私たち夫婦の結婚記念日を1週間あまり過ぎてしまったが、今日は家族4人揃ってお祝いをしてきた。新型コロナウィルス感染症もひと段落し、久々の横浜中華街である。親子水入らずで過ごすささやかな幸せに満ちたひととき。そんな今日の気分にピッタリの楽曲、「タカラモノ!」を取り上げたい。

 

 「タカラモノ!」は、現時点で宏美さんの最も新しいオリジナル・アルバムになる『PRESENT for you * for me』のラスト前に置かれた軽快なポップチューンである。詞・曲・編とも光田健一さん。光田さんは、「プロポーズのとき」も宏美さんに提供、いずれのレコーディングでもピアノを弾いている。

 

 この「タカラモノ!」について言及しているようなネット記事はないか、と検索していたところ、直接の関係はないが、【私の宝石物語】という記事がヒットした。2回にわたって宏美さんが特集されている。私は初見であった。

 

 高校卒業記念に由紀さおりさんからもらった金のブレスレット、お気に入りのダイヤの指輪を作り替えて飯田久彦さんに贈ったピンブローチ、愛犬「ベリー」の歌にも登場するカメオのペンダント、そしてもちろん今ちゃんが全財産?をかけて作った婚約&結婚指輪などについて紹介されている。いずれもジュエリーそのものというよりも、温かい気持ちのこもったエピソードばかりである。🥰

 

 

 この『PRESENT for you * for me』のアルバムは、「贈り物」をテーマに、錚々たる10組の作家陣が、宏美さんのプレ45周年(44周年、for you * for me)を祝った作品を書き下ろした贅沢なアルバムである。この曲の光田さんの詞には、いきなり

 

♪ 近すぎて 照れくさくて

 言えないことがある 

 ずっと 渡しそびれて しまいこんだ

 プレゼントのように

 

と、アルバムタイトルに絡むキーワードが登場する。歌詞の世界の相方は、いつもさりげないひとことや、微笑や、眼差しをくれる人。それを宝物と受け止めるヒロイン。そして、ずっと言いそびれていたひとことを、最後に心から伝えたい、と思う。「いつまでも元気でいて」ーーーそんな温かい歌だ。

 

 セルフライナーノーツには、「光田くんが書いてくれた『タカラモノ!』の歌詞を見たとき、まるで、うちの夫婦の会話を知ってるのかな?と思うほど、私達に似ていたので驚きました」と書かれている。今ちゃんは本当に素敵な夫さんなんだなー、といつも思う。

 

 また、こうも書かれている。「デモテープを送ってくれた光田くんの声は、私よりも高い声を軽々と出していて、それはそれは爽やかな歌声。こんなに軽く出ないよ〜と思いながら、自分の歌入れでは、目指せ!光田健一‼︎で歌いました」

 光田さんのYouTubeをご紹介しておこう。

 

 

 「目指せ!光田健一‼︎」の成果はしっかり出ているように思う。全体に肩の力が抜けていて、すごく気軽に聴けるライトな雰囲気に仕上がっている。それでいてサビの歌詞&メロ&サウンドのキャッチーで耳に残ること!このアルバムを初めて聴いた時から、真っ先にこの歌を大好きになった私である。💕

 

 打ち込みが圧倒的に多くなってしまった現在の音楽シーンに於いて、まだまだ生の楽器にこだわる宏美さんのスタンスにも頭が下がる。この曲も、リズムセクションももちろん生音だが、フリューゲル(小林太)とフルート(沢野茜)をフィーチュアした温かいサウンドも聴きモノだ。

 

 ツーコーラスが終わると、光田さんのピアノソロが入る。そして、新しいマイナーのメロディーが現れて「♪ 無口で ぶっきらぼうだけど〜」と、大サビの部分が歌われる。そしてサビが回帰する「♪ 懐かしくて 新しくて」の部分は、いわゆる落ちサビで、リズムレスの少ない音数で歌われる。その分、エンディングに向けての「♪ ささやかで あたたかい宝物〜」以降が華やかに聞こえ、効果的である。

 

 ラストの「♪ いつまでも 元気でいて」の後、上のE♭音の柔らかなファルセットのスキャットで曲を閉じる。聴いているこちらは、何とも温かな気分になる。

 

 

 と、境長生氏渾身のアルバムラストナンバー「五線紙の上」が、「♪ 産まれたときにもらったこの声は母からの贈り物」と始まるのだ。

 

(2018.8.15 アルバム『PRESENT for you * for me』収録)