![クローバー](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/199.png)
小さくて黒色のコガネムシ。
クロコガネである。
小さく地味なこのコガネムシこそ私を甲虫好きにした原点だ。
![イメージ 1](https://stat.ameba.jp/user_images/20190901/00/bunachiro/e6/77/j/o4608345614564888602.jpg?caw=800)
幼い頃の実家周辺は建物も少なく地名も
【ハゲヤマ】
とよばれていた(笑)。
田畑に囲まれて墓地につながる野山もあった。
路上に横になれるほど車も少なく静かな場所だったのだ。
幼児期の私の楽しみは移植ベラを持って、
盛り土に登りクロコガネを採ることだった。
粘土層が多く、乾燥している盛り土の表面にはヨモギのような草が
たくさん生えていた。
草の根っこを目印に、粘土層の土を斜面に沿って丁寧に削っていく。
しばらくすると、羽化したばかりのクロコガネが見つかる。
1頭採れると立て続けに3~4頭の成虫が採れた。
ヨモギの葉と土の匂いが身体に染み込み、
そのたびに服を汚してしまい母に怒られた。
![イメージ 2](https://stat.ameba.jp/user_images/20190901/00/bunachiro/79/b9/j/o4608345614564888637.jpg?caw=800)
「どうして成虫が土の中にいるのだろうか??」
草の根にそって幼虫がそれを食としていることや、
羽化後の状態のまま越冬することも幼い私にはわからなかった。
土を削るには慎重さが必要だ。
蛹室を壊し成虫まで×にしてしまうからだ。
蛹室から成虫を取り出したその時、
口先からうがい薬のような茶色の液体が出てきた。
「まさか×になったのでは?」
そんなことを感じながら採集した個体をケースに入れる。
どの個体も動きがぎこちなく,
前足で威嚇ポーズをとっていて爪も痛い。
「土の中と外の成虫とでは、同じクロコガネでも何か違うなぁ」
幼心に感じた懐かしい思い出だ。
![イメージ 3](https://stat.ameba.jp/user_images/20190901/00/bunachiro/33/6e/j/o4608345614564888671.jpg?caw=800)
甲虫は羽化したからといってすぐに成虫になるわけではない。
徐々に外気に触れながら内面の意識が変化していくのだ。
卵から幼虫→幼虫から蛹→蛹から成虫へと完全変態する甲虫
は、内面的にも想像以上の変化が起きているはずだ。
幼い自分を優しく包んでくれた野山や畑等は、
自然の不思議さや多様性を教えてくれた。
いつ頃からか野山もなくなり、
田畑も駐車場に変わってしまい昔の面影まで消えつつある。
クロコガネは作物の害虫といわれているが、
私にとっては懐かしくそして可愛い甲虫だ。
もしも自分の人生で戻ってみたい時間があるのなら、
幼児のままの姿であの時間にもう一度戻ってみたい。
ヨモギと土の匂いを嗅ぎながら当時と同じ体験をしてみたい。
レアな昆虫でもなく、
庭の土を掘ればどこにでも見つかりそうなクロコガネだが
、
あの頃とっても輝いて見えたのはなぜだろうか。![](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/332.gif)
![](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/332.gif)