今回は大学の同級生、A山さんと一緒に応援に出掛け、同慶戦が始まるまでは「A山さん、僕がちゃんと解説しますから」と調子の良いことを言っていたのだが、イザ試合が始まると興奮してしまい、解説どころではなくなってしまった。そこで、第2試合の早明戦をお喋りしながら観戦することにした。同志社以外の試合だと何故こんなに冷静でいられるのだろう(笑)


①敵との距離

こういう場所で見ていたから、前半は早稲田、後半は明治の立場でディフェンスしているような気持ちになった。

A山さん「なかなか抜けないものやね」
ボル「スクラムからの攻撃ではボールをもらったら目の前に敵がいるという感じとちゃう? ラインアウトは敵が更に5m後ろにいるから、少し空間がある分、いろんな攻め方ができる」
A山さん「連続して攻撃してるけど、殆ど前進してないよね?」
ボル「ラック、モールになると敵がもっと前に出てくるから、前進できないどころか下手すると後退する」
A山さん「突破する方法はないの?」
ボル「あるよ」

②ボールを貰う前に

ボル「ボールを貰ってから敵を抜こうとしても難しい」
A山さん「せやね。みんなつかまってる」
ボル「ボールを貰う前に敵のマークを多少なりともズラせればええと思わへん?」
A山さん「そんなことできるの?」
ボル「大学生のとき、バスケットのパスの練習をやらされた」

今から40年以上も前の話だが本当だ。

ボル「バスケットでボールをパスして貰うには敵のマークを外さないといけないでしょ?」
A山さん「確かにね」
ボル「せやから、敵のマークを外したところでボールをもらえ。ボールを持っていなければタックルされへんから、ボールを貰ったらお前でも必ず前進できると教えられた」
A山さん「その通りや。同志社って面白いね。せやけど理詰めや。正しいよね?」
ボル「いやいや、当時は何でバスケットやねん、と反発してね、最近、やっと正しいと分かった。ちょっと遅かった(笑)」

③キック

ボル「もう一つ、キックは前進できる。キック&ラッシュという戦法やね。ただ、敵がキャッチしたら敵に攻撃権が移るから、リスクのある選択になる。キックには上に高く上げるキックだけではなく、今の明治がやったようにディフェンスラインの裏にゴロ転がす方法もある」
A山さん「ホンマや。きれいに決まったね」
ボル「キックはパスより長い距離を稼げるから、ライン際にいるWTBまでキックでパスする方法もあるよ」
A山さん「あぁ、それ、さっき明治が決めたプレーやね?」
ボル「うん、明治がこんなプレーを練習しているとは・・」
A山さん「意外なの?」

④意図があるプレーかどうか。

ボル「意外やね。『前へ』という最短距離を真っ直ぐ目指せがチームのコンセプトやし、今日の早稲田なら真っ直ぐ行けば押し切れるように思う」
A山さん「そうなんや。じゃあ、明治の狙いは何なの?」
ボル「帝京を想定して、意図的にいろんなプレーを試しているのかもね」
A山さん「帝京には『前へ』が通用しないの?」
ボル「前へ、だけでは勝てへんと思う」

昨シーズンの明治を見て「明治が目覚め、進化した」と思ったが、今年も進化を続けようとしているようだ。相変わらず一人ひとりが強いし、最近は走り込んでもいるようだが、BKがキックパスやディフェンスラインの裏に転がすゴロパンの練習を真面目にしているとは大したものだ。真剣に優勝を狙っているということだろう。今シーズンの観戦が楽しみになってきた。

後半2分、慶應義塾陣22m付近の同志社ボールラインアウトからの攻撃で同志社⑥がトライ、ゴールも成功し、14-0とする。これで同志社ペースの展開になるかと楽観したのだが、慶應義塾は決して慌てず諦めない。9分、ペナルティを得た慶應は同志社ゴール前に蹴り出し、ラインアウトから固いパックのモールで前進、同志社のゴールを割って慶應義塾②がトライ、ゴールも成って14-7。

 

続く18分には同志社ゴール前のラックから最後は慶應義塾⑧がボールを持ち込んでトライ、ゴール成功し、14-14の同点とした。この辺りの慶應義塾には全く迷いがなく、低い姿勢で当たり、素早い味方の寄りから連続攻撃を続け、必ず50cmでも1mでも前進するという手堅さ、しつこさを感じさせられる。これを止めるには慶應義塾以上に低く力のあるタックルで押し返すしかないが、同志社にはそのパワーがまだないから後退を余儀なくされたように見えた。

 

同志社ファンには少し嫌な雰囲気になったと思うが、22分、実に同志社らしいプレーが出る。慶應義塾ゴール前のラックから出たボールを同志社SHが外に展開すると見せかけて大きく離れ、くるりと反転したところにFBの安田がタテに入って来たのだ。慶應義塾からすれば全く予想していなかったコースを安田に走られ、逆を突かれた形になった。ゴールも成功し21-14。



34分には慶應義塾陣10m付近で同志社が上げたハイパントのこぼれ球を⑬山口が拾い上げ、そのまま独走してトライを上げる。これはボールの奪い合いで慶應義塾のディフェンス網が薄くなってしまい、山口がボールを持った時点でほぼノーマーク状態だったように見えた。ディフェンスの陣形を崩すという意味では有効なハイパントだったと思う。

 

39分には慶應義塾が同志社ゴール前のラックからトライを奪い、意地を見せるが、ここでノーサイドの笛。28-19で同志社が勝利した。同志社ファンにとりスクラムの安定は朗報、しかし、関東勢の速くて低く重いタックルで勢いを削がれたり、ボールを出すタイミングが遅れるようではBKのスピードが生きない。又、ディフェンスで関東勢を止めるには更に強い身体と瞬発力が求められるのかなと思う。

前半の前半は殆ど同志社陣内での戦いとなり、慶應義塾が何度かゴール前に迫るが、同志社の好ディフェンスに阻まれたり、ノックオンやスローフォワードのミスが出てゴールをなかなか割れない。一方の同志社も数少ないマイボールスクラムやラインアウトから突破を試みるが、慶應義塾の低いタックルと早い集散に勢いを削がれ、タイミング良く2次攻撃、2次攻撃ができない。



そんなせめぎ合いが続く中、観客席がドッと沸いたのは前半29分、慶應義塾陣10m付近の慶應義塾ボールのスクラムを同志社が力強く押し込み、同志社にボールが出たときだ。昨シーズン、スクラムで苦戦した同志社を見ているだけに同志社ファンからは「おおっ!」という歓声が、慶應義塾ファンからは「ええっ?」という驚きの声が上がったように思う。

 

その後、32分にも慶應義塾ボールのスクラムで同志社が再びボールを奪っているが、いずれもノックオンのミスが出てトライチャンスにはつながっていない。「うちのSHもマイボールになるとは予想もしてへんかったんとちゃう?」という軽口が出たが、FWの健闘を考えると本当に惜しいミスだったように思う。

 

前半終了間際の39分、同志社のモール攻撃から出たボールを④→⑨→⑩と右オープンに展開し、⑬キャプテンの山口がトライ、ゴールも決まって7-0で前半を終えた。同志社がモールを押し込むという動きがあると、慶應義塾のディフェンスラインも下がる中で僅かに隙ができる。その隙を突くという同志社BKのスピードとセンスが目立ったように思う。