【アカデミカコール】

大正9年創立の東京大学音楽部は現在、管弦楽団、男声合唱団コールアカデミー、女声合唱団コーロ・レティティアの3団体で構成されているが、アカデミカコールは男声合唱団コールアカデミーOBによる男声合唱団で、東京六大学OB合唱連盟演奏会や北大・東北大・九州大OBとのジョイントコンサートを中心に活動している。(パンフレットの紹介文から)

 

 

私のような私立大の出身者からすると、国立大ご出身者は頭が良く、きちんと勉強された方々というイメージで、中でも東京大学のご出身と聞くと、どうしてもお堅いイメージを抱いてしまう。その東京大学音楽部OBの皆様が「Missa pro Pace」、日本語に訳すと「平和のためのミサ曲」を歌われると聞いたら、これは重厚かつ荘厳な響きの男声合唱だと思うではないか。

 

ところが、パンフレットを開いてみたら、パーカッションやサクソフォンの奏者が出演されることになっているし、ずっとミサ曲を作りたいと思っておられた作曲者の三澤洋史さんは曲の解説のところに「日本武道館で行われたサンタナのライブに出掛け、その演奏を聴いて、ミサ曲はラテン音楽テイストにしようと決めた」みたいなことを書いておられるではないか。これは一体どんなミサ曲なんだろう、と俄然興味が湧いた。

 

さて、第一曲の「Kyrie eleison」(主よ、憐れみたまえ)は、憐れみたまえと言うよりは「自由に踊らせたまえ」に近い賑やかなメロディで、三澤さんが書いておられた通り「キューバ音楽っぽいモチーフ」が鳴り響き、度肝を抜かれた。第二曲の「Gloria」は主の栄光を讃える歌だと思うが、こちらも讃えるというより「一緒に喜ぼうぜ」に近い躍動感があったし、第三曲の「Credo」(信仰告白)も告白というより「叫び」に近く、キリストが十字架を背負う場面は実に痛々しかったし、逆に、キリスト復活の場面では正にお祭り騒ぎのような喜びが感じられ、そのギャップが印象に残った。


第四曲の「Sanctus」(聖なるかな)と「Benedictus」(ほむべきかな)、第五曲の「Pater Noster」(主の祈り)はとてもきれいな曲で、神様への信頼や祈りに相応しい、安らかな気持ちになる曲だったように思う。第六曲の「Agnus Dei」(神の子羊)と「Dona nobis pacem」(我らに平和を与えたまえ)も美しい曲だったが、何か静かな勇気が湧いてくるような曲で、多分、三澤さんが書いておられた「ミサの終わりに司祭から会衆に与えられる、さぁ、聖堂から出て行き世界に平和を広めなさいという祝福」が込められていたのだろう。


長くなったが、予想外の展開に新鮮な驚きと感動を得たコンサートだった。東大OBの皆さま、豊かな表現力に感心しました。お堅いだけではないんですね。失礼しました(笑)

孫 泰蔵さんが、「もし明日死ぬとして、自分の子に一言だけ遺言を残すとしたら、どんな言葉を遺す?」という問い掛けをしておられた。孫さんが残したいと思われた遺言は「世界は自ら変えられる」という希望に満ち溢れたものだが、私ならどんな一言を遺すだろう、と早速考えた。


「変化して構わないからね!」

やはり、これしかないだろう。どんな世の中になるのか分からないのだから、自分の子供たちに「こうあるべきだ」と自信を持って言えることがない。逆に、「こうあるべきだ」という一言が子供の可能性に蓋をするかも知れない。

私も変化してきたと思うか、その変化を一番受け入れてくれたのは親父だろう。良くできた親父だったから、私の可能性に配慮してくれたのかも知れない。だとすると、 まだまだ変化が足りないから、これからも変化します。遺言など考えている場合じゃなかった(笑)
このタイトルに反応される方はバレエ好きの方だろう。フェリは一世を風靡する人気を誇りながら44歳で引退、その後、50歳で奇跡の復活を遂げたアレッサンドラ・フェリ、ボッレは数々のバレリーナから相手役に望まれ、世界的に活躍しているロベルト・ボッレのことだ。このお二人に更に実力派のダンサーが加わり、東京でバレエを披露された。


私はバレエのことなど何一つ知らないし、バレエをちゃんと観たのも今回が初めてだから、印象だけを率直に言わせてもらおうと思う。

先ず、バレエには言葉がないからストーリーが分からない。それでも、見ている内に何となくこうかなと想像できるようになるのだから、身体の動きや姿勢だけでいろんなことを表現できる彼らは大したものだ。メインの演目だった「マルグリットとアルマン」は帰宅してから調べたら、だいたい想像していた通りのストーリーだった。

次に、彼らの無駄なく鍛え上げられた肉体と、不安定な姿勢でも揺るぎもしない体幹の強さとバランス感覚の良さには恐れ入った。バレリーナを持ち上げたり、二人で支え合ったりする時もそうなのだから、二人分の重さや傾きを感じ取れる鋭敏なバランス感覚と、それを支えたり補ったりできる筋力をお持ちなのだろう。

ラグビーは動き続けるスポーツだから、体重が500g増えようが1kg増えようが何とかなるし、立つ位置が5cmずれようが10cmずれようが何とでもなる。しかし、動きの中で時には自然体で静止することを求められるバレエの方々には、500gや5cmの差はとんでもなく大きいのかも、と思いながら会場を後にした。