LAST HEAVEN #5 | すかいうぉーかー

すかいうぉーかー

CRAZY=SPELL−BOUND























スマホで見るウェブカメラの映像は、真っ白なままだった




少しずつ休憩は入れ、それも無駄そうだと分かり
皆が「早く行きましょ」って顔を俺に向ける




ツーリングと、便宜上 表現はしているが

俺達のソレは、“走り”である






例えば、俺みたいな言い出しっぺに乗っかり
好きな愛車で繰り出して


何も強要されない、この “ツーリング” で

各々が好きなように走り、話したい事を話し、帰りたい時に帰る














走りたいんだって











十国峠

コーナーの先が白く消え始める



一般車両が出始めて
俺は、構わずソレを抜き始めた





( そろそろ、好きにさせて貰うか )






見通しの良い直線で、頭のギアを1つ上げる

風を巻き込むような音がエンジンから聴こえた瞬間に、3台の車が背後に消える




左→右と 蛇のようにアスファルトがうねる


感覚にも心にもタップリと余裕を残し

軽くブレーキを当てながら、さっきのようにギアを落とさず 綺麗に車体を寝かすと

そのまま、切り裂くようにコーナーに飛び込む







「・・・!? 」





信じられなかった

ラインが

幾らでもある 見える





どうした?

いつも、俺を縛り付ける あの力は何処に消えたんだ?




更にギアを上げる


シフトを蹴り落とし、手首に力を込め
鋭く澄んだ清流の中に全身を委ねる



30

いや、10cm単位でラインが変えられる



朝イチ

行きの十国だぞ?



有り得ない






もっと


もっとだ







まるで、泉のように



スピードじゃなく、楽しさを渇望し

身体を動かし、感覚を研ぎ澄ませ、アクセルを動かす量が増えて行く










コレ・・・


多分、速いぞ











決して、直線でガバ開けはしてない


だが、クネクネ曲がる峠道
A地点からB地点で考えれば、このコーナーリングと立ち上がりのキレ



何より、今は路面は完全なドライでは無く、30m先は霧である





それでも、別に無理はしていない

突然イン側に駐車車両が出て来ても、ぶつかる事無く処理出来ると 感覚で分かっている









伊豆スカの入り口が見えた

料金所で、行き先を「冷川」だと告げ
金を払いチケットを受け取る



一旦停まり、サイフをしまい
グローブをし直すと、背後を振り返る







俺はもう、待たなかった














亀石パーキング



次に来たのはYで、それは15分も後の事だった






(続