資産運用入門(基礎編)
いずれ使う日のために、余裕資金を運用しておくことも大切です。
余裕資金は、分散投資によりリスク回避しながら、年利○%程度を目標として、長期で運用していくのも良いと思います。
このあたりの考え方は、このコラムの中でも、分かり易くご説明していきます。
さて、皆さんも既にお気づきのことと思いますが、年金減少時代、大増税時代が訪れようとしています。
個人が使えるお金というのも、ますます限られてくることでしょう。
今、個人の生活のなかで、ファイナンシャルプラニングの重要性が増しています。
資産運用についての誤解
皆さんは、「資産運用」という言葉を聞いて、どのようなイメージを持たれますか?
昼間からパソコンの画面に張り付いて、株が上がった、下がったと、一喜一憂しているイメージでしょうか?
少し極端な例かもしれませんが、もしかすると、そういうイメージがあるのかもしれません。
私が、ファイナンシャルプランナー(FP)の仕事を説明するときに、「資産運用」という言葉を使うと、少し引かれたり、拒絶されたり、ということもしばしばです。
それは、「お金は汗水たらして稼ぐもの、働かないでお金を儲けようなんて、とんでもない」という、日本の文化と伝統が根底にあるからだと思います。
私は、この日本の文化と伝統は素晴らしいと思います。
この文化と伝統のもと、外国の人から働き過ぎといわれるほど働いて、世界第2位の経済大国を築いたと言っても過言ではないでしょう。
ただ、私は「資産運用」という言葉は誤解されていると思います。一般的なイメージと区別して、私の提案したい資産運用は、「守りの資産運用」と表現したほうが良いかもしれません。
リスクというと一般の方は、おそらく「価格変動リスク」だけ思い浮かべると思います。例の株が上がった、下がったというリスクですね。
しかし、専門的に言うと、リスクは「価格変動リスク」だけではありません。インフレリスク、為替リスク、金利変動リスク、信用リスク、流動性リスクなど、他にもあります。
例えば、戦後、日本にもハイパーインフレが起こりました。私の祖父は、明治生まれの人で、私が生まれる前に他界しましたが、このハイパーインフレの時には、「こんなもの何の価値もなくなった。」と言って、お金を庭に投げ捨てたそうです。
資産を守るためには、分散投資によりリスクを回避する必要があるのです。例えば、円の価値が下がるリスクを回避するために、外貨を持っておくというように。
仮に、お金を使う計画が10年先にあるのなら、その時の経済情勢がどうであれ、実質購買力が確保されているような資産運用プランを作ることを、FPとしての私の仕事としたいと考えております。
お客様の将来の夢や目標などを伺いながら、詳細な家計分析も行い、それらの夢や目標が実現できるような資産設計の考え方を売っていきます。
すでに、お気づきかもしれませんが、この「資産設計の考え方」というのは、すなわち「ファイナンシャル・プランニング」です。どうしても日本語にしたかったので、このような表現にさせてもらいました。
通常は、景気が良くなると、供給よりも需要が増えて、物価が上がる「インフレ」の状態になります。
逆に、景気が低迷すると、供給よりも需要が減り、物価が下がる「デフレ」の状態になります。バブル崩壊後の日本は、長い間、デフレの時代が続きました。
現在の状況については、物価が上がり、景気の後退が明らかになってきて、「スタグフレーション」を心配する声も一部で出てきています。
このスタグフレーションとは、景気が悪いのに物価が上昇する、生活していく上で「踏んだり蹴ったり」の状態を意味します。今後は生活を守るために、デフレの時代とは異なる、物価上昇に対応した資産運用や家計管理の対策を立てることも必要ではないかと思います。
今の公的年金は、2004年に導入された「マクロ経済スライド」によって、物価が上昇しても、消費者物価指数から一定率(0.9%程度)を差し引いた割合でしか受給額は増えません。例えば、物価が1%上昇したとしても、年金額は0.1%(1%-0.9%)しか増えないため、公的年金による収入だけでやりくりしていると、物価が上がれば、だんだんと買いたくても買えない状況になっていきます.
物価上昇に備える資産運用は?
一般に確定利付きの金融商品といえば、預金のほかに債券などがあります。例えば、個人向け国債は、預金金利に比べれば金利は高いものの、物価の上昇率には追いついていません。
預金も債券も、利息には所得税・住民税合わせて20%の税金がかかるので、さらに物価上昇率との差は開いてしまいます。
すなわち、確定利付きの金融商品だけの資産運用では、物価上昇時において、消費者物価指数を上回ることは非常に難しいといえます。
分散投資で資産全体の利回りを向上させる
では、このような物価上昇期には、どんな資産運用を行えばよいのでしょうか?
前述したように、確定利付きの金融商品で資産を「守る」だけでは実質的には目減りしてしまいます。
これに対処するには、投資信託・外貨建て金融商品・株式などの、価格が変動し元本割れのリスクもあるけれど、大きなリターンも期待できる金融商品に投資することが必要になってきます。
一般に、各金融商品の価格変動のしかたは異なるので、複数の特性の異なる商品や銘柄に分散投資すれば、価格が下落しても資産が減少するリスクを減らすことができます。
世代や家庭によって異なる運用方法
物価上昇期においても、資産運用の際は、保有資産、家庭状況、使用目的、年齢などで適する運用方法は異なります。
そのため、むやみに大きなリターンを期待できる金融商品(リスクのある商品)で運用すればいい、というわけではありません。
どの世代であれ、近々使う予定の資金(住宅購入資金、進学資金、自動車購入資金、生活費等)をリスクのある商品につぎ込むわけにはいきません。いざ使おうというタイミングで価格が下落していたら、必要資金が足りなくなる可能性があるからです。
また、保有資産そのものが少なければ、投資資金の価格変動による一時的な減少が、そのまま生活を圧迫する可能性もあります。
リスクのある商品(投資)には、長期間(少なくとも5年)、手をつけなくても構わない余裕資金を回しましょう。
物価上昇に備える家計管理は?
最後に、物価上昇の際には、資産運用だけでなく、家計管理にも注意することが必要です。ある意味、家計管理は確実に効果があるので、今一度チェックしてみましょう。
▼金利動向に応じて、ローンを見直す
住宅ローンは、金利上昇期なら長期固定のローンを組めば、金利負担を長期に低く抑えることができ、一方で金利下降期なら変動金利や短期固定金利のローンを組めば、金利が下がるにつれてローンによる負担も減っていきます。
一般的には、物価が上昇してくると、長期金利が上昇する可能性が高いのです。そのため、ローンを借りている方は、金利動向に関するニュースに注意し、状況に応じてローンの金利タイプを検討し、また借り換え等も検討することが必要になってくるでしょう。
▼資産運用だけでなく、家計支出の引き締めも並行して
物価高に備えて、資産の運用方法を変えることは有効なのですが、運用の成果を得るにはある程度の時間がかかります。すぐにできて、効果がでる対策は、やはり、「家計支出の引き締め(節約)」です。ガソリン価格や食品価格の高騰対策として、自転車を使う、遠出を避ける、公共交通機関を使う、特売等で安値買いをする、外食を控えるなど、節約対策も資産の運用方法の見直しと並行して行っていきましょう。
平成22年12月2日