目的のためには手段を選ばず、という勇ましくも聞こえ、又、野蛮にも聞こえる言葉があるが、たまたま、目的と手段について考えさせられる機会があった。これだ👇(笑)


都内の百貨店で発売キャンペーンをしていたと思える女性から「試してみませんか?」と声を掛けられた。俄然、興味が湧き、言われるままシャツをたくし上げてお腹と背中を出し、器具を装着してもらった。

「では、スイッチを入れますね」という声と共にお腹に衝撃が走り、それが強くなったりリズムを変えたりしながら異なる筋肉に刺激を与えて行くのが分かる。その刺激に対して自然に筋肉に力が入るから、確かに装着しているだけで筋トレになる訳だ。

「毎日23分間、これを8週間続けるだけで効果が現れます」という説明を受け、手渡されたのがこのパンフレットだから、財布に余裕があればその気になる人もいるだろう。ただ、私の場合は「こういう身体にして何をするんだろう」という疑問が湧いてしまった。私にとり、この装置で腹筋を鍛えることは目的にならない。かと言って、手段として利用するにもその先の目的がない。そこまで考えてハッとした。

体育会運動部は勝つことを目的としている。それで良いと思う。では、勝つための手段は何か。答は簡単で、強くなることしかない。これは自らの意志で出来ることだし、団体競技なら一人ひとりに求めるべきことだ。今更ながらになるが、日大の選手も「強くなれ。速くなれ。しつこくなれ。」と指示されていたら、どんなに幸せだったろう。だから、目的のためには手段をきちんと選ばないといけない、ということだ。
昨夜は合唱団の練習に参加した。練習が終わり、お茶の時間になると、早速、アメフトに関する質問を受けた。私の見方は間違っているかも知れません、と前置きした上で、次の通り話した。

①指導者からの指示はあったか?

あったと思います。そもそも、試合に出たいと思う選手は「好プレー」を見せたいと思うものです。私はそうでした。良いところを見せようと頑張りました。例えば、あなたが監督だとすると、ミスが多い選手をレギュラー選手には選びませんよね? 同じように、ラフプレーを犯す選手や、退場処分を課されるような重い反則を取られる選手もレギュラー選手には選びませんよね? そういう選手が戦力ダウンやピンチを招くんですから。そう考えると、あの日大の選手に「好プレーは見せなくて良い。相手の選手を負傷させることがお前の使命だ」と誰かが言わないと、選手自らが思い付いて出来るようなプレーではないと思うんです。

②ボルさんが日大の監督ならどうしたか?

私は監督の器ではないので想像できません。ただ、私の恩師、O先生ならどうされただろうかと想像しました。学生思いの優しい方でしたので、多分、「自分の指示がまずかった。彼に指示を誤解させ、暴走させてしまった自分に全責任がある。」と直ぐに名乗りを上げ、行動を開始し、負傷した選手だけではなく、負傷させた選手の未来も出来るだけ守ろうとされたのではないかと思います。それが大人のあるべき姿だ、というような哲学をお持ちだったように思います。

③運動部は勝利至上主義で良いのか?

良いと思います。勝ちたいから苦しい練習にも耐えられるし、いろいろ知恵をしぼったり工夫もするのだと思います。ただ、連戦連勝などあり得ない話で、運動部の優れたところは「どんなに頑張っても勝てないことがある」という不条理を学生に教えられることではないかと思います。私も高校までは学業も運動もほとんど負け知らずで来れたのですが、大学のラグビー部で負けを知り、挫折を味わい、思い通りにならないことがあるのだと学びました。しかし、再挑戦すれば良いのだと教えられましたから、この教育が社会人になってから生きたと思っています。

(東大ラグビー部の学生も勉学では負け知らず。しかし、ラグビーで負けを知るから、魅力的な青年に育つのだと思います。いつもグランドに侵入し、すみません!)

東欧には当時のソ連を嫌う人々がいたようで、面と向かって逆らえない分、小話でロシア人をからかっては溜飲を下げていたようだ。そんな小話がいくつか披露されていた。

 

【ポーランド】

 

ワルシャワの中心に「文化宮殿」という名前のエンパイアステートビルのような摩天楼がある。ソ連がポーランドに寄贈した建築物だ。俗にスターリン・ゴシック建設と呼ばれる施設だ。

 

あるロシア人観光客がワルシャワにやってきてポーランド人に質問した。

「ワルシャワで最も美しい場所はどこか」

ポーランド人は間髪を入れずに

「もちろん文化宮殿の上からの景色だ」

と答えた。

 

ロシア人はソ連が寄贈した施設がこれほど高く評価されていると思っていなかったので、とても驚いた。ポーランド人が反ソ的でロシア人を嫌っているというのはアメリカのプロパガンダだということが良く分かった。そこで、ロシア人は「どうして文化宮殿の上からの景色がそんなに美しいのか」と尋ねた。ポーランド人はこう答えた。

 

「それは、あの文化宮殿のグロテスクな姿が見えないからだ。」

 

【ハンガリー】

 

あるとき、モスクワを訪れたハンガリー政府代表団が「我が国にも海軍省は必要なので認めてくれ」とソ連政府に要請した。ソ連政府高官は首を傾げて「ハンガリーには海がないじゃないか。それなのになぜ海軍省が必要なんだ」と尋ねた。

 

これに対し、ハンガリー政府代表団はこう答えた。

「ソ連にだって文化省があるじゃないか。」


気の早い紫陽花が咲き始めていた。季節は巡る。