スルリと右に倒す
大きく綺麗なカーブが、その道幅と路面と程良い登り傾斜で
俺とマシンを抱きとめる
自然に返る右手首
きちんと下拵えされた加速が、温かみを持って世界の壁を越える
穏やかな気持ちのまま、何の迷いもなく取ったラインでセンターに寄り
アクセルを戻しただけで態勢を整え、流れ続ける路面に吸いつくように左に倒す
( ・・・凄い)
流れるような一連の動き
全て
全てがソレを可能にしている
車格
重心
エンジン
トラクション
人間が乗った状態のシート高
ホイールベース キャスター角
ハンドルの幅・位置・垂れ角
フレームの幅や、タンクの張り出し部分までが
計算された無数の手摺のように
これじゃ、R1はただの丸太だ
何だ?
何なんだ
俺の為のオーダーメイドなのか
長い降り
レブリミットは守る
いや、それ以前に
別にそんなに加速は要らない
速度が乗っている
熱が無い
速度と時間と空間が、見事に融合している
降りきって、僅かに登りながら また優雅な右カーブ
始まりから終わりまでが、繋がったまま一瞬で
何よりも、この
“ スピードの感触 ”
脳が開いて行く
長い長いS字
右に腰を軽く振ると、丸く丸く後輪がステップを刻む
登りきって、左にスパンと落ちる
そのまま何処までも伸びて行くように
ずっとずっと
ミラーをチラリと見る
居ない
僅かにアクセルを戻す
俺は
この感じを知っている気がしていた
自由自在
コーナーが迫れば、その先のRを値踏みし
進入を探り
綺麗なアスファルトと 燃えるような緑を全身で飛び越えながら
バイクと1つになって 何百何千というコーナーと直線を駆け抜ける
加速
減速
切り返し
進入
旋回
そして、また加速
【車格がデカい
加速がキツい
ブレーキが激しく、車体が重い】
【何で、こんなになっちまったんだよ
あの時
キーコに借りたCBRは、こんなんじゃ無かった】
【パワーウェイトレシオ
上がる馬力 増える車重 膨大な熱量】
そして
【外観は最高
データ上の馬力も、車重も】
だが
“ 本当にコレで良いのか? ”
買った直後は、不安だった
「コーナーは
待たねぇからな」
俺は、ニヤリと笑った
( 続













