「ART OF LIFE/X JAPAN」レビュー | brilliant-memoriesのブログ

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ドエルさんでもあり、V系好きのギャ男でもあり、60〜00年代の音楽好きでもある私がお送りするこのブログ。アルバムレビューや自作曲の発表、日常、ブログなどいろんなことをします!

「いろいろあった秋学期も終わり、いよいよ、春休みに入ろうとしています。おそらくバイト三昧の春休みです。」

 

さてさて、遂にやって参りました。今回は1993年に発売されたあの「ART OF LIFE」をレビューする回です。「X JAPAN」改名後に初めて世に放たれた今作は、約30分にも及ぶ超大作。収録曲が1曲のみなのですが、異例のアルバムとして扱われています。果たしてどのような世界が広がっているのでしょうか?

 

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1.「ART OF LIFE」(作詞:YOSHIKI 作曲:YOSHIKI)

 

X時代の3rd album「Jealousy」に収録される予定でしたが様々な事情が重なり収録が見送られてしまった幻の楽曲は、YOSHIKI様の半生を綴ったとされる29分にも及ぶ超大作。半生を綴ると言うことで、YOSHIKI様が初めて買ったと言われている、シューベルトの楽曲「未完成」のフレーズが要所要所に見受けられます。

 

「殺気・絶望・葛藤・荘厳...etc」といった、これまでのYOSHIKI様の楽曲に映った景色が一丸となって現れ、聴き手を魅了します。楽曲面はメタルサウンドとオーケストラが融合した壮大すぎる世界観。盛り上がりの「静と動」やテンポチェンジや変拍子も入り混じる展開に展開を重ねる構成、響き渡るTOSHIのハイトーンボイス、息の合ったツインギターソロ、しっかりと曲を支えつつ、要所要所で技を決めるリズム隊、ナレーションといった見所も盛りだくさんです。特にサビのメロディラインの突き抜け具合はこれまでのかつて無いほどの爽快さを味わえると思います。また、その後にもサビに匹敵するほどの美しい歌メロフレーズが飛び出すので、油断できませんよ。

 

激動の瞬間を駆け抜け、いよいよ後半戦。待ち受けているのは10分にも及ぶYOSHIKI様のピアノソロゾーン。基本的には同じフレーズを繰り返しますが、途中で崩れ落ちたり、遊び心がある音が重なったりと様々なアプローチが入ってきて、YOSHIKI様の心の中を映している感じがして芸術的です。後半にはストリングスに主役を明け渡し、再びバンドサウンドへ。虹色の羽を背に黄金の空へ羽ばたくような幻想的な世界観から、再び美しい歌メロフレーズを繰り返してしてフィニッシュです。いやぁ、凄い...初見の際はそれしか言えませんでした。

 

レコーディングの方もかなり難航したようで、全英詞の発音を含めたTOSHIのヴォーカルレコーディングから、HIDEちゃんが作曲したギターフレーズを譜面に書き起こしオーケストラに絡めたYOSHIKI様、さらに制作期間中に脱退したTAIJIのベーステイクからHEATHの新しいベーステイクを録音したり、その複雑さ故に普段はリハなしのオーケストラには異例のリハーサルを設けたりといった、(そういえばHEATHが加入して最初に制作に参加した曲がこの曲って普通に考えてエグいですよね。プレッシャーもかなりあったと思います。)精神と魂を削って作り上げたこの世界を生み出すのに3年7ヶ月...約4年の年月を要しました。

 

インディーズ時代から、常に高みを求めてきたメンバー達。更なる高みを求め、求め、求め続けた結果、遂にクラシック音楽を創り上げてしまいました。それはXで極め続けた音楽性の到達点でもあり、X JAPANの始まりを告げる楽曲ともいっていいでしょう。皆様もこの超大作に広がる、「名作」を超越した至極の世界を是非是非、堪能してみてください。

 

最後に、バンドスコアのこの曲の解説にはこんなことが書かれています。「この楽曲を再現することなど、不可能かつ無意味なことであるのいうことを認識しておこう。」

 

 

次回は最終回。アルバム「DAHLIA」のレビュー回です。今回もありがとうございました。次回もよろしくお願いします。