NHK連続テレビ小説、「カムカムエヴリバディ」が終わった。最後に、終戦後の廃墟で安子やお父さんと出会った少年が「たちばな」の名を継いでいることが分かったり、安子とるいがラジオ英会話の放送を聞かせてもらっていた民家のお孫さんがNHK職員で登場し、ひなたと新しいラジオ英会話の番組について語ったりと、出会いや人生の不思議を感じさせる幕切れになっていた。
私にも何度かビックリした出会いがある。20代後半のラグビー現役選手だった頃、総合商社の選抜チームと製鉄会社の選別チームによる親善試合があり、商社チームで出場したときのことだ。ゲーム後のパーティーで製鉄チームの初老の紳士と隣り合わせ、次のような会話になった。
「君はどこでラグビーをしていたの?」
「同志社です。先輩はどちらで?」
「早稲田です」
「私の父が早稲田でラグビーをしていました」
「なにっ? 君の名は?」
「○○です」
「なんだ、君は○○の息子か。僕は○○の同級生だ」
当時は携帯などなかったので、帰宅してから父に報告の電話を入れたが、父は早速、私が出会った同級生に電話し、久しぶりの会話を楽しんだらしい。「世間は狭いし、○○という名字は珍しいから、お前(私のこと)、悪いことするなよ」という父の言い付けを守っていて良かった(笑)
著者の谷口真由美さんは法学者で大阪芸術大学の客員准教授、ご専門は国際人権法やジェンダー法とのことだが、2019年6月に日本ラグビー協会の理事に就任され、今年スタートしたジャパンラグビーリーグワンの立ち上げに深く携われた方だ。副題に「大阪のおばちゃんが見た日本ラグビー協会失敗の本質」とあったので俄然興味が湧いた。
面白くて一気に読んだ。最近は規模の大小に拘わらず「おっさん」がいろんな組織に増えているし、私自身にも「おっさん」要素があって、割りきれば楽になれるのにと思いながらも「おっさん」化の誘惑と日々戦っているから、谷口先生のおっしゃることが良~く分かる。同時に、「ラグビーがすっかり変わったこと」を思い知らされることにもなった。
私が出会った50年前のラグビーは「アマチュアリズムの牙城」と言われ、しかも「マイノリティな競技」でルールを知る人など殆どいなかったし、大学と企業が脈々と発展維持を支えてきたスポーツだったように思う。それが次第に商業化し、競技者が増え、結果的には高いレベルで競われるスポーツになったが、それでも世界からは立ち遅れているのだから、野球やサッカーのようにプロ化が必要ということだろう。
そんな中、谷口先生は未来の完成図から必要と思われる課題とプロセスを提示されたが、残念ながら、現実との差を埋める人々に恵まれず、最終的には孤立されたのかと思う。歴史や実績のある組織を変えるのは難しい。清宮さんが外部の組織や人を使おうとしたのは良く分かるし、谷口先生も自分が作った組織で進めたかったことと思う。
ソニア・リキエルだったか別のデザイナーだったか、こんなことを言っていたように思う。「デザイナーは大変なの。一歩先を行きながら、今を生きるんだから」。
タンポポの花を見つけた。
花言葉は「幸せ」、「真心の愛」、綿毛が恋占いに使われて来たことから「神の信託」、更には「タンポポと南風」という物語が出て来て、「別離」という花言葉もあると紹介されていた。
「タンポポと南風」
とても昔のこと。怠け者の南風は、いつもよのうにのんびりと木陰に寝そべり、穏やかな風を吹かせていました。ある日、南風は美しい黄色い髪をした少女に一目惚れし、彼女のいる場所から離れることなく、毎日うっとりと眺めて過ごすようになります。南風は気づいていませんでしたが、少女はタンポポの花でした。やがて月日が経つと、黄色いタンポポが綿毛になるように、黄色い髪の少女は白髪の老婆になってしまいました。その姿をみて悲しくなった南風がため息をつくと、綿毛が全て飛ばされてしまい、南風は2度と少女に会うことができなくなってしまいました。
何とも悲しい話だが、タンポポは春の再来を知らせる花だから別離ではなく「再生」、一つの花から多くの綿毛が生まれるから「子孫繁栄」、綿毛が風で舞う様子から「大地の産卵」はどうだろう。私としては、誰も世話などしないのに、毎年鮮やかな黄色の花を咲かせるタンポポの生命力を讃えたい。


