天気も良く、行楽日和の日曜日。
家族を連れて隣県の高山へ向かう。
前回のコルリクワガタ採集の再挑戦だ。
「今日あたりがベストだと思うのだが。
まただめだったら・・」
不安が脳裏をかすめた。
標高を上げていくと、
新緑のブナの葉がざわざわと揺れ、
私たち家族を迎えているように感じた。
現地は雪どけが進み地表が姿を見せている。
昼の駐車場にはすでに先行車が5~6台駐車していた。
「すいません。何か採れましたか?」
息子と私は焦りながら車から降りて、
大きな補虫網を持参し歩いている中年男性に話しかけた。
その方はギフチョウを中心に採集していた。
4~5頭の採集に成功し、満足そうだった。
他にも先行者がルッキングをしていた。
「先行者たちにクワガタも採集されてしまっているのでは・・」
息子と焦りながら急いでルッキングを始める。
不安は的中してしまった。
「コルリがいない・・・
昨日の土曜日は午前中雨でも午後から好天になったので、
今日の午前中にかけて採集者がたくさん来た確率が高いぞ。
この日は確実にいると判断し、
親子での採集を楽しみにしてきたのに、
採集された直後ほど虚しいものはない」
ブナの新芽を見ると9割ほどが開いていた。
どうやらこの1週間でどんどん葉が開いたのがわかる。
先行者たちから離れ、
諦めずにブナの新芽をじっくりとルッキングする。
前回と異なり、
新芽にはたくさんのアブラムシやアリの集団が固まっていた。
コメツキムシやハムシなども活動している。
虫の付き具合はいい感じだ。
気持ちをリセットさせるために深く深呼吸をする。
じっくり舐めるように見ていく。
「いた!
間違いない」
1年ぶりに見るブナの新芽に潜り込んでいたコルリクワガタ♀。
画像を撮るが、焦点が当たらず必ずピンボケしてしまう。
しばらくして息子もコバルトブルーの♂を採集する。
しかし後が続かない。
コルリがいないのだ。
昨年は新芽にたくさん寄って来たのを覚えているが、
今年はどうしたことか飛んでいる形跡もない。
何度も同じ場所周辺を見落としていないか確認する。
「どうやら今度はタイミングが遅かったようだ。
基産地ということもあり、採集圧が強いようだ。
何度もここに来れないので、今回はお父さんの判断ミスだ。
ごめんな」
『しょうがないよ。でもこんなにも採集者が多いのがわかっただ
けでもよかったよ』
「お父さんもびっくりした。運が悪かったな・・」
ワンペアでは少し寂しく感じ、
場所を変えようと雪の上を歩いた瞬間だった。
「うわ、すべった!!!」
前のめりにすべり、
気が付いたら汚れた雪を食べてしまっていた。
今度はそれを見ていた息子も同じように顔面から滑り込む。
2人とも完全に泥だらけになってしまった。
雪どけの道は本当に油断できない。
ハプニングにも負けず、
2人あきらめないで時間をかけルッキングした結果、
1頭ずつの♂♀を追加。
合計♂2頭・♀2頭・合計4頭のコルリクワガタを採集。
1頭のギフチョウの姿を見かけるも、
残念ながら画像に写せずに終わった。
もうすぐ新芽も完全に開いてしまう。
おそらくここのコルリクワガタも今日までが限界だろう。
ボウズでなくてよかったことを2人で話しながら、
駐車場で私たちを待っていた妻たちに結果を報告する。
今季は本当にタイミングがつかめなかった。
先行者も多いという事実も知った。
そのような中でも、
何とか今季もコルリクワガタに出逢えてよかった。
ありがとう自然よ。
また来季にこの場所で逢いましょう。
感謝(^◇^)
平成25年5月17日(日) ユキグニコルリクワガタ基産地にて
★現在、自宅で飼育中のコルリクワガタは、
温度管理が難しく♂1頭が×になってしまった。