すかいうぉーかー -3ページ目

すかいうぉーかー

CRAZY=SPELL−BOUND









続々とバイクがやって来る


国産もBMWもドカもハーレーも




250クラスも、本当に増えた

なんか、昔「メーカーは250と400cc作れ」みたいな事を書いた気がするが
まさに、こういう事だ

皮切りだったNinja250
カワサキの偉業






缶コーヒーを買い、しばらくみんなでダベる

やっぱり 表情は楽しげで、いつまでも話題は尽きない



初めて来た頃は、ここにもまだガソリンスタンドがあった
十国峠の入り口にもあったし、アッチにはコンビニまであったのに


今現在、バイク業界は少しずつ上向きになって来てると言う

ヨコさんの店も、今や従業員が3人だ







Yが「実は俺、ちょっと前にS1000RR (BMW) 試乗したんすよ」



俺 「買えよ。良いぞ? 今のバイク」



Y 「えぇー?(笑)」







そんな感じで30分もすると
霧が綺麗に晴れた





ウッちゃん 「パツ」


俺「ん?」



ウッちゃん「ちょっと走ろうよ」


















俺「いいよ」







一瞬

皆が少しだけ緊張した気がする





あの時以来か

コイツとココを走るのは









シチュエーションは全く違うが


目は “ ちょっと  やってみようよ ”と言っている





片やハイパーモタード

片や慣らし中









だが、ウッちゃんの方はフルエキの入ったフルパワーだ

正直、有利不利はサッパリ予測出来なかった






逆に、お互いに興味があるのだ











異質だったろう



GSX-Rでも CBRでも R1でも無い

この2台が、そういうつもりで駐車場を出て行くなんて

この2人が “ そういう2人 ”だなんて



周りのライダー達から見たら、分かる訳も無いのに


何となく、見られているのが分かる






俺は先を促され、ゆっくりと出口に前輪を付けると
緩慢な動作で左右を確認した





( 右か? )




















いや






























俺は、あの時と同じ



冷川方面へ向かって、海面に飛び込むようにアクセルを開けた






( 続



























スマホで見るウェブカメラの映像は、真っ白なままだった




少しずつ休憩は入れ、それも無駄そうだと分かり
皆が「早く行きましょ」って顔を俺に向ける




ツーリングと、便宜上 表現はしているが

俺達のソレは、“走り”である






例えば、俺みたいな言い出しっぺに乗っかり
好きな愛車で繰り出して


何も強要されない、この “ツーリング” で

各々が好きなように走り、話したい事を話し、帰りたい時に帰る














走りたいんだって











十国峠

コーナーの先が白く消え始める



一般車両が出始めて
俺は、構わずソレを抜き始めた





( そろそろ、好きにさせて貰うか )






見通しの良い直線で、頭のギアを1つ上げる

風を巻き込むような音がエンジンから聴こえた瞬間に、3台の車が背後に消える




左→右と 蛇のようにアスファルトがうねる


感覚にも心にもタップリと余裕を残し

軽くブレーキを当てながら、さっきのようにギアを落とさず 綺麗に車体を寝かすと

そのまま、切り裂くようにコーナーに飛び込む







「・・・!? 」





信じられなかった

ラインが

幾らでもある 見える





どうした?

いつも、俺を縛り付ける あの力は何処に消えたんだ?




更にギアを上げる


シフトを蹴り落とし、手首に力を込め
鋭く澄んだ清流の中に全身を委ねる



30

いや、10cm単位でラインが変えられる



朝イチ

行きの十国だぞ?



有り得ない






もっと


もっとだ







まるで、泉のように



スピードじゃなく、楽しさを渇望し

身体を動かし、感覚を研ぎ澄ませ、アクセルを動かす量が増えて行く










コレ・・・


多分、速いぞ











決して、直線でガバ開けはしてない


だが、クネクネ曲がる峠道
A地点からB地点で考えれば、このコーナーリングと立ち上がりのキレ



何より、今は路面は完全なドライでは無く、30m先は霧である





それでも、別に無理はしていない

突然イン側に駐車車両が出て来ても、ぶつかる事無く処理出来ると 感覚で分かっている









伊豆スカの入り口が見えた

料金所で、行き先を「冷川」だと告げ
金を払いチケットを受け取る



一旦停まり、サイフをしまい
グローブをし直すと、背後を振り返る







俺はもう、待たなかった














亀石パーキング



次に来たのはYで、それは15分も後の事だった






(続















「こんな、道だったっけか・・・」




思ってたよりも道幅が広い

脇にはそれなりの濡れ落ち葉も溜まっているが、それでも充分に走れるぐらいに




「椿ライン」

俺は、数える程しか走った事は無いのだが

元々「箱根に走りに」と言えば、まずはココだ




傾斜とコーナーのバランスが良く
中低速メインではあるが、250から大型までが「コーナーリング」を楽しめる懐の深さは素晴らしい



朝イチのウォームアップにも、ちょうど良いが

俺は、ニューマシンの挙動と操作感に 殆どの神経を割いてた









( ・・・なんだ? )





こんな 感じだったか? 椿って


同じ事をまた













「アレ?」





ふと、ミラーを見ると
誰も居なかった





おかしいな
後ろはウッちゃんだった筈だ



まだ、全然ペースは上げてない

誰かコケたのだろうか





10人を越える集団だ

何かあれば、連絡なりなんなりあるだろうと
構わず下まで降りる









5分程して、ようやく皆が来た

このまま湯河原パークウェイを上がるので
手でヒラヒラとやりながら、バイクに跨り直すと
ウッちゃんとYが、元気よく飛び出して行った



(もうちょっと、ペース上げてみっか)







湯河原は、更に路面が悪い

下手したら、おれが最初に来た時から 一度も補修とかしてない

でも、260円も取るので 普段は殆ど使う事も無い


レイアウト自体は悪くないのだが、そういった理由でペースは上げ難いし
下りなんて、半分近くがまともには飛ばせない


コレは登りなので、まぁやろうと思えば攻める事も出来るが
今日という日が始まったばかりなのを考えると、そこまでやる気にもならない









( あれ?)




適当にGを張らせて走って行くと、すぐにYが道を譲る


なんだよ






1つ先のコーナーをウッちゃんが消える

( 慣らしがちょうど終わるって言ってたな
全開状態、見せてもらお )




ギアを1つ蹴り落とし、軽く手首を捻る



優しく大きな手に押されたような加速

マイナスイオンたっぷりの 朝露に濡れた山路を、気持ちの良い勢いで登って行く




左コーナー




ツツツツ・・・と、進入を探り
アクセルを戻すと






(アレ?)





俺はブレーキをかけずに、アクセルを戻すだけでシフトダウンもせず
そのまま腰をズラして、コーナーに入った










(・・・良いんだよな? コレで)




別に何の不満も無かった

開ければ立ち上がりでエンジンはしっかりとトラクションを生み

綺麗に余裕しゃくしゃくで、結構な登りを上がって行く



そんなに飛ばしてはいないのだが

別にGが抜ける感じも無く






その感じのまま

綺麗に落ち着いて、コーナーの入り口に「ヒュンッ」と入っては

生クリームを指でなぞるように、綺麗にコーナーを抜ける


立ち上がりでアクセルを開ければ、嘘のように視界は斜線で埋め尽くされ
あっという間に、次のコーナーにステップを刻む












コレ







何か、すげー楽しくないか?











俺の頭の中を
今までに走った様々な記憶が明滅する



頼もしさは、リッタークラスのソレ

だが、ステアリングヘッド周りや足首一帯の軽さと自由度は どちらかと言えばNSRに近い



ウエストの細さ タンクの形状 ステップの位置



倒し込みは鋭いと言うよりも軽く

綺麗に収まった両足は、ありとあらゆるコーナーのタイプに応じて
無数の手摺でもあるかのように、自由な形で車体をホールドさせてくれる



いつもの朝イチのウォームアップは
少なからず、恐怖と慎重さに身体が強張っていたのに

別にそういう感じは無くて、何もかもが楽しい







勿論スピードは遅いだろう

つまり、遅くても楽しめるバイクだから こんな感じに













「アレ?」















気が付くと



俺はウッちゃんを抜き去り

一人で料金所に停まっていた






(続

























ひび割れが目立つ、古い路面だった


厳かにアクセルを捻り
山頂付近のガスを気にかけながら、恭しく登り始めると

道幅もレイアウトも、普通の峠とは全く違う




( なるほどねぇ)



車が、こぞって走りに来る訳である


ゆったりとした高速のコーナーの連続


かと思えば
大きな大きなRのカーブが 綺麗にバンクを付けられて、雄大に曲がって行く




















作られた時の事は全く知らないが

このコースを見れば「気持ち良くトバしてってくれよ」と言われているようにしか思えない


確か、貸し切ってのヒルクライムとかもやってた筈だ






朝イチな上に、たかだか15km程度の有料道路としては 結構なお値段のせいか

走っている車もすれ違わないし、追い付く事も無い

完全な貸し切りだった





(今度は、ちゃんと来よう)







サプライズの為に新道を避けたいだけで、通ったのだ

ココに来る走り屋は、何往復もするらしいが
今日は通過するしか無いし、いきなり飛ばす気にもなれなかった



大人しく、だが 気持ちよく箱根の山を登って行く





それでも、10分もすると
大観山のラウンジが見えて来た

やはり、上の方は白くガスっている

気温も大分低い





ちょうど、みんなと待ちあわせている駐車場の反対側に出ると 携帯を出してメールを確認する


“ okですよ ”





ニヤリと笑うと
そのまま駐車場に回り込み、コチラを見て手を上げたウッちゃんの方に前輪を向ける


そのまま、横につけると ユックリと降りてメットを取った







10以上の視線が、完全にコチラを凝視している


ニヤニヤとポカーンの二種類だった




心の中で小さくガッツポーズ

会心である








フトシさん 「コレかぁあああああ!! 」



Y 「何ですかコレ。どうしちゃったんですか??」





「カッコいいだろ(笑)」








みんな、イイ歳だ


子供のようには・・・群がってるね うん






例えば、アラブさんが乗って来たのはCBXの400だ

うわ、何コレっつーぐらい綺麗で
きちんとRPM管も新品が付いてたりするし

ターミはアグスタに乗る事は殆ど無く、今日もWR250

同じWR250のフトシさんは グラストラッカーからのWR



久し振りのYは、もはや動くバイクがコレだけだからとDトラだったりする

ナカさんはGPZ400
タニさんはGPZ750 (笑)


ウッちゃんとモトさんなんか、ハイパーモタードだ




もはや、何の統一性も無い










そうなのだ
人間ってのは、バイク乗りってのは

結局 行き着く所に行き着くと、自分の中での1台ってのが 決まって来るのだ



買える・買えないや

乗れる・乗れないや


単純なソレだけじゃなく




ノムさんなんか、CRMだけを 部品取りも含めて3台持ってるのだから











だからこその

俺のニューマシン



意外性は高いが
誰も「変だ」とも言わない

CBXやGPZに比べれば、全然今までと変わらない




Y 「アレですね。 このバイクだと、日本一ガラの悪い乗り手になるんですよね (笑)」





何処まで行っても、「パツはパツだな」と

その、俺の行き着いた1台がコレってのが 面白くて仕方ないのかも知れない




実車をマジマジと見るのも初めてだろうし

そりゃあ、宝石みたいに美しいバイクだ



煙草を吸いながら、アレコレと話をし




何人かが、結構寒そうなので

もう少し晴れて、気温も上がるのを待つべと

ラウンジの中に入ろうと、歩き出す





建物の中に入った途端だった


フトシさん「パッちゃん! パッちゃん!」









なんすかー?















「R1-Mがあるよ!!!」













































ふざけんなぁああああああ!!!!!






↑ 美味しいとこ、全部持ってかれた





(続


















環八から、左折した途端に 左下に向かって始まるジェットコースター


息巻いているプリウスか何かを、インから抜き去りながら

「すっこんでろ」と背中で言い放つ




視界いっぱいに “ 世界 ” は開け

両腕を広げて「ようこそ」と、俺を迎え入れる



SPORTSモードに切り替え、アクセルを開けて加速し、リミットの6500を一度 感覚で確認する


第三京浜は数年ぶりだったが
まるで昨日の事のように、見知ったデカいS字が向こうから飛んで来るのが見えた






「♪」



ニヤリと笑いながら、子供のように胸を踊らせ
一旦、わざとアウトに跳んでから 一気に倒し込み

大きな3車線を目一杯に使って、マシンを射出角度に






(行け)







流れるアスファルトは、一気に奔流に


日常を突き破り、空気は猛々しく唸り

全ては霞んで、背中越しに見えなくなる






全開で160~170

慣らしが終わっても、今度は国内仕様のリミッターがある

最終的な最高速度や、馬力の事は 何も調べていないが、 何の不満も無い






今までとは違う 不思議な感覚




何かに飢えたり、それに追い立てられる
いつものヤツとは違う



まばらな車達の間を、泳ぐように縫いながら

静かで鋭い高速飛行が、何処までも続いて行く







ただ走る事、純粋にそれが楽しかった










保土ヶ谷の料金所を抜け、横浜新道へ

ここは急に狭くなって 路面も悪く
なかなかのキツさのカーブな為、毎回必ず不安になる






( 結局、変わらなかったな )





『HIGHWAY MAGICIAN』のモデルになったオヤジの顔が浮かぶ



このルートで思い出すのは、決まってあの人だ


とぼけた茨城弁で、バイクのセオリーを無視した持論を話す

そして、それを実際にやってしまうから 誰も文句は付けられない





砕け散った、ZZ-Rのミラー

高速道路で本気出して、追うのを諦めたのは
後にも先にもあの人だけだ



カトーも 新湘南の最後の超高速コーナーで、「 R6で270出てるのに、GPXにブラックマーク残しながらチギられました」って笑ってたっけ










下道で134号に抜けて 海岸線を走るルートは、キーコに教えてもらった

西湘バイパスで、ジワジワスピードを上げて 最終的に置いて行かれたのはR750のヒロさんだ







あの頃は国府津って名前だったなと思いながら
西湘パーキングに入る



水平線の向こうに、朝日が顔を出していた




パーキングの中は、既にバイクと車でごった返している

エランやスーパー7も、休みの朝にこの辺まで来れば珍しくも無く

10台以上のBMWのツーリング集団を眺めながら、煙草に火を点ける




( ビーエムも、増えたよなぁ)



本当に、良く見かけるようになった

渋いオッサンしか乗らないもんだと思ってたのが
今や、S1000RRを女子大生が乗る時代だ




西の空には箱根の山が
黒黒とした重厚なシルエットを横たえている



聖地巡礼のスタート地点は、やっぱり海老名じゃなくてココだと思う

厚木回りでは、この気持ち良さは味わえない


俺のバイクですら
ここまで来てしまうと、そうは珍しがられない






缶コーヒーを飲みながら
モトさんにメールを入れる




「これから、上がります。 一応 みんな揃ったらメール下さい」








俺が幹事だ
にも関わらず、もう あと5分で待ち合わせの時間になる



俺は、わざと遅れて行くつもりだった


みんなを驚かす為に





まだ、ウッちゃんとモトさんぐらいしか
俺がバイクを買い換えたのは知らないのだ













西湘バイパスの終わりが見えた

左右に分岐するのを、早川方面へ



そして

これだけ来ていても、一度も行かなかった方へと曲がる

























「さて。」






箱根ターンパイク


登るのは、初めてだった





(続










黒く濡れた駐車場にバイクを停める




夜半まで、雨は降ったらしい


僅かに朝靄が立ち、明るくなり始めた空

ブーツの踵で砂利を踏み鳴らしながら、境内の脇を抜ける




お彼岸の時のだろうか

幾つかの缶コーヒーが並び、線香を焚く所には封の切られたマルボロのボックスが1つ



苦笑しながら、同じマルボロと缶コーヒーを置く


もう、コンビニじゃ CAMELなんて見かけないし
駐車場の自販機にはBossは無く、買ったのはGEORGIAの微糖だ



プルタブを起こすと、「パキュ」っと音が響く
マルボロも封を開け、1本点けて 線香台に置く


少し考え
「1本貰うぞ」





青みのかかった明け方の薄闇の中に、紫煙が揺蕩う

しゃがんで、しばらく煙を燻らすと
いつに無く、声を出して話し掛ける



R1を降りた事
新しいバイクの事

Nさんに会ってきた事も、皆の近況も









声に出したのは

心の中で思ってても伝わってないかも知れないと思ったからだ



あの頃と変わらぬとぼけた笑顔で

墓石に座って、偉そうに足を組みながらコチラを見ているとしても







「・・・。」



もしくは










「なぁ、オマエ もう生まれ変わったのか?」






10年以上の月日が経っている



次も人間かどうかすら分からないが

もしかしたら、何処かでオギャアっつってたり

小学校の校庭を走り回ってたりするのかも知れない









俺は、今日が本当のシェイクダウンになる新車の無事を頼もうとして、やめた





それは、俺が自分で達成する事であり

本当に厳密に言えば、運なんて関係ない






携帯灰皿でマルボロを揉み消すと
苦笑しながら 立ち上がる








「お前が、本当にどっかで生まれ変わってたらさ」




















出口を向いて、歩き出す




濡れた砂利の音が静かに響く


















「また、バイク乗るんだろうな 」







振り向かずに、手をヒラヒラさせながら

ボソりと呟いた





(続





























さて 諸君


準備は良いか?












































ボヤボヤしてっとブチ抜くぜ?












『なんで、バイクなんすか?』


とか言われてもさ



































もう、随分遠くまで来ちゃったから





安易に言葉で表現出来なくなってたよ