虫馬鹿 | ぶなまつの昆虫的人生エッセイ

ぶなまつの昆虫的人生エッセイ

昆虫の「生活史」をメインに、裏山にて「ソロ虫活」を楽しんでいるシニアです。
読書と哲学と自然が大好きです♡
イハレアカラ・ヒューレン博士を心の師としています。
平和(^^)/は私から始まる。
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  晴れ 好天に恵まれた5月最後の休日。
 
   ブナの新芽が見たくなり早朝から一人ドライブを楽しむ。
 
   THE BOOM 「風になりたい」 
 
  をエンドレスに聴きながらテンションを上げていく。
 
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 現地に到着すると写真愛好家たちがブナの新芽を撮影していた。
 
  カメラのことがよく分からない自分でも高価な機材であることは
  わかる。
 
  彼らもあの小さく美しいクワガタを目的に撮影にきたのだろうか。
 
  小さく美しいクワガタ。
 
  それはブナの幼木の新芽につくコルリクワガタのことだ。
  
  そう、ここはユキグニコルリクワガタの基産地なのだ。
 
 
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            ラブラブブナの幼木の新芽に集まるコルリクワガタ♂
                         昨年の5月初めて撮影に成功
 
 
     
 
    例年よりも早い雪どけに心をはやらせながら、
  
  コルリクワガタの見れる季節を今か今かと待っていた自分。   
 
 
  ブナの新芽がまだ開ききらないことを祈りながら、
 
  はやる気持ちを抑えきれずにいた。
 
 
  「焦るな。
   何事もタイミングが大切。
   自分の直感を信じ、
   タイミングがはずれたとしても、
   新緑のブナ林の中を散歩するつもりの気持ちが大事だ。」
 
     
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  新緑の新鮮なブナの香りが漂ってきた。
 
  1本のブナの幹に顔を近づけそっと耳を当ててみた。
 
  ブナの鼓動が静かに聞こえてくるようだ。
 
  そんなロマンチックに浸っている時だった。
  
 
  ズボ ズボボ  ズボ ズボボ  
  ズボ ズボボ  ズボ ズボボ
 
   「いでぇ、また転んだ」
 
 
  残雪に足首がとられ何度も泥だらけになってしまった。
  
  転んだ痛みに耐えながらもまた前に歩き出す。
  
  5月とはいえまだ残雪が多く思ったように歩けないのだ。
 
  
  
  途中、
 
  クマに出逢ったら大変なので携帯した鈴を取り出す。
 
 
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  静かだ。
 
  自然の中に埋没しそうな感覚になる。
 
  自分は一体何を求めて歩いているのだろうか。
 
  時間だけが過ぎ去っていく。
 
  歩きながら不安と虚しさがよぎる。
 
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  「どうやら新芽はまだ半分以上がつぼみ状態だ。
  いくら好天が続き雪どけが早いと言っても、
  つぼみではコルリも飛んでこない。」
 
 
  半開きの新芽には虫気がほとんど感じられず、
 
  コルリの飛来にはまだ早かったことに気づき、
 
  気落ちしていく自分。
 
  がっかり感が足取りを重くしていく。
 
  駐車場に戻ると、3~4台ほどの車が停車していた。
  
  彼らも同じようにコルリを求めてきていたのだろうか。
 
  強い日差しが顔を照らす。
 
  雪どけの湧き水で顔を洗うと生き返ったように感じた。
 
 
 
 「成虫がブナの新芽を求めて活動するのは約2週間と短い。
  昨年はビギナーズラックもあり、ギフチョウも飛んでいた。
  しかし、今回は完全にタイミングがずれてしまった。
  虫の気配が全くないな」
  
  
  自分の直感がはずれ自信を失うこともある。
 
  今季は早春から台風がたくさん発生するなど、
  
  まだ春なのに真夏のような暑さになる日も多い。
  
  こんなにも早く夏のような暑さが続いてしまうと、
  
  自分の胸の中にあるクワガタ探知機が強く騒ぎだす。
  
  樹木で活動する成虫たちの姿が早く見たくなり、
  
  自制心がなくなり落ち着かなくなってしまうのだ。
  
  そんな気持ちを引きずりながら夕方に帰宅。
  
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  出逢いは「タイミングと奇跡」ということを改めて感じた。
  
  諦めずにまた来てみよう。
 
 
 
  
   ああ、ついに私も完全に虫馬鹿になってしまった。
  
  今の自分につける何かよい薬はないものだろうか・・富士山
 
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   ブナに笑われたぶなちろくんでした。(^◇^)
 
         平成25年5月6日水曜日(休日)