皆さん、こんにちは。
リーダーズ総合研究所・講師の板野です。
行政書士試験も直前期に突入し、残り2ヶ月となりました。本気で合格を考えている受験生であれば、直前期はアドレナリンが分泌されてモチベーションがUPし、
・今日は休日だしガッツリ勉強できるな、よし、テキストを○○頁読もう!
・今日はたまたま早く帰宅できたので過去問を**問解くぞ!
などと意気込む余り、兎角"勉強量"を稼ごうと意気込んでしまうのではないでしょうか🤔🤔
こうした"量"を稼ぐ勉強法で合格を勝ち取れる受験生も一定数いらっしゃるのかもしれませんが、経験上、膨大な時間を要する割に資格試験(のみならず、合格後の法律実務)で使える知識が身に付かないことが多いです。しかも、普段から長時間勉強に慣れていない社会人受験生は集中力が持続せず、途中で勉強に飽きてしまいます。
では、社会人や主婦の皆さんが仕事や日常家事を熟しながら限られた時間の中で何を重視して勉強すべきか、私自身、海事代理士試験は超直前期(試験直前1ヶ月)に突入した今、第2フェーズの学習計画を立てる上でもこの問題について整理してみました。
超直前期の学習戦略(海事代理士編)
(1)前提
この問題を考えるに当たっての大前提として最初に確認しておきたいのは、海事代理士試験を含む資格試験では、
・試験中はテキストや六法でさえも閲覧できない(頼れるのは自分の記憶だけ)
・限られた時間の中で全ての問題を検討し、解く必要がある
・試験問題は事前に閲覧できない、などの特徴があるということです。
また、画像は、私が2019年の行政書士試験を初受験した際、試験会場となった関西大学第1学舎5号館5階E502教室です。
この画像は試験直後に撮影したものですが、ほんの少し前まで教室内は(新型コロナウイルス感染症の発生前なので)受験生で溢れ、相当の緊張感に包まれていました。過去に受験したことがある受験生であればわかると思いますが、行政書士試験では3時間、不安や緊張と戦いながら、自問自答を繰り返して問題を解かなければなりません(自宅や図書館などで勉強する普段の環境とは大きな差があります)。
こうした前提を踏まえれば、"量"を稼ぐ勉強をしたとしても自己達成感(満足感)は得られるかもしれませんが、勉強した内容を「使える知識」にまで仕上げることができなければ、緊張感に包まれた試験現場では折角勉強した知識が宝の持ち腐れとなってしまい、何の役にもたちません。
難関資格試験で最も頼りになるのは、「1,000の曖昧な知識よりも100の確実な知識」と言われる所以ですよね。
(2)問題を解く際の思考プロセス
問題を解く際の思考プロセスを分析してみると、
①試験問題を読んで、問題文中の(解答に繋がる)キーワードを抜き出し(検索)、
②事前に記憶(記名)した条文・判例の知識に、
③当該キーワードを当てはめて(適用)正誤判断し、問題を解く手順が一般的だろうと思います。
手順①及び手順③については、模擬試験や答練などを通じて事前に解答プロセスを習熟しておく必要があります。また、手順②については、本試験中はテキストや六法の学習教材を閲覧できないわけですから(講師の助言を受けることもできません)、事前にテキストや過去問を活用して知識を定着(長期記憶化)させておく必要があります。しかも、これらは試験問題を解く際の両輪となっており、片方が欠けてしまうと(自動車が走らないのと同様、)なかなか試験問題を解けるようにはなりません。
この内、海事代理士試験では下記の通り、「空欄穴埋め問題」が多く出題され、記憶した条文・判例知識を試験現場で吐き出して解答する能力が求められます。また、受験指導校の対策講座は皆無(伊藤塾が唯一対策講座を開講)なので、模擬試験や答練で鍛錬することは難しい状況にあります(唯一のツールは過去問?)。
こうした状況を踏まえて、海事代理士試験では、直前期に解答プロセスよりも記憶にウェートを置いて勉強に取り組むこととしました。
なお、他資格では手順①及び③の方法論(解答プロセス)についても重要ですが、この点については別途記事にまとめていますので、そちらを参照していただけますと幸いです。
(3)記憶のプロセス
最初に記憶のプロセスについてまとめてみます。
①知識を覚える(記銘)
②覚えた知識を脳内に保持(貯蔵)
③必要に応じて脳内の知識を思い出す(想起)
受験指導校の受講生であれば、講義を受講することによって目や耳から知識を①記銘できるかもしれませんが、資格試験の現場で求められる②貯蔵した知識を③想起するのは自助努力によるところが大きいです。
そして、エビングハウスの忘却曲線によれば、人間の脳は記憶した内容を1時間後には56%、1日後には74%を忘れてしまうので、定期的にメンテナンスしていかなければなりません。
適宜メンテナンスしながら記憶を定着する勉強は相当根気が入りますが、試験中、テキストや六法は使えず(講師の助言も得られず)、自分の脳内にストックされた知識だけで正解を導かないといけないので、当然の帰結と言えますね。
そして、極度の緊張状態にある本試験で使える知識にするためには、努力を重ねて知識を長期記憶化し、いつでも引き出せる状態にする必要があります。
(4)学習対象の絞り込み
ところで、このように述べると何でもかんでも知識を記憶しようとする受験生を見かけますが、そのやり方では脳が記憶量でオーバーフローして曖昧な知識を量産するだけです。
すなわち、下図③④の知識まで含めて記憶しようとすると対象は無限に拡がるので、コンピュータ(やドラえもんの暗記パン)でもない限り、余程の脳内キャパシティを持った受験生でもなければ全て記憶できないということは受験生であれば誰しも一度は経験したことがあるのではないでしょうか。
そこで、過去の記事「直前期の受験戦略(戦略編)」でも述べた通り、まず学習対象を絞り込んだ上で、優先順位の高いものから順に記憶を定着させていくのが王道と言えます。すなわち、直前期は学習対象を重要なもの(上図①②の知識)に絞り込んだ上で、記憶に定着するまで何度も繰り返し勉強する、いわゆる"皿回し暗記術"を採るべきだと考えています。
なお、ここまで整理した記憶の重要性について、詳細は対談シリーズ第2弾でもお話していますので、そちらも御覧になっていただけますと幸いです。
直前期第2フェーズの学習計画を立てる前提として、第1フェーズの振り返りをしておきます。
第1フェーズの振り返り
第1フェーズ(9月3日〜6日【予備日:7日】)は概ね学習計画を実行できましたが、メイン法令である「船舶法」を勉強できなかったのは大きな反省点です。
特に、5日(火)から6日(水)にかけてプライベート&仕事の関係でほとんど勉強できていないのが痛かったですね。こうした事態を想定して予備日(7日)を設けていましたが、それでも全ての法令を学習することができませんでした。第2フェーズ以降は積み残しをしないために、(たとえ一部が不十分であったとしても)当該フェーズ内で全ての学習計画を消化できる勉強を心がけないといけません。
なお、「船舶法」は労働基準法の知識が前提となっており、社会保険労務士試験の受験勉強で一度学習したことのある私にはアドバンテージがあり、しかも第1フェーズの直前2日(土)に勉強しているので、第1フェーズは予定通り7日(木)で打ち切って、8日(金)から第2フェーズに進みます。
皿回し暗記術を実践する際、1つの科目や分野に拘泥するあまり、全体を回すのに相当の時間を要すると最初の頃に記憶した知識を漸次忘れていくので、短時間で繰り返し学習するのが重要なポイントです。
短い時間 × 回転数 × 勉強量 = 記憶力
これら前提を踏まえて直前期第2フェーズでは知識の絞り込みと皿回し暗記術を軸にした学習戦略を立ててみました。
第2フェーズの学習戦略
(1)受験指導校の対策講座
当初はもう少し勉強時間を確保できると思って海事代理士試験は独学で勉強すると決めていましたが、伯母の事業の方がにわかに慌ただしくなって融通の利く時間が思ったより少ないので、学習対象を絞り込むために伊藤塾の海事代理士試験対策講座を受講することにしました。
伊藤塾の対策講座で配布される資料は各法令の条文毎に出題ランクが4段階(AA・A・B及びC)で付されているので、まずは各法令とも前2者(AA・Aランク)の条文をしっかり記憶することにします。
続いて前2者の記憶を維持しながら、後2者(B・Cランク)の条文をB⇨Cの順で記憶し、それ以外の条文は思い切って学習対象から外すことにしました。
(2)第2フェーズの学習計画
第2フェーズ(8日〜11日【予備日:12日】)は、第1フェーズ前に検討した各法令のグループ分けを踏襲しつつ、8日(金)と11日(月)は所用で外出するために予備日も含めて少しゆとりのある学習計画としました。
なお、第2フェーズからは伊藤塾の対策講座を受講する予定なので、法令毎の講義数(講義時間)を追記しています。
(3)学習進捗
9月8日(金)
(午後)
☑「商法(第3編「海商」のみ対象)」を勉強予定
(夜)
☑「船員法」を勉強予定
(就寝前の暗記)
☑「造船法」第35条・第37条(罰則)
☑「国土交通省組織令」141条・142条(総務課、安全政策課の事務)
昨日は母が体調不良を訴えたので夜間(救急)外来へ連れて行きました。伯母の養子の咳が止まらず新型コロナウイルス感染症の疑いがあって、母にも感染したのではないかと心配しましたが、検査結果は陰性。2人とも単なる風邪らしく病院で処方された薬を服用したので、今は落ち着いています。
こうして直前期第2フェーズは初日から大きく出遅れてしまいましたが、私の中での優先順位は家族>勉強と決めているので、12日以降リスケして挽回!
9月9日(土)
(午前)
☑「海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律」を勉強予定
☑「船舶の再資源化解体の適正な実施に関する法律及びこれらの法律」を勉強予定
(午後)
☑「船舶のトン数の測度に関する法律」を勉強予定
☑「造船法」を勉強予定
☑15時から「商法(第3編「海商」のみ対象)」を勉強
・筆記試験・口述試験対策インプット講義を受講(約2時間)
・筆記試験対策演習講義を受講(約0.5時間)
(夜)
19時から山田斉明先生と対談シリーズ第9弾に向けた事前打合せ
☑「船舶法」を勉強予定
☑「民法」を勉強予定
(就寝前の暗記)
☑「国土交通省組織令」143条・144条(海洋・環境政策課、船員政策課の事務)
9月10日(日)
(午前)
☑「船舶安全法」を勉強予定
(午後)
☑「海上運送法」を勉強予定
☑「内航海運業法」を勉強予定
☑「港湾運送事業法」を勉強予定
(夜)
☑「憲法」を勉強予定
(就寝前の暗記)
☑「国土交通省組織令」145条・146条(外航課、内航課の事務)
10日、11日は次回の対談シリーズ第9弾(会社法の出題予想)に向け、資料作成を優先。12日以降、リスケ
(見直し後学習計画)
見直し後の学習計画は以下の通り。
当初の予定よりも遅れるが、5日で20法令全てを学習する計画としてリスケした。
なお、商法(第3編「海商」のみ対象)は海事法令の基礎となることから一番最初に勉強することとし、憲法、民法については時間の関係で勉強しないこともあり得る。
9月12日(火)
☑商法(第3編「海商」のみ対象)
・9日(土)に筆記試験・口述試験対策インプット講義を受講(約1時間)及び筆記試験対策演習講義を受講したばかりなので、「海事六法」により学習優先度に従って全体を見直し
9月13日(水)
(午前)
☑海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律【済】
・筆記試験・口述試験対策インプット講義を受講(約1.5時間)
・筆記試験対策演習講義を受講(約0.5時間)
(午後)
☑船舶の再資源化解体の適正な実施に関する法律【済】
・筆記試験・口述試験対策インプット講義を受講(約1時間)
・筆記試験対策演習講義を受講(約0.5時間)
☑船舶のトン数の測度に関する法律【済】
・筆記試験・口述試験対策インプット講義を受講(約0.5時間)
・筆記試験対策演習講義を受講(約0.5時間)
☑国土交通省設置法【済】
・筆記試験・口述試験対策インプット講義を受講(約1時間)
・筆記試験対策演習講義を受講(約0.5時間)
(夜)
☑20時からオンライン質問会(伊藤塾)【済】
・予定通り30分で終了(講師が事前の質問に対する応答を発信)
・講師より、海技試験の受験資格の1つである「乗船履歴」について理解に役立つサイトの案内を受けたので、16日(土)の学習計画に組込
☑船舶法【済】
・筆記試験・口述試験対策インプット講義を受講(約2時間)
・筆記試験対策演習講義を受講(約0.5時間)
9月14日(木)
(午前)
☑造船法【済】
・筆記試験・口述試験対策インプット講義を受講(約0.5時間)
・筆記試験対策演習講義を受講(約0.5時間)
(午後・夜)
☑船員法【済】
・筆記試験・口述試験対策インプット講義を受講(約3時間)
・筆記試験対策演習講義を受講(約0.5時間)
9月15日(金)
(午前)
☑憲法【済】
・筆記試験・口述試験対策インプット講義を受講(約1時間)
・筆記試験対策演習講義を受講(約0.5時間)
☑民法【済】
・筆記試験対策演習講義を受講(約0.5時間)
・平成28年度以降の過去問を解く
⇒ 令和4年度の問題が難しすぎる(それ以外の年度は普通)
(午後)
☑内航海運業法【済】
・筆記試験・口述試験対策インプット講義を受講(約2時間)
・筆記試験対策演習講義を受講(約0.5時間)
☑海上運送法【済】
・筆記試験・口述試験対策インプット講義を受講(約2時間)
・筆記試験対策演習講義を受講(約0.5時間)
(夜)
☑港湾運送事業法【済】
・筆記試験・口述試験対策インプット講義を受講(約1.5時間)
・筆記試験対策演習講義を受講(約0.5時間)
9月16日(土)
(午前)
☑港則法【済】
・筆記試験・口述試験対策インプット講義を受講(約1時間)
・筆記試験対策演習講義を受講(約0.5時間)
・「図解港則法(3訂版、國枝佳明・竹本義弘共著)」を通読
☑海上交通安全法【済】
・筆記試験・口述試験対策インプット講義を受講(約1時間)
・筆記試験対策演習講義を受講(約0.5時間)
・「図説海上交通安全法(新訂17版、福井淡原著、淺木健司改訂)」を通読
(午後)
☑領海等における外国船舶の航行に関する法律【済】
・筆記試験・口述試験対策インプット講義を受講(約0.5時間)
・筆記試験対策演習講義を受講(約0.5時間
☑国際航海船舶及び国際港湾施設の保安の確保等に関する法律(国際港湾施設に係る部分を除く)【済】
・筆記試験・口述試験対策インプット講義を受講(約1時間)
・筆記試験対策演習講義を受講(約0.5時間)
(夜)
☑船員職業安定法【済】
・筆記試験・口述試験対策インプット講義を受講(約1.5時間)
・筆記試験対策演習講義を受講(約0.5時間)
(2023.9.14追記)
苦手意識を持ちつつある2法令(船舶安全法、船舶職員・小型船舶操縦者法)について、15日(日)を弱点補強日に充てて集中的に勉強して第2クールの締めとする。
9月17日(日)
(午前)
☑船舶安全法
・筆記試験・口述試験対策インプット講義を受講(約2時間)
・筆記試験対策演習講義を受講(約0.5時間)
・製造検査等に関し、「船舶安全法の解説-法と船舶検査の制度-(有馬光孝編著)」を通読(P.1~80)
(午後・夜)
☑船舶職員及び小型船舶操縦者法
・筆記試験・口述試験対策インプット講義を受講(約3時間)
・筆記試験対策演習講義を受講(約0.5時間)
・13日のオンライン質問会において、海技試験の受験資格の1つである乗船履歴について理解に役立つサイトの案内を受けたので、学習計画に組込