新型コロナ感染後、6月17日にジャズピアニスト・国府弘子さんとのサマーディナーショー(グローカルホテル糸島)で復帰された宏美さん。だが、その後のSNSでもシンバ君の言葉を借りる形で「宏美ちゃんは随分元気になってきました」と報告されており、ウラを返せば「まだ本調子ではない」とも受け取れた。自分の目で、自分の耳で確かめるまでは、一抹の不安があった私。

 

 そんな心配を吹き飛ばしてくれたのが、昨日のFOSTERホール(昭島市民会館)での『Piano Songs Live』であった。シロ子姐さんとのコンサートは、2016年にお二人で出されたアルバム『Piano Songs』をベースに、その時々の新曲や歌いたい歌を加えながら、少しずつ曲目が入れ替わってゆく。近年はツアーではなく、散発的に行われるので、完全ネタバレのセットリストはご紹介しにくいが、ご参加になれなかった皆様のために、少しでも雰囲気をお届けしたい。そのため、若干のネタバレをお許しいただきたい。

 

 

 まず一部はお二人とも白系の衣装で登場、洋楽2曲からスタート。1曲目は弘子さんが宏美さんに贈ったというドルイド・ベルの神秘的な音色も伴っての歌唱、そして2曲目は大変レアな宏美さんの弾くピアノを聞くことができる。😜

 

 宏美さんが大切にされているオリジナル2曲の後は、昨年リリースされた野口五郎さんとのコラボアルバム『Eternal Voices』から2曲を紹介された。特に2曲目の「18才の彼」では、歌唱後のお二人のMCでも触れられていたが、極限までピアノの音数を減らして、宏美さんのお声そのもの、細やかな表現を聴いてもらおう、とする弘子さんの気持ちがよく伝わる演奏だった。

 

 一部のラストは、沢田研二さんの大ヒット曲をブルース風に。「ジュリー大好きだったんですよね」と宏美さんが言うと、「過去形ですか?」とすかさず弘子さんが突っ込む。🤣「いえいえ、最近お会いしてないんで…今でも好きです」と宏美さんもタジタジ。その後も「ジュリーはあの頃ものすごく痩せていて…」と話し出すと、客席からも忍び笑い、弘子さんは意味ありげな視線。宏美さんのリアクションは「私、何か失礼なこと言いました?」と、こんな調子の軽妙なトークも楽しみながら、やはりお二人のピアノと歌声は圧巻である。

 

今回は上手く写真が撮れず、お仲間から拝借しましたm(_ _)m

 

 二部のオープニングは恒例、弘子さんが先に登場してピアノソロ2曲を披露。2曲目の「コズミック・ランデヴー」は、私は生では確か初めて聴いたと思う。NHK『8Kアースウォッチャー』という番組のための弘子さんのオリジナル曲。この番組が縁で知り合ったという宇宙飛行士の山崎直子さんの体験談から、宇宙でデートするカップルのイメージで書き下ろされたと言うファンタジックな曲だ。

 

 そして宏美さん登場。二部は写真の通り、お二人とも赤が基調の衣装だ。そして、昨年私が参加できた2本のライブではなかったビートルズ・コーナーが復活!弘子さんは知る人ぞ知るビートルズフリーク。ビートルズの曲なら全てタイトルを聞けば弾ける、と豪語する。今年はイギリスを旅し、アビー・ロードの横断歩道でポールの真似をして裸足で“聖地”記念撮影、海外から来たビートルズマニアに「ブラボー!」と喝采されたとか。😉

 

 

 客席からのリクエストを宏美さんがメモに書き留め、それを弘子さんが次々ピアノで再現してくれる至福のひとときだ。最後2曲は宏美さんが以前ライブハウスで一五一会を抱えてのレパートリーにしていた2曲でボーカルも加わって締める。2曲目のラストのリフレインは、コロナ禍でずっとNGだったが、主催側のOKが出たということで、会場の聴衆も大合唱。もちろん私も気持ちよく歌わせてもらった。リフレイン直前の「♪ better, better….」と2オクターヴ以上駆け上がるところは、宏美さんの聴かせどころである。😊

 

 そしていよいよ宏美さんのヒット・メドレー4曲を国府アレンジで。「ロマンス」にはキャロル・キングを引用したり、「シンデレラ・ハネムーン」は完全なるラテン・アレンジで宏美さんも巻き舌のかけ声?を発するなどお馴染みの演奏だ。最近仲間の間でも話題になったが、宏美さんが「『シンデレラ・ハネムーン』が最近バズっている」と、アバンギャルディのダンスに言及された。未見の方のためにご紹介しておこう。

 

 

 ふだんのコンサートでは聞けないジャズ・スタンダードから1曲、そして弘子さんのオリジナル曲「ジプシー・バロック」をイントロに用いた宏美さんの代表曲で一旦お二人が捌ける。鳴り止まぬ拍手の最中、スタッフがアンコールの用意。一五一会が置かれた時は、最近アンコールに多い「太陽が笑ってる」かな、とも思ったが、次いでスタンドに固定されたピアニカがピアノの横にセットされた。😍これで“あの曲”に決まり、である。ちょうど席の近くの仲間と“あの曲”ならいいね、と話していたところだったので、思わず視線を合わせてガッツポーズ。宏美さんも「アンコール何にしようか話していて、可愛い曲がいいね」と選曲の経緯をお話しになった。だが最後もハプニング。一五一会用に用意された譜面が、リハーサルと違った?らしい。宏美さんが途中で演奏を止め、「あれ?」と頓狂な声を出された。譜面を取り替えて仕切り直し。最後までアットホームなコンサートだった。😊

 

 

 少し残念だったのは、空席がやや目立ったことだ。先月、キャパ1,500の東京国際フォーラム・ホールCを満席にした宏美さんだが、ホールの立地のせいか、或いはプロモーションの問題か…。せっかくの素敵なライブ、今後とも一人でも多くの方のお耳に届きますように。