先週の土曜日、同志社混声合唱団のクリスマス会で「タイスの瞑想曲」を弾いた。体育会ラグビー部のOBが合唱団に入ってくるだけでも珍しいのに、バイオリンまで弾くとは本当かと相当注目下さったようだ。


恥ずかしながらそのプレッシャーに負け、右手に力が入って音は震えるは、左手は固くなって間違うはで後悔の残る演奏になってしまったが、それでも大きな拍手を送って下さった合唱団の皆さんには感謝しかない。ありがとうございました。



驚いたのは、演奏のあと、何人かの方が話し掛けてこられたことだ。子供の頃にバイオリンを習って居られた方、最近習い始めたという方、同じく最近フルートを習い始めたという方、その歳で良く再挑戦しようと思いましたねと褒めて下さる方、そして、来年も是非聞かせてねとおっしゃって下さる方。思いきってバイオリンを弾いたことで、メンバーの方との距離が急に縮まったように思え、本当に嬉しかった。


もう一つ、さすが音楽をたしなんで来られた方々で、私がバイオリンを構えた瞬間に針一本落としても聞こえそうなほど会場がシーンと静まり返った。それが私にはものすごいプレッシャーになったのだが、私のような初心者にもそうして下さるのかと感激した。来年はこのプレッシャーを乗り越え、もう少し上手に演奏したい・・って、頼まれてもいないのに厚かましいにも程がある(笑)

平尾誠二君と山中伸弥先生の出会いは偶然から始まり、しかし、互いに深く惹かれ合うものがあり、そこに平尾君の生命を奪うことになる病が襲い掛かり、結果として、もの凄く熱くて濃い一年になったのだと思う。読み進む内に、何度か泣きそうになる個所があった。

 

平尾君も山中先生も素晴らしいお人柄で、更にはそれぞれが素敵な家族を持っておられ、互いに心を許し、信頼し、相手のことを自分のこと以上に思いやるシーンには胸が熱くなった。深く信頼し合うことで、感動的なドラマが生まれるということか。



山中先生が平尾君の思想を次のように説明されている。


「彼は著書『理不尽に勝つ』の中で、ラグビーボールが今も楕円形なのは、世の中というものが予測不可能で理不尽なものだから、その現実を受け入れ、そのなかに面白みや希望を見出し、困難な状況を克服することの大切さ、素晴らしさを教えるためではないだろうか・・・と述べています。」

 

一方の平尾君は、山中先生との対談で次のような質問をし、山中先生の思想を引き出している。

 

「iPS細胞の研究でアメリカはものすごい額の研究費を出しているんでしょ?」

 

「まともにいったら負けるのは分かっている。でも、やめるわけにはいかない。日本はアメリカより少ないとはいえ、何十億円という税金を使わせてもらって綱引きをやれと言われているんですから。相手は百人でこちらは十人、力勝負で挑むのはちょっと無理なんで、そこはもう工夫するしかない。(中略) だから、僕らは綱引きの綱を作るようなことを考えているんです。アメリカと綱引きしたら負けます。でも綱は日本でしか作れないんだ。綱がなかったら、綱引きはできひんやろ、というようなものを。」

 

ここを読んで、「なるほど、二人は惹かれ合った筈だ」と思った。ラグビーも、まともに当たったところで体格やフィットネスに優る海外勢にはなかなか勝てない。だから、綱引きの綱のようなものを平尾君も探し続けていたのだろう。


彼が最後に遺した言葉は「頑張る」だったようだ。最後まで戦い続けた平尾君に勇気を頂いた。合掌。

相撲界の事件の影響か、体育会や運動部が閉鎖的だと言われることが増えたように思うが、これには反論がある。

例えば、日産自動車やSUBARU、神戸製鋼所など日本を代表する名門大手企業の不祥事が相次ぐが、長い間、不正が表面化しなかったのは、組織の中に閉鎖的なところがあったからだろう。同じ組織で苦労や喜びを共にしていれば仲間意識が芽生えるし、組織への思い入れも深くなる。その結果、仲間や組織の為だと言われたら、自分の考えや感情を抑え込むこともあると思う。だから、どんな組織にも閉鎖的になる傾向がある訳で、決して体育会や運動部に限った話ではない。

それから、時に社会のルールや常識、法律に逆らってまで仲間や組織の方を優先してしまうのは、多分、組織の中で過ごす内に、あたかも永遠にその中にいるような錯覚をしてしまうからではないか。日本には終身雇用制度が定着していたから、特にその傾向が強かったように思う。その点、運動部で過ごす期間は高校で3年、大学でも4年でトコロテンのように追い出される。その後は自由の身になって、何でも話せるのだから、運動部の方がよほど開放的だと思う。以上、体育会や運動部を代表して反論させて頂きました(笑)

たとえ終身雇用でも定年退職の日は訪れ、その後は一人の社会人に戻るのだから、会社も一つのパイプのようなものだ。入ってもいずれは出ていくのだから、そこにいる間に自分を変化、成長させ、より魅力的な人間になって出ていく・・そういう心構えでいた方が良いように思う。

黄葉に紅葉が一枚。