 我が心のパリ/
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LB-296 「白痴」

 昭和26年の黒沢映画。若かりし三船敏郎の、なんて生命力に溢れていることか!男っぷりもいいし。愛人役の原節子さんも堂々としたものでした。戦犯として死刑を直前でまぬがれた男がそのショックで、痴呆となる。が、その人を疑うことを知らない純粋な魂は、ふたりの女性に愛される。昔のテロップって最後でなくて、最初に流れるのです。タテがき。で、映画の途中で、こやつらはこんなこんなで、何年後とか、映像はぶいてト書きが、画面いっぱい堂々と出てきたりするのです!人類のるつぼのため、誰にでもわかるように作られているアメリカ映画とは違い、外国人が見るなんて想定されてないもんね。活字世代の脚本らしく、たぶんに表現が文学的な気がします。ドストエフスキーの作品を日本に置き換えたのだそうです。



黒澤明 Blu-ray BOX (限定生産)/三船敏郎

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LB-295 「世界の中心で愛をさけぶ」

 未来クンっていう少年役のコが好演していました。山崎努さんも相変わらず味があります。(さあ、泣かすぞ!)って腕まくりしてるみたいな作品でしたが。こういうアイディアがわく行定監督って。男と女は分かり合えるって、若いうちは男が勘違いしてるけど、ある年齢をすぎると勘違いするのはオンナになるそうです。この純愛に賛同してるのはわりと男の人らしくて、女性は何もかも知って受け止める柴崎コウの役に同情するのだとか。同時期に見た戦争の匂いが残っているような映画に較べると、なるほど自己の(感傷)に焦点を当てるという傾向があり、色合いや重さにちがいを感じた。黒澤監督や三船さんには、人生を見る目に刃物のような鋭さ、厳しさ、死生観がにじみ出ている。あの天才的な存在感は、戦地で生死の境をくぐってきた人間だからこそということもいえなくはないだろう。



「世界の中心で、愛をさけぶ」
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LB-294 「ディートリッヒのABC」

 これを読むと、なぜディートリッヒが世紀の大女優であったのかということがよくわかります。独特のユーモアセンスですね。


hands【手】・・・私は、美しい、という点では、かたちにこだわらず、知的な手、仕事をする手が好きです。なまけ者の手、愚かな手でもきれいにはなるけれど、美しさはない。もちろん、子供の手は、どこから見ても奇跡です。
son【息子】・・・ あなたの息子は、生涯あなたの息子であるわけではない。 -彼が正常なら。
duty【務め】・・・「務めとは、自分にたいして強いる愛のこと」

「だが、あなたの務めは何か。日々やらなければならないこと」ゲーテ(いずれも)
honesty【正直】・・・ 「率直で正直なのはとても都合がいい」ニーチェ
彼は「他人にたいして」という意味でいっているのです。当然。
manners【行儀】・・・ 行儀がいい-自らの分をわきまえている。 行儀が悪い-おせっかいをする。
peace【平和】・・・なぜそれは、心から望んでいるときに、こんなにもしばしば逃げてしまうのか?
dietrich【ディートリッヒ】・・・ドイツ語では、どんな鍵でもあけてしまう鍵の名前。
魔法の鍵といったものではありません。つくるのに高度な技術を要し、現実にある。


ディートリッヒのABC/マレーネ ディートリッヒ

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LB-293 「からだを揺さぶる英語入門」

 著者自身、英語の演劇的人格を踏まえ、まずは固いからだをゆさぶって英語を話すからだ、性格をモードチェンジする素地を作り、いま話すことよりも、英語を学び続けていける、上達を続けられる基礎を作ろうよって視点で、立ってウロウロ歩きながら、身振り手振りしながらをイメージして編まれています。
 呼吸や発声も、国語の先生として役に立つところを、(すごくポイントを押さえた素人・・・)って切り口で語られているので、ごくツボだけ、分かりやすいと思います、(今さら)学ぶのにオススメ。そういや調子を確認するのにハミングが有用なこと、外国人のなかに混ざることで(真ん中の発声)のカンを取り戻せることを思い出しました。
 CDについて追読していると、めずらしく自分が(息を吐いている)のを感じることができました。身振り手振りの、歌うときに近い、(英語の人格)になっているのが分かりました。
 すごく前に向かっていく言語で、くるんくるん吐き出して、言葉自体が音楽的なのですね。飽きないし、なかなかよいウォーミングアップ。歌の音階がつかなければ、発声も散らばらず、真ん中の声が出てくるのですが・・・。英語の勉強より、ボイストレの副教材になってしまったかも☆悲しくて、落ち込んで、ぐちを言う時でも、独り言さえ(神様)というお客に向かっていたり、自分がパフォーマーになってしまう言語だから、独立心旺盛なメンタリティが育まれるのも、トーゼンのなりゆきかもしれませんよね。


からだを揺さぶる英語入門/齋藤 孝
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